ミツバチと共に90年――

信州須坂 鈴木養蜂場

はちみつ家

Suzuki Bee Keeping

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はちぶんのブログ ※鈴木養蜂場で言う『蜂蜜』とはいわゆる『本物の蜂蜜』です。

ハチミツで歯みがき? 2014/11/26(水)

朝、歯をみがこうと思ったら。。。?

「歯磨き粉がない!!」

どうしようかと考えているうちにイイことを思いつきました!

ハチミツだ!

ハチミツには強い殺菌効果があり、しかも口臭予防効果もある。
しかものどにもイイことを思い出したのです!

「そうだ!ハチミツで歯をみがこう!」

そう思い立ったはちぶんは、迷わず歯ブラシに蜂蜜をつけたのでした。

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シャカシャカみがくと口の中が甘くなって、
「こりゃ子どもも喜ぶぞ~」
と、蜂蜜の新たな使い方を発見して嬉しくなりました!

歯科学的にどうかはわかりませんが、きっとイイに決まってます!(笑)

みなさんもやってみては?


そうそう、くれぐれも天然の純粋ハチミツでね♪

 

お歳暮にはちみつ石鹸ギフトもありますよ♪ 2014/11/26(水)

そろそろお歳暮のことを考えはじめた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そしてお歳暮に石鹸というのは定番かもしれませんね。

そこでご紹介したいのが蜂蜜石鹸ギフトです。
プロポリス石鹸の2個入り、3個入りもあります。

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寒い季節、特に女性やお子様のいるご家庭などにたいへんに喜ばれているようです。
はちみつ石けんをお手頃価格でまとめ買いにもいいですね。

ぜひご検討ください!

 

小学生の夏休みの自由研究♪ 2014/11/26(水)

小学生の夏休みの自由研究で、当場にミツバチの生態を調べに来た子の研究成果です!(笑)
ミツバチに興味を持ってくれて嬉しいですね♪

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小学生の研究熱心さに感服です!

 

ザクロに蜂蜜 2014/11/26(水)

珍しいザクロが手に入りました!

近年ほとんど見なくなりましたネ。
子どもの頃、この小さな赤い実を食べて「すッぱィ!」と喜んでいたものです。

さっそく種の部分をとって、蜂蜜をかけて食べてみることにしました。

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なんだか赤いビーズのようでとても美味しそうです。

でもほとんど種ばっかです。
口の中でつぶしてわずかな果樹を楽しむだけ。

しかし蜂蜜とはすごく合いますナ~!

ザクロの酸っぱさと蜂蜜の甘さのベストマッチングです。

最後に口に残った種をゴミ箱へ「ぺっ!」。
食べずらいのが玉に傷ですネ!(笑)

 

福神漬に蜂蜜トッピング! 2014/11/26(水)

カレーに入れておいしい福神漬に蜂蜜をトッピングしてみました。
まずいともったいないので少しだけ。。。(笑)

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食べてみました。

なんと申しましょうか?
まずくはありません。

しょっぱさに甘みが混じって、どちらかというと美味しい?
なんとなく予想はできましたが。。。

でもやっぱり福神漬はカレーに入れて食べるのがいいですね。

 

ナシに蜂蜜トッピング 2014/10/09(木)

久しぶりに蜂蜜トッピングです~!

今回はいただきものの梨に蜂蜜をかけてみましたヨ。
梨の種類は「二十一世紀梨」、南信州の方で採れたものです。

皮をむいてさっそく蜂蜜をかけてみましょう。

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梨はみずみずしさとシャキシャキ感がなんとも言えませんが、そこに蜂蜜をかけると。。。

う~ん、なんといいましょうか?
蜂蜜の甘さが梨の味を包み込み、セレブ感が出てきたように思います(笑)。

でもあまり食べ慣れない味ですね。

秋は「味覚の秋」ともいいます。
いろいろ試してみたいですね!

 

日本ミツバチ捕獲大作戦(4) 2014/10/09(木)

(4)蜜ろう作り

あれから数日経った。
次に巣のカスから蜜ろうの制作工程をご紹介しよう。

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これだけあれば……と、たくさん作れることを期待せずにいられない。

まず、一斗缶に水を入れ、グツグツになるまで煮立てるのだ。

あまり水を入れ過ぎると蜜ろうが泡立って吹きこぼれるので入れ過ぎには注意、注意。

沸騰するまでの間、巣のカスをネットに詰め込んで口をひもでしばります。

そうそう、制作過程には企業秘密も含まれるのではしょる箇所もあるが、あらかじめご承知いただきたい。(笑)

予想以上にけっこうたくさん集まった。
全部で3個。。。
これが日本蜂が3年かかって作った巣の量なのだ。

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しかしこれだけあれば1回では終わらない。分割して作業を進めていこう。

そろそろお湯が煮立ってきたようだ。

この中に先ほどのネットに詰め込んだ巣のカスを投入する。

ポチャ~ン!

すると、すぐに蜜ろうが溶け出してくる。

ロウが溶ける温度は約60℃。
グツグツ煮立たせる必要もないが、その方が作業が早いのだ。
さらにかき混ぜながら、どんどん蜜ろうを溶かしていく。

はちぶんも日本蜂の蜜ろう作りに立ち会うのは今回がはじめてなのだ。
いったいどんなふうになるのだろうか?
興味津々である。

おおっ!
チーズフォンデュみたい!うまそ~!

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でもこれは食べ物ではない。おちつけ、おつつけ!

だいだい溶け出したらネットをあげ、2本の木ではさんで搾り取ります。

ネットの中はカスだけが残る。
これは廃棄、廃棄。

では火を止めて、冷めるのを待とう。

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卵焼きの焼く前みたい!うまそ~!
でも食べれません。(笑)

上に浮いて来たのはアク。
蜜ろうと水というのは水と油みたいな関係で、放っておけば勝手に分離する。
ちなみに蜜ろうの方が比重が軽いので浮かぶことになる。

でもこのままではまだ小さな異物が混ざっているので、固まったら更に目の細かい網に移し替え、同じ工程を2、3回繰り返えさなければならない。
しかもネットが3つあるから作業は1日では終わらない。

はちぶんは別の仕事があるので、あとはケンちゃん社長に任せて工場を後にした。

数日後。。。

これが完成した日本ミツバチの蜜ろうである。

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重さを量ったら230g。 最初に期待したほどたくさんの量は作れなかった。
それほど日本蜂の蜜ろうは貴重だということなのだ。

1回の日本ミツバチの捕獲で、いろいろな収穫がありました!

(日本ミツバチ捕獲大作戦 完)

 

日本ミツバチ捕獲大作戦(3) 2014/10/09(木)

(3)採蜜

実は和蜂の巣の駆除をすると、2つの副産物がある。

1つは日本蜂蜂蜜が採れること。
2つは和蜂の蜜ろうが作れることである。

今回はその2つの工程を最後までご紹介しよう。

まず採蜜作業である。

日本蜂の採蜜は西洋ミツバチの採蜜とは根本的に違う。
いわゆる古式養蜂のやり方で蜜を採る。
西洋ミツバチの巣箱のように、巣枠があるわけでないので遠心分離機は使えない。
つまり巣を壊して蜜を搾るという昔ながらの方法である。

巣を砕いて採るため、蜂蜜の中には花粉やハチノコやローヤルゼリー、あるいはプロポリスなども一緒に混ざる。
日本蜂蜂蜜の栄養価が高いのはそのためである。

まず大きなたらいを置き、その上に網を置き、さらにその上にザルを置く。
次にザルの中に採ってきた蜂の巣を入れ、それを包丁などで砕いていく。

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そうして1日2日、そのまま置いておくと、たらいに日本蜂蜂蜜が溜まるのだ。

ひとつでは入りきらなかったのでもうひとつ同じ装置を用意して巣を砕く。

すると。。。

おおっ!

網の下からハチミツが雨のようにしたたり落ちる。

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うまそう~!

こうしてあとは待つばかり。

今日は天気が良いので蜂蜜の粘度も柔らかく、明日には終わるのではないかとケンちゃん社長は言った。

この後、採れた蜂蜜は、ろ過して蜜ろうなどの細かいカスを取り除き、やがてビン詰めされて日本蜂蜂蜜として店頭に並ぶ。

これが今回の副産物その1、日本蜂蜂蜜である。

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250gと180gの2種類作った。
興味のある方はぜひご賞味いただきたい。

 

日本ミツバチ捕獲大作戦(2) 2014/10/09(木)

(2)和蜂の巣箱設置

一連の作業を終えて工場へ戻ると、さっそく捕獲した巣箱を蜂場の日の当たらない片隅に置き、巣門となる口を開放した。

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やがて日本蜂は少しずつ出てきたが、この巣箱に新しい巣を作ってくれるだろうか?

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問題は吸引器で吸い込む時に、女王蜂も一緒に入ったかということで、巣を作ってくれるかは運しだいでもある。

それはそうと作業はまだ終わらない。

 

日本ミツバチ捕獲大作戦(1) 2014/10/09(木)

(1)捕獲

今回の依頼は小布施町にあるとある神社からである。

「秋のお祭りの日までになんとかしてほしい」
聞けば巣営しているのはミツバチで、
「人が大勢集まる秋祭りに、万一子どもが刺されでもしたらたいへんだ」
と言う。

たいてい神社などに巣を作るミツバチは和蜂で、彼らは西洋ミツバチに比べて性格もおとなしく、滅多に人を刺すこともないが、放っておけばやがてスズメバチの標的となり、やつらを招く原因にもなる。

だから日本ミツバチの駆除依頼というのは、「駆除」というより「引っ越し」で、巣箱を介した吸引器で彼らを吸い込み、そのまま巣箱を蜂場へ設置するという方法をとっている。
だが和蜂というのは非常にデリケートで、巣箱に居ついてくれるケースはおよそ3回に1回程度である。
だから「引っ越し」というのも多少ニュアンスが違い、この物語は「捕獲大作戦」という言葉を使うことにした。

ちなみに日本在来のそのミツバチ、呼び方を和蜂と言ったり日本蜂と言ったり、あるいは日本ミツバチと言ったり様々あるが、ここでは特にこだわることはしない。

下見を終えて本日、いよいよ捕獲大作戦の決行である。

いつものトラックに乗ったのはケンちゃん社長とはちぶんで、今回のはちぶんの目的は駆除の様子を写真におさめ、ブログのネタにすることである。

小布施の神社に着くと、惣代さんであろうか、建物の周辺をきれいに手入れしている男性が「ごくろうさん」と迎え入れてくれた。
人の良さそうな依頼主である。

境内には樹齢数百年とも思われる大きなケヤキが立っていた。

その大きさから長い歴史のある神社であることが知れる。
こういった建物は、古い木造である上に、普段はあまり人も来ないから、和蜂にとって非常に住みやすい環境なのだ。

現にこうした神社、仏閣の床下や屋根裏に巣営した日本ミツバチの駆除依頼はことのほか多い。

見れば正面向かって右側の柱に「蜜蜂に注意」との張り紙がしてあり、柱と壁の間にできた小さな穴から、彼らはさかんに出入りを繰り返していた。

建物の中、年季の入った床の下、おそらくそこに彼らの住み家があるはずだった。

注意してよく見ると、案の定、床のすき間から彼らが列を作って外に出入りしているではないか。

その数から相当大きな巣であることは予想できたが、床をはずしてみないとその大きさや規模は分からない。
さっそく作業にとりかかる。

メインの道具は吸引器とホース、それと彼らの新しい家となる巣箱。
吸引器でねこそぎ彼らを吸い込んでしまおうというのである。

発電機を回して電気をおこし、延長コードを伸ばして明かりと吸引器の電源を入れた。
そして床の上のゴミやほこりをきれいに掃いて、いよいよ床板の取り外しにかかる。

ところがこの神社を建てた大工さん、よほどの腕利きとみえて打ち込んだ釘がなかなか抜けない。

ケンちゃん社長は大工さんではないので、悪戦苦闘しながらやっとの思いで釘を抜き、はちぶんも手伝ってようやく床のベニヤ板を取り外した。

「巣の全貌が見えたぞ!」
大きい!

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「これは3年ものだなあ」
ケンちゃん社長がつぶやく。
なるほど巣は何層も重なり、蜜もたっぷり含んでいる。
この規模になるとミツバチの数は2万匹をくだらないだろう。

うまそ~!!

ミツバチの捕獲よりそっちが気になるはちぶんである。

吸引器のホースの先で日本ミツバチを吸い込む作業に入った。

吸い込むといってもダイソンの掃除機というわけにはいかない。
相手は生き物であるし、弱らせてしまうことはできないのだ。
その力はそよ風にも似て、わずらわしくなるほどゆるやかなのだ。

やがて巣の下にたらいを置いて受け皿にし、鉄べらで巣の根元を一気に切り落とす。

なかなか落ちないが、やがてねっとりと下に落ちた。

重そう~!!

おおっ!

光を入れればハチミツの金の光は、まるで海賊が洞窟の中に隠した宝石ではないか!

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「よっこらしょ。こりゃたらいひとつじゃ足りない!」

2つ目のたらいを置いて再度巣の切り落としにかかったケンちゃん社長は一人で働く。

ガンバレ~

写真を撮るだけのはちぶんは面白がって見ているだけなのだ。

だいたい取り終えたか?
見て見て!これだけの巣が採れました!

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ケンちゃん社長は残りのミツバチの吸い取りに必死。

しかしホースが詰まってしまったのか吸い取りの力が弱まって、なかなか作業がはかどらない。
それを横目にはちぶんは採れたてのハチミツを舐めてみた。

甘いのう~!

この辺りは小布施だけあってクリの木が多い。
きっとクリの蜜も含んでいるのだろうが、和蜂の集める蜜は基本的に百花蜜である。
だから巣営する場所や地域によって、日本バチ蜂蜜の味はその都度違う。
今回の蜜はキャラメルのようなまったりした甘さにコクがある。

そうこうしているうちに吸引器の威力が復活し、気付けばケンちゃん社長はいくつもの防虫剤を置いた。

これでひとまず床下の作業は一段落だ。
すると和蜂たちはここにいられなくなり、一斉に外へ逃げ出すはずだ。

外に出てみれば最初に見た穴から無数のミツバチが逃げ出していた。

すかさずそれを吸引器で吸い込む。
おっと!下のコンクリートのすき間からも!

最後は板をもとに戻して、べニアも元通りにして。。。

言っておくがケンちゃん社長は大工ではない。

外のミツバチの様子が気になって出てみれば、再び穴からぞくぞくと逃げ出している。

少しは手伝った方がいいかなと思ったはちぶんは、吸引器を手にしてミツバチを吸い取った。

それにしてもきりがない。次から次へとミツバチが。。。

ええ~い、必殺!入り口封じ!

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こうやって入り口のところに吸引器の口を置いておけば、逃げ出すミツバチを次々に吸い込むことができるのだ!

こやって本日確保した和蜂の巣を見ていただこう。

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一面蜜ぶたに覆われたスーパー完熟蜜じゃあ!
中にはたっぷりハチミツがっ!

 

2014年度第3回「はちみつ川柳」優秀作品発表! 2014/10/09(木)

本年度6月~8月にかけて募集した第3回「はちみつ川柳」優秀作品の発表です!

優秀賞は、長崎県島原市のおーちゃんさんの作品です。

【2014年度第3回優秀賞】
この次は蜂におなりと蚊をつぶす

デング熱で蚊には用心した夏でした。
たいへんにおめでとうございます!
近日中に入選賞品「はちみつ★スティック」を贈らせていただきますネ!

今回の応募数は223首、特に10代、20代の若い世代のご応募が目立ちました。
多くのご応募ほんとうにありがとうございました!

なお、最終選考まで残った作品は、
http://www.xn--h9jg5a3d.net/kobo/senryu-sakuhin2014.html
で発表させていただいております。

次回、第4回「はちみつ川柳」の締め切りは11月末日で、発表は12月10日(月)の予定です。
はちみつ川柳を思いついたら、忘れないうちにすぐにご応募くださいね!

ご応募された方だけの商品割引特典もありますヨ!

 

スズメバチ捕り物帳 2014/10/09(木)

我々は、地球侵略を目論む雀蜂星人から人類を守るために組織された「地球防衛軍雀蜂駆除隊」である。
今回の雀蜂巣営連絡を受けたのは3日前の午前中のことだった。

「た、助けて下さい!大きな蜂が屋根のところに巣を作っているんです!」

連絡を受けたケン隊長は、さっそく現場に急行した。

我々の任務は、雀蜂の巣を駆除・撃滅することである。
通常、住民から連絡が入ると現地に赴き、敵の巣営状況を細かに確認し、最も有効な駆除手段を導き出し、万全の備えをして敵との戦いに臨む。

あるときは藪の中、あるときは屋根裏や壁のすき間、またあるときは土や木の中と、やつらは神出鬼没に現れて、我々人類を脅かしているのだ。

偵察に向かったケン隊長の話によれば、今回の敵は比較的小さなキイロスズメバチ星人で、2階屋根軒下の高い場所に巣営しているため出動人員は2名必要とのことだった。

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それにしてもこの目つき、顔つき、、、見れば見るほど恐ろしい。

「はちぶん隊員、出動を要請する!」
隊長から指名されたのははちぶんである。

このたび、我々と雀蜂星人との交戦の様子を手記に残しておこう。

昼11時、ケン隊長とはちぶんは、雀蜂装甲車に梯子や必要な荷物を積み込むと、敵陣に向かって出動した。

今年は昨年に比べ、雀蜂の出現回数は少ない。
雨が多かったのと、比較的気温が低かったためだろうか、敵の活動もにぶったのだろう。
それでもケン隊長は今年だけで40回くらいは出動している。

天気は晴れ―――。

雀蜂装甲車はやがて小布施町の高齢者施設に到着した。

「高齢者が集まる場所に侵略を目論むとはふてえやつらだ!」

二人は装甲車を降り、さっそく敵陣の様子をうかがった。
2階屋根の下、、、「あった!」

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直径3、40センチはあろうか?
敵ながらあっぱれな陣所である。

あんな高い場所に陣を張り、上空からお年寄りを狙っているのだ。

「これから梯子をかけてあそこまでいく!」

ケン隊長は余裕の表情を見せて笑い、続けて、

「万一、敵に襲撃され負傷しても安心しろ。隣は病院だ」

と言った。
なるほど、見ればすぐ隣には小布施町の大きな病院がある。

隊長!そりゃねえっすよ!

二人の隊員は日差しが照りつける中で防護服を装着した。

やつらは白い物体には攻撃をしかけてこない。
これを着ればたいていの攻撃を防ぐことができるはずなのだ。

装甲車から梯子をかかえ、屋根に立てかけ、ゆっくりと敵の巣に向かって進みだした。

屋根の傾斜は大きく、足を滑らせればそのまま地面に転落するだろう。
高所恐怖症のはちぶんは足をすくませながら、一歩一歩足場を確認しながら隊長に続いた。

毒ガスを吹き付けて撃退・駆除する方法もあるが、我々の捕獲手段は、可能な限り生け捕りである。
やつらのタマゴや子どもは調理すると意外に美味で、駆除作戦の副産物になるからである。

隊長は敵陣のすぐ手前まで近づき、「見ろ!」とばかりに入り口を指さすと、すかさずそこをめがけてティッシュバズーカー砲を打ち込んだ。

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ティッシュバズーカーは見事入り口をふさぎ、敵の出入りを封じ込めた。
さすが、その手際の良さは、泣く子も黙る雀蜂仕事人と呼ばれた隊長である。

巣の周りには、まだ我々の襲撃に気付かない者たちが、巣作りに余念がない。

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「今だ!」

続いて巣ごと捕獲袋ををかぶせ、一気に生け捕りにするのだ。

落ちた!

隊長は、砕けた巣から飛び出すキイロスズメバチの大群を逃さないよう、袋の口を紐で結んだ。

そこまでの作業時間はほんの数分。
無事捕獲成功である。

巣がなくなったことに狼狽するキイロスズメバチ星人たちは、しばらく周辺を飛び回るが、2、3日もすればやがてどこかへ行ってしまう。

まだ終わりではない。
周辺を探索している雀蜂星人たちの逆襲があるかもしれないからである。

壁にこびりついている巣の根元を鉄べらで落とし、タワシでごしごししてキレイにする。

ここに巣を作ったということは、やつらにとってここは巣をつくりやすい場所であるということで、再び同じ場所につくることもよくあるのだ。

だから再び巣営しないように毒薬剤を吹き付けておく。

最後に屋根に落ちた巣のかけらをほうきとちりとりで片付けて作業完了である。

「これでまたひとつ、地球の安全が守られた!」

誇らしげなケン隊長は青空の下で思うのであった。
駆除が終わってすっかりもとどおりになり、これで高齢者も患者さんも安心して外を歩けるだろう。

ご覧いただこう、今回捕獲した敵の一兵が、するどい武器をむき出しにしたまま死んでいた。

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このお尻の鋭い針で刺されれば、人間などひとたまりもないのだ。
とにもかくにも、怪我なく任務を遂行できたことを喜び合いたい。

我々「地球防衛軍雀蜂駆除隊」の活動はまだまだ続く。
皆様も雀蜂星人を見かけたら、お近くの駆除業者へ連絡してほしい。

 

中国アカシア蜂蜜視察紀行(26)《後日談》 2014/08/21(木)

《後日談》

中国はとにかく広い!

それが今回の視察でつくづく感じたことだ。

読者も気になっているだろうが、孔明のアヒルの羽の扇は、ワシントン条約にひっかからずに今はちぶんの部屋にある。

ノッポさんは結局雑貨店で見た同じ扇の値段を教えてはくれなかったが、先日ケンちゃん社長のところにノッポさんからこんなメールが届いた。

『はちぶんさんの羽毛扇子の値段ですが、正直15元/本だと言われました。
あまりにも安すぎますので、はちぶんさんの体に悪いと思いますから、社長が少し上乗せしてから本人に伝えた方が良いかもしれませんね。
社長にお任せします」

(じゅ、15元……)

めまいがしてきたのでちょっと横になろう……。

(完)

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※この「中国アカシア蜂蜜視察紀行」は、事実に基づく筆者はちぶんの主観的物語です。

 

中国アカシア蜂蜜視察紀行(25)《上海観光(豫園)》 2014/08/21(木)

《上海観光(豫園)》

昨日キャリーさんが言っていた。
「かなり美味しい小龍包が食べれる店がある」
と!

これまで“食”には苦しめられ続けてきたケンちゃん社長とはちぶんは、世界を旅するキャリアウーマンが絶賛するその味を知りたくて仕方がない。

そんな思いを知ってか知らずか、次にノッポさんが連れて来てくれたのは、『豫園(よえん)』と呼ばれる『外灘』と並ぶ上海の2大観光スポットのうちのもう1つの方である。

かつては東南地方一とも称された明代の庭園で、「豫園」とは「楽しい園」という意味らしい。なるほど伝統ある中華的な建物が立ち並んでおり、土産屋や飲食店が軒を連ねている。

ちょうどお昼どきで『南翔饅頭店』という店で『小龍包』を食べることになった。

ところがかなりの人気の店で、入り口には行列ができていた。

「今がチャンス!」

とばかりに、はちぶんは我慢していたタバコを吸いに、灰皿めがけて飛んでいった。
西安で飛行機に乗る際、リュウさんに買ってもらったライターは没収されてしまっていたから、もうライターを買うのはやめにして、ホテルに置いてあったマッチを持ってくることを忘れていなかった。

ところが半分も吸わないうちに、
「はちぶん、中に入るよ!」
とケンちゃん社長が僕を呼んだ。
かなり回転の早い店らしい。

注文したのは一口サイズで6つ入りの小龍包と、なにやら中心にストローが刺さっている見たことがないそれも小龍包。
「火傷するから気をつけろ」
と言われて、ショウガとタレをつけて恐る恐る口にしたところが、
(これがうまい!うまい!)
ケンちゃん社長も
「こんなうまい小龍包は食ったことがない!」
と、2つめを注文した。

気になるストロー付の小龍包は、中のスープを飲むだけで、外側の皮は固くて食べるものではないらしい。
値段は忘れてしまったが、スープだけでこんなに高いのか?と思わせる価格であった。

(写真を撮るのを忘れてしまった!)

飛行機の時間を気にしながらお土産を見て回る。

ケンちゃん社長は烏龍茶を大量に買いこんだ。
店の店員はそんな大口の注文などやったことがないと大わらわ。
ようやく人数分を茶筒?に詰めると、急いで安物ばかり扱う雑貨店に入った。

そこでケンちゃん社長は、午前中視察した「蜂之語」で飾ってあったのと同じ、左手が電動で動く金の招き猫を買った。
これで鈴木養蜂場も今より商売繁盛だ!

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ところが―――!

その雑貨商店街で、はちぶんはとんでもない物を発見してしまった!

あ、あの五丈原で買ったのと同じ、黒いアヒルの羽の孔明様の扇を見つけてしまったのだ!

し、しかも床に直置きの段ボールの中に無造作に入れられているではないか!

はちぶんは恐る恐る手に取って確かめた。

袋も同じ、大きさも同じ……、

(め、めまいが……)

ノッポさんに値段を聞いてもらった。
すると彼は、一瞬合わせた目をすぐにそらした。

「い、いくらでしたか……?
でも、
も、もし僕が聞いてショックを受けるようなら言わないでください」

ノッポさんはすかさず、値段を言わずに、
「でも五丈原で買ったやつは下の方まで羽がありましたから!」
ととぼけた。

(ショ、ショックを受ける値段なのか……)

落ち込みを隠せないはちぶんは、
「なあに、あの五丈原で買ったというところに深い意味があるんですよ!」
と強がったが、ケンちゃん社長はまるで笑い壺にでも入ったように笑い続けた。

(コノヤロッ!)

とは、社長に対してけっして言えないはちぶんである。

もう飛行機の時間に間に合わない!

急いで車が置いてある場所に向かおうとしたケンちゃん社長を呼び止める、押し売り女性の声がした。

日本語で、
「ちょっと見ていって!いいモノあるから!」
といかにも調子のいい口調だ。

ケンちゃん社長はよく声をかけられる。
よほど金持ちに見えるのか?

押し売り女性が手にしていた商品の時計を見ればロレックスで、
「それ本物?」
と社長が言えば、

「ニセモノだよ!いいモノあるからこっち来て見ていって!」

と、しゃーしゃーと答える。
どうやら中国のニセモノ文化もすっかり社会権を得ているようだ。

社長はこう言って逃げてきた。

「うちに『本物』いっぱいあるから!」

物語のしめくくりに、『本物』の中に『天然完熟蜂蜜』の意味をひそませたことを分かっていただけたろうか?

こうして、ぎりぎり搭乗手続きの時間に間に合った鈴木養蜂場中国アカシア蜂蜜視察団が乗り込んだ飛行機は、日本に向かって飛び立った。

 

中国アカシア蜂蜜視察紀行(24)《家族に頼まれた中国土産》 2014/08/21(木)

《家族に頼まれた中国土産-1》

日本を出る前、書道をたしなむ母から、
「中国へ行くならぜひ書道で使う墨を買ってきておくれ。ちょうど切らせてしまったの」

(そんなもん日本で買え!)

と言うのも忘れ、選別をありがたくもらってしまった。
おまけに息子には、

「中国語で書かれたワンピースのマンガを買ってきて!」

と、こっちは視察で行くのに観光旅行に行くものとすっかり勘違いされている。
(と言いながら五丈原ではずいぶん楽しんでしまったが……)

それをノッポさんに話したら、さすがは心優しきノッポさん!
はちぶんの要望をすっかり叶えてくれた。

どこかは分からないが書道の道具や紙ばかりを扱っている店が立ち並ぶ商店街。
そこに上海どころか中国一と豪語する書道具の名店「曹素功墨苑」という場所に連れていってくれた。
なにもこんな高級店に連れてきてくれることはなかったのに、、、
でも、その心遣いが嬉しい。

ところが―――、

「たかっ!」

物によっては日本円で数十万するのもある。
品はピンからキリまで、

「なぜこんなに値段が違うのか?」

と聞けば、

「墨の価格は材料の良し悪しもあるが、作られてから年を増すほど価値が上がるのだ」

と、店主らしき人が手ごろなカモを捕まえたとばかりに言う。
いわゆる墨とワインは同じらしい。
(ちゃう、ちゃう!)

しかもその墨を作ったのが「曹素功」という墨作りの名人だそうで、はちぶんは母のために彼の名前の入った300元(日本円で約5400円)の墨を買った。

「負けてくれ!」
と交渉したが、よほど商品に自信があるのだろう、その願いはかなわなかった。

「100年すればもっと価値が上がりますよ!」

と、今日運転をしてくれているおちゃめなおじさんが言ったが、
(死んどるわい!)
と言わずもウケる―――笑いは万国共通だ。

続いて大きな書店に連れて行ってくれた。
日本でいえば「紀伊国屋」級の店である。

ところが店員に聞きながらコミックが置いてあるコーナーにたどりつけば、そのスペースたるやほんの僅か。
広さにして6畳くらいか?
まだまだ日本の漫画文化もここまでは届いてないようだ。

「こんな狭いスペースに果たして目的のコミックは見つかるだろうか?」

と心配になりながら探していたら、そこはさすが!日本中を席巻する人気マンガ「ワンピース」。
全巻そろわずとも本棚2段に渡って並べられていた。

価格は日本で売られている半分程度だ。
でも紙質はイマイチで、本の作りもあまい!

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ちなみに中国語で「ルフィー」は「路飞」、「サンジ」は「山恵」、「ウソップ」は「撒谎布」、「ナミ」は「奈美」(←そのまんま)と書く。

これで家族に頼まれた使命は果たしたぞ!

 

中国アカシア蜂蜜視察紀行(23)《上海観光(外灘)》 2014/08/21(木)

《上海観光(外灘)》

ノッポさんが、
「上海でぜひ見せたい場所がある」
と連れて来られたのが『外灘(ワイタン)』だった。

英語では『バンド』と呼ばれるかつての外国租界の玄関口で、中央を流れる黄浦江をはさんで、西側は外国の金融機関の古い建物が立ち並び、東側は近代的な高層ビルが連立する今と昔とが同居する不思議な街だ。

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はちぶんたちは黄浦江の西側に立ち、対岸にそびえたつ高いビルを眺めた。最も高いビルは現在建設中で、次に高くて上に四角い穴が空いたビルは日本が建てた国際貿易ビルだそうだ。
そして3番目に高いのが金茂ビルで、いずれも貿易関係の建物だと言う。

その地に立ってはちぶんはふと思った。

「日本の幕末期、ひょっとしてあの人物もここに来たのではなかろうか?」

“あの人物”とは、日本の歴史上において、はちぶんが最も尊敬するあの人物だ!(尊敬する人物がたくさんいるはちぶんなのだ。)

その人物の名とは―――

『高杉晋作』!

動乱の幕末に四民一体となって幕府勢力に対抗し、たった独りで維新回天を成し遂げ、長州を率いて小倉戦争で幕府を打ち砕いた革命の申し子である。
諸葛孔明に劉備玄徳がいたように、高杉晋作には吉田松陰という師がいた。
彼は松陰の構想を実現するため、命を賭して戦ったのだ!

そういえば二人とも病死―――。
何か似ているところがある。

その高杉晋作は、生涯に一度だけ外国の地を踏んだ。
そこが「上海」なのだ!

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たかぶる気持ちを抑えてノッポさんに聞いてみた。

しかしそんな「歴史おたく」的な知識など知るはずもなく、日本での宿題として持ち帰ることにした。

そして調べてみたら、

やっぱりそうだった!

江戸末期より、長崎と上海を往来する船は、上海の外灘に寄港していた事実を知ったのだ!

高杉晋作は1862(文久2)年、「千歳丸」という船に乗り、下関から長崎を経由して上海に渡っている。そのとき見た景色を、彼はこう日記に残す。

『欧羅波(ヨーロッパ)諸邦の商船、軍艦数千碇泊す。檣花林森として津口を埋めんと欲す。陸上は則ち諸邦の商館紛壁千尺殆ど城閣の如し。その広大厳烈なること筆紙を以て尽くすべからざるなり』

その驚嘆が、後に彼を革命へと導いたとする見方もある。

はちぶんの高杉晋作好きは、その足跡をたどって萩や下関にまで足を運ばせるほどだった。
しかし、さすがに上海までは来れなかった。

しかしその夢がまた一つ実現してしまったのだ!
ああ、なんて幸せなはちぶんだろう!

 

中国アカシア蜂蜜視察紀行(22)《蜂蜜専門店「蜂之語」》 2014/08/21(木)

【四日日】

《蜂蜜専門店「蜂之語」》

朝ホテルを出るとき、ホテル内の掲示板で面白い内容の掲示物を見かけた。

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『食品安全小貼士 食品安全検査結果 良好』
『加強科技監管 落實主体責任 保障食品安全』

意味は分からないが、「食品安全」とあるからには
「うちのホテルで出す料理は安全ダヨ」
と言っているに違いないが、念のため総一郎さんに聞いてみたら教えてくれた内容が難しすぎて、はちぶんにはよく理解できなかったから、
「ホテル独自でやっているものなのか?」
と聞いたら、
「上海市食品葯品監督管理局という機関が行っているものだ」
と教えてくれた。

いずれにせよいま日本で問題になっている中国食品も、こうして自国内から改善が始められている事実を知って少し安心した。
日本と同等レベルになるまでにはもう少し時間がかかりそうだが、意識のある中国人はこうして努力しているという事実を知っていただきたい。

さて、

キャリーさんと総一郎さんは別の仕事があるというので、ここからはケンちゃん社長とはちぶんの案内役はノッポさん一人だけ。

ケンちゃん社長はキャリーさんがいなくなったのをいいことに、
「キャリーさん、毎日違う洋服と靴をはいていたね」
と、どこにそんな荷物を隠していたのかと噂しながら、驚愕の色を隠せない様子だった。

それはそうと
(迷子にならないようにしなければ……)

最初に向かったのは上海で唯一の蜂蜜専門店「蜂之語」という店の視察であった。

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この店は正真正銘の天然蜂蜜を扱っている。

以前は上海にも20店舗ほどの蜂蜜店があったそうだが、土地代や人件費の負担が大きくてついに一軒だけになってしまったという。
なるほど上海の物価はどこへ行っても日本並なのだ(少し安いと感じる程度)。

創業10年の若い店だが、西安の蜂蜜店とは大違い。
おしゃれな演出で商品を飾り、商談用の机も六角形というこだわりようだ。

26歳、店主の陳さんは、香港に近い広州市のトンゲというところで生まれ育ち、その地は昔から養蜂が盛んであったことから現在の仕事を選んだと言う。

最初はローヤルゼリーの扱いからはじめ、次にプロポリス、そして天然蜂蜜を扱うようになって、多くの自社ブランド品を開発してきた。

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ケンちゃん社長と和やかに談話をし、取り扱っている商品を見せてもらった。
ローヤルゼリーとプロポリスが一体となったカプセルや、中でもケンちゃん社長が興味を示したのはプロポリスの歯磨き粉だった。
はちぶんも以前、試作品をもらったことがあるが、まだ商品化には至っていないものである。

それをまとめ買いして、あとは天山山脈あたりで採蜜された蜂蜜を買って、店主と握手をして写真を撮った。

その時、外でものすごいバクチクの音が鳴り響いた。

「何事か!」

と思って飛び出せば、2車線の道路に爆竹の音とものすごい煙がもうもうとあがっていた。
先ほどから大勢の人が集まって、大きな音楽とMCで、何かイベントが行われていた場所である。

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格好からして労働組合運動か?
とも思ったが、それにしてもずいぶんド派手であか抜けたパフォーマンスなのだ。

聞けば美容院のオープニングセレモニーが行われている真っ最中だとのこと。
その賑やかなパフォーマンスに度肝を抜かれた。

まあ、とにかく元気な街である。

 

中国アカシア蜂蜜視察紀行(21)《再見!西安》 2014/08/21(木)

《再見(ツァイチェン)!西安》

西安咸陽国際空港16時30分発上海行き―――。

「ツァイチェン、ツァイチェン!」

リュウさんとワンさんとドライバーが私たちに手を振って見送ってくれた。

『再見(ツァイチェン)』―――
『再び見会(みま)おう』『またね!』と、
なんといい言葉であるか。

日本語の「さようなら」とか「さらば」とか、「もうこれっきり」というのでなく「再び」である。

はちぶんは名古屋の空港の免税店で買った1カートンのメビウスを、1箱ずつ彼らに配り、得意の「謝々(シェーシェー)」を何度も繰り返して握手を交わした。

そういえば女性のワンさんはタバコを吸わなかった!

慌てて日本から持ってきた使いかけの『ミンティア(すうっとするやつ)』を取り出し、中にまだ粒が入っているのを確認して彼女に渡した。

彼女の僕の手を握り返した指が柔らかかった。

こうして一行は西安を後にして上海へと飛んだ。
孔明様の扇はまだ同じ中国国内なので没収される心配はない。

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上海空港から今晩宿泊予定の「汾陽花園酒店」というホテルに向かう。

立ち並ぶ高層ビルのイルミネーションは色鮮やかで、その美しさは東京以上。
というのも日本は飛行機の操縦士が間違えないように、ビルなどの建物に使用する明かりにも制限があるのだという。

ノッポさんの話によれば、これから向かうホテルは昔のフランス租界の中にあり、すぐ目の前には上海音楽学院が隣接する閑静な場所にあるという。
到着してみれば、なるほどどことなく軽井沢の趣きがある高級そうなホテルである。

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夕食を食べに外へ出た。

いいかげん山椒と黒酢と唐辛子には飽きたケンちゃん社長とはちぶんは、ノッポさんと比較的上海には詳しいキャリーさんに連れられて、大衆食堂のような店に入ってできる限り日本食に近い料理を選んで食べた。

キュウリとお粥と白いご飯と、漬物だけでご飯が食べれてしまう長野県人は、他に何もいらないのだ。
特にケンちゃん社長は
「とにかく冷たいものが飲みたい!」
と、出される温かい烏龍茶に、氷を別に頼んで冷やして飲んだ。

むかし聞いた話では、中国の生水というのは石灰分が多く、生で飲むことはないのだそうだ。
必ず一度沸騰させてから飲むため、だからお茶の文化が発達した。
そのせいであろうか野菜でも何でも火を通す。
脂っこい料理が多い由縁なのだ。

食事を終えて少し上海の街を歩いてみようということになった。

路地には鶏肉を焼く屋台や珍しそうな食べ物がたくさんあり、どうせならこういうところで珍しい食べ物を食べればよかったと後悔したがすでに満腹だ。

おっと!

日本では見慣れた“M”のマーク!
あれは『マクドナルド』ではないか!

ところが下に綴ってあるのは「麦当劳」という見慣れない文字で、
「もしや、西安で見かけた偽セブンイレブン同様のまがいものか?」
と疑っていると、隣を歩くノッポさんが、

「マイ-ダン-ロウ」

と言った。
つまり「麦当劳」の発音が「麦(mak)当(dong)劳(lou)」で「McDonald’s」に近い発音になるのだ。
つまりそれは本物のマックだった!

「上海にいるのだから『新天地』に行ってみましょうか?あそこは大人の街よ」
とキャリーさんが言う。
「大人の街」という言葉に社長もはちぶんも胸がときめいた。

ところがそこからだと『新天地』という場所までは遠く、30分くらい歩いてようやく到着したが、すっかり疲れ切ってカフェでビールを一杯飲んで、帰りはタクシーを拾ってホテルに戻った。

西安も賑やかだったが、上海はワンランク上の上品さがある賑やかな場所だった。
夜中の12時を回っているというのに、西洋の学生たちや若者で東京ディズニーランドのような人ごみだ。
しかも今日は日曜なのだ。

ホテルに帰ってブログを書いた。
明日は帰国だ。

 

中国アカシア蜂蜜視察紀行(20)《中国青年の反日感情》 2014/08/05(火)

《中国青年の反日感情》

昼食は五丈原周辺の名物である『臊子面』なるものを食べた。
「もしかしたら孔明様も食べたかもしれない?」
と思いながら口にすると、その味はすっぱくてちょっと辛く、やはりここの麺も日本のラーメンやそばやうどんとまったく違う。

総一郎さんは「原料は小麦粉だ」と言うが、どちらかというと米粉で作った麺に似ており、お世辞にもあまり美味しいものでない。

今晩は西安から飛行機で移動して上海だ。

五丈原から西安咸陽国際空港へ向かう車中、
「中国の反日感情というのは現在どれくらいあるのですか?」
僕はずっと気になっていたことをノッポさんに尋ねた。

尖閣諸島の問題や環境問題や食料品問題等、いわゆる中国問題は日本において報道を賑わす昨今である。
かつては両国間では日中戦争が行われ、日本は侵略による満州国を樹立して、南京虐殺などの非道なこともやってきた歴史がある。
当時の事実を記憶に刻む者は、日本に対して反感を抱くのは当然で、その点においては日本は深く反省しなければならないだろう。
しかし国交が正常化してはや42年、実際の中国人の日本に対する感情はどうなのか?

ノッポさんはしばらく考えている様子だったが、やがて、

「反日感情というのはあまり感じたことはありません」

と答えた。

ノッポさんは学生時代日本に留学し、以来ずっと日本に在住するいわば中国人の中でも突出した親日家であろう。
彼のご両親は日本に対してあまり良い印象は抱いていなかったようだが、帰京するたび誤解を解いてきたと語る。

尖閣諸島問題についていえば、
「小学校の教科書にも尖閣諸島は中国の領土であると出ていたし、そう学んだ」
と言う。

「確かに反日のテレビ番組を見て、反日教育を受けた人もいますが、現在の実態としては、日本の企業がたくさん中国へ進出していますし、日本の技術、日本のソフトパワー、民間レベルにおいての様々な方面で交流が盛んになっています。
そして中国ではいま、日本食が好き、日本製の電気製品が好き、日本アニメが好きな若者がたくさんいます」

ノッポさんは車を運転中の地元ドライバーにも聞いてくれた。
するとドライバーの彼はこんな話をしてくれた。

彼の家も養蜂業をしているが、つい最近まで“藤原さん”という名の日本人が一緒に働いていたという。
藤原さんは終戦のとき日本に帰れなかったいわゆる残留日本人で、ドライバーの彼がまだ子供の頃に出会った。
非常に真面目で人柄も良かった藤原さんを通して、日本に対する反感など微塵も持たなかったと言う。

ノッポさんは、
「イギリスが香港を中国に返還した頃の話です」
と、ある報道番組で、農村に暮らす一人の女性のインタビューの答えが印象に残っていると言った。

『香港が戻らなくても私は農民です。
香港が戻ってきても、私は相変わらず農民です』

要するに「対外政策」だ「愛国」だと叫ぶ前に、中国政府は私たちの生活をなんとかしてくれ!という貧しい庶民の健気な訴えである。

「年寄りの人たちは分かりませんが、若い世代の私たちが生活している中で、反日感情なんてほとんどないのではないでしょうか?」

と、それはドライバーの彼もノッポさんも同じ意見であった。

なるほどそれは日本でも同じような気がする。
ただマスコミの報道に偏りがちな日本人は、悪いところだけを聞いてそれを中国だと認識しているケースがあまりに多い。
ところが実際は両国の政治的関係がその認識を作り出している原因のほとんどで、両国の庶民はただ振り回されているだけのように思えるのだ。

テレビや新聞などのマスコミによる影響力は、ともすれば時代の考えの潮流になりがちだが、実は庶民の生活というのは、そんなものとはかけ離れたところにある。
マスコミとか報道は、本来弱い立場の者の味方をすべきではないかとはちぶんも思う。

文化や考え方が違っても同じ人間であることに違いない。

中国語がまったく分からないはちぶんも、食事やタバコの交換を通してリュウさんやワンさんとも友達になれた。
互いに歩み寄れば政治やマスコミの壁など乗り越えられることができると思いたい。

その意味からも、いま我々がしている民間交流こそ、明日の両国の希望なのだ。

西安市を抜け空港を目指す車窓から、中国漢時代の皇帝や王子の陵墓がいくつも見えた。

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「あれは武帝の孫の墓です。
あれは西漢時代最後の皇帝の墓です。
陵墓は山になっていますが王子のものはてっぺんが丸く、皇帝のものは平らになっているんですよ」

ドライバーが説明してくれる話を聞きながら、

国境がなくなるのはいつの日か―――?

遠い異国ではちぶんは思った。

 

中国アカシア蜂蜜視察紀行(19)《孔明様のお土産》 2014/08/05(火)

《孔明様のお土産》

すぐ近くに孔明様に関連した「三国城」という資料館のようなところがあったので、はちぶんとケンちゃん社長とノッポさん、それにリュウさんとワンさんの5人で入った。

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中には昔の衣装を着せた等身大の人形が立ち並び、三国志で有名な場面を表現していたが、進むにつれて、人の首が切られる場面が出てきて
「まあ、昔のことだからこんなこともあっただろう」
と特に不思議にも感じなかったが、そのうち閻魔大王が出てきて

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「はて?こんな場面はあっただろうか?」
と思っているうちに、棺の中からミイラが顔を出したり、突然すごい音を立てて人形が飛び出してきたり、いつの間にかお化け屋敷に変わっているではないか!

女性のワンさんは「キャッキャ、キャッキャ!」と大騒ぎ。
最後、外へ出ようと仕掛けられた板を踏めば、脇からミイラ男が飛び出した。

僕は孔明様の資料館に入ったのだぞ!
仮にも天下の孔明様を宣揚する施設を、お化け屋敷にしてしまうとは何事か!

でも後で社長と大笑いした非常に楽しいひとときであった。
偉大な人物の業績を歯牙にもかけない中国人の感性に、もろ手を挙げて感服である。

いよいよ本命の『五丈原諸葛亮廟』と書かれた建物の中に入る。

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入場料は一人35元。

ワンさんが払おうとしているのを見て申し訳ないので、はちぶんが払おうとしたら、そこはさすがにキャリーさんが気をきかせて「私が払う」と言ったが、ワンさんは自分は入らないのに「いらない、いらない」と5人分の入場料を払ってくれた。
ワンさんの思いを無駄にはできない。

入ってすぐお土産屋さんがあった。
そこで目に飛び込んできたのが、あの孔明様が使ったのと同じ形の“鳥の羽で作られた扇(おうぎ)”であった!

「これを土産にすれば最高だ!」

はちぶんには同じく孔明様をこよなく愛する2人の友人がいる。
「彼らに買っていってあげれば喜ぶこと請け合いだ!」
と、直ちにまだ20歳くらいの女性店員に話しかけた。

中国語は分からないのでノッポさんに通訳に入ってもらい、
「大きいのと小さいのがあるが、孔明様が使っていたのはどっちだ?」
すると店員の女の子はすかさず大きい方を指さした。
「黒い羽と白い羽のがあるが、孔明様が使っていたのはどっちだ?」
すると店員さんは迷わず黒い方を指さした。

(う~ん、若いのになかなかよく勉強しているお嬢さんだ)

と感心していると、ノッポさんが女の子の話を通訳してくれた。

「孔明はアヒルの羽を用いていたそうです」

(そうなのか!最近の研究でそんな事まで分かっているのか!)

と、ここではちぶんは気付くべきだったのだ。
アヒルといえば白ではないか!「醜いアヒルの子」であるまいし、どこに黒色をしたアヒルがいるだろうか!
ところが時間も押していて、そんなことに気付いている余裕はなかった。

「挿柄のところに文様があるが、孔明様が使っていたものに近いのはどっちか?」
するとまたまた女の子は迷わず「陰陽魚」の文様がある方を指さした。

「ではこれを買おう。3つくれ」

すると一つ50元だという。日本円で約900円だ。
ノッポさんに「もっと値切ってほしい」と言ったら、

「1つ50元だが3つ買ってくれたら120元でいい」

女性店員の反応も早かった。
日本円に換算して2160円―――、
時間もないのでその値ではちぶんは手を打った。

ところがそこに出てきたのが総一郎さんで、
「検品をした方がいい」
と言って、ひとつひとつ不良がないか確認してくれ、少しでも傷があると良品と取り替えてくれた。
そんなことよりはちぶんは、憧れの孔明様の扇を手にしてもう嬉しくて嬉しくて昇天しそうだった!

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ところがケンちゃん社長はその間じゅう、対応してくれたまだ20歳くらいの女性店員さんを見初めてしまったようで、帰りの道すがら、
「できることならあの娘をオレの秘書として日本へ持ち帰りたい!」
と萌え萌えだった。

残念ながらはちぶんは、買うことに夢中で、その女の子の顔を見ている余裕など少しもなかった。
加えてケンちゃん社長がイヤなことを言った。

「これって動物の羽だよね?日本に持ち込めるのかな?」

考えてもなかったが、動物等の持ち込みはワシントン条約で規制されている。
そう言われるとものすごく心配になって、ここまで来てせっかく手に入れた孔明様の鳥の羽の扇が、果たして日本に持ち帰れるのか?と、帰国まで心配を引きずることになる。

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五丈原観光を終えて駐車場に向かう途中、ワンさんの歩く後姿を見て、彼女に入場料を返さなければと咄嗟に思った。
財布から100元を取り出し、彼女の肩を叩いて
「入場料を出してくれてありがとう。これをどうぞ」
と言って渡そうとした。
すると、

「プーヤオ、プーヤオ。プーヤオ、プーヤオ!」

そういえば思い出した。
日本を旅立つ前に覚えた俄か仕込みの中国語の中に、確か「不要(プーヤオ)=必要ない・いらない」という言葉があったことを。

はちぶんはこの時ワンさんのおかげで、「ニーハオ」「シェーシェー」に加えて3つめの「プーヤオ」という実用的な新しい中国語を覚えたのであった。

 

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