ミツバチと共に90年――

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中国アカシア蜂蜜視察紀行(19)《孔明様のお土産》

《孔明様のお土産》

すぐ近くに孔明様に関連した「三国城」という資料館のようなところがあったので、はちぶんとケンちゃん社長とノッポさん、それにリュウさんとワンさんの5人で入った。

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中には昔の衣装を着せた等身大の人形が立ち並び、三国志で有名な場面を表現していたが、進むにつれて、人の首が切られる場面が出てきて
「まあ、昔のことだからこんなこともあっただろう」
と特に不思議にも感じなかったが、そのうち閻魔大王が出てきて

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「はて?こんな場面はあっただろうか?」
と思っているうちに、棺の中からミイラが顔を出したり、突然すごい音を立てて人形が飛び出してきたり、いつの間にかお化け屋敷に変わっているではないか!

女性のワンさんは「キャッキャ、キャッキャ!」と大騒ぎ。
最後、外へ出ようと仕掛けられた板を踏めば、脇からミイラ男が飛び出した。

僕は孔明様の資料館に入ったのだぞ!
仮にも天下の孔明様を宣揚する施設を、お化け屋敷にしてしまうとは何事か!

でも後で社長と大笑いした非常に楽しいひとときであった。
偉大な人物の業績を歯牙にもかけない中国人の感性に、もろ手を挙げて感服である。

いよいよ本命の『五丈原諸葛亮廟』と書かれた建物の中に入る。

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入場料は一人35元。

ワンさんが払おうとしているのを見て申し訳ないので、はちぶんが払おうとしたら、そこはさすがにキャリーさんが気をきかせて「私が払う」と言ったが、ワンさんは自分は入らないのに「いらない、いらない」と5人分の入場料を払ってくれた。
ワンさんの思いを無駄にはできない。

入ってすぐお土産屋さんがあった。
そこで目に飛び込んできたのが、あの孔明様が使ったのと同じ形の“鳥の羽で作られた扇(おうぎ)”であった!

「これを土産にすれば最高だ!」

はちぶんには同じく孔明様をこよなく愛する2人の友人がいる。
「彼らに買っていってあげれば喜ぶこと請け合いだ!」
と、直ちにまだ20歳くらいの女性店員に話しかけた。

中国語は分からないのでノッポさんに通訳に入ってもらい、
「大きいのと小さいのがあるが、孔明様が使っていたのはどっちだ?」
すると店員の女の子はすかさず大きい方を指さした。
「黒い羽と白い羽のがあるが、孔明様が使っていたのはどっちだ?」
すると店員さんは迷わず黒い方を指さした。

(う~ん、若いのになかなかよく勉強しているお嬢さんだ)

と感心していると、ノッポさんが女の子の話を通訳してくれた。

「孔明はアヒルの羽を用いていたそうです」

(そうなのか!最近の研究でそんな事まで分かっているのか!)

と、ここではちぶんは気付くべきだったのだ。
アヒルといえば白ではないか!「醜いアヒルの子」であるまいし、どこに黒色をしたアヒルがいるだろうか!
ところが時間も押していて、そんなことに気付いている余裕はなかった。

「挿柄のところに文様があるが、孔明様が使っていたものに近いのはどっちか?」
するとまたまた女の子は迷わず「陰陽魚」の文様がある方を指さした。

「ではこれを買おう。3つくれ」

すると一つ50元だという。日本円で約900円だ。
ノッポさんに「もっと値切ってほしい」と言ったら、

「1つ50元だが3つ買ってくれたら120元でいい」

女性店員の反応も早かった。
日本円に換算して2160円―――、
時間もないのでその値ではちぶんは手を打った。

ところがそこに出てきたのが総一郎さんで、
「検品をした方がいい」
と言って、ひとつひとつ不良がないか確認してくれ、少しでも傷があると良品と取り替えてくれた。
そんなことよりはちぶんは、憧れの孔明様の扇を手にしてもう嬉しくて嬉しくて昇天しそうだった!

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ところがケンちゃん社長はその間じゅう、対応してくれたまだ20歳くらいの女性店員さんを見初めてしまったようで、帰りの道すがら、
「できることならあの娘をオレの秘書として日本へ持ち帰りたい!」
と萌え萌えだった。

残念ながらはちぶんは、買うことに夢中で、その女の子の顔を見ている余裕など少しもなかった。
加えてケンちゃん社長がイヤなことを言った。

「これって動物の羽だよね?日本に持ち込めるのかな?」

考えてもなかったが、動物等の持ち込みはワシントン条約で規制されている。
そう言われるとものすごく心配になって、ここまで来てせっかく手に入れた孔明様の鳥の羽の扇が、果たして日本に持ち帰れるのか?と、帰国まで心配を引きずることになる。

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五丈原観光を終えて駐車場に向かう途中、ワンさんの歩く後姿を見て、彼女に入場料を返さなければと咄嗟に思った。
財布から100元を取り出し、彼女の肩を叩いて
「入場料を出してくれてありがとう。これをどうぞ」
と言って渡そうとした。
すると、

「プーヤオ、プーヤオ。プーヤオ、プーヤオ!」

そういえば思い出した。
日本を旅立つ前に覚えた俄か仕込みの中国語の中に、確か「不要(プーヤオ)=必要ない・いらない」という言葉があったことを。

はちぶんはこの時ワンさんのおかげで、「ニーハオ」「シェーシェー」に加えて3つめの「プーヤオ」という実用的な新しい中国語を覚えたのであった。

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