ミツバチと共に90年――

信州須坂 鈴木養蜂場

はちみつ家

Suzuki Bee Keeping

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はちぶんのブログ ※鈴木養蜂場で言う『蜂蜜』とはいわゆる『本物の蜂蜜』です。

ハチミツの好きなキツネ 2015/12/30(水)

年末で気ぜわしいですが、蜂蜜が出て来る昔話を見つけましたのでご紹介します。
これはウクライナの話らしいのですが、現代人にも通用する戒めが描かれていますネ!

「蜂蜜が好きなキツネ」

むかーし昔、あるところに蜂蜜が大好きな女のキツネがおりました。
ところがなかなか蜂蜜にありつけず、ほとほと困っておりました。

そこでキツネは蜂蜜のありそうな場所を考えました。
「そうだわ!ミツバチの巣箱をのぞきに行ってみましょう。そこなら蜂蜜をたっぷり食べられそうだから!」
さっそく村へ出かけたキツネは、農家が飼っているミツバチの巣箱に忍び寄りました。
そして、そろりそろりと手をのばしかけた時、ミツバチたちに見つかり、さあたいへん!
怒ったミツバチたちは、羽音をブンブンさせながらキツネめがけて飛びかかり、キツネは命からがら逃げだしました。

キツネはどうしても蜂蜜のことが忘れられません。
「そうだわ!いいことを思いついたわ!」
それはクマと一緒に暮らすことでした。
クマも蜂蜜が大好きなので、きっと山ほど蜂蜜を持っているに違いないと考えたのです。
さっそくキツネは、クマの家をたずねて言いました。
「クマさん、クマさん。私と一緒に暮らしましょう。きっと、いい奥さんになりますから!」
「ああ、いいとも」
そうしてキツネとクマは一緒に暮らしはじめることになったのですが、あてにしていた蜂蜜はどこにもありませんでした。

クマは毎日森へ狩りに行き、おいしいご馳走をキツネに運んで来ましたが、それでもキツネはやっぱり蜂蜜のことが頭からはなれません。

ある日、キツネはクマにおねだりしました。
「蜂蜜が食べたいわ。なんだか無性に甘いものが食べたいの」
するとクマは村へ行き、大きな巣箱を二つもかついで帰ってきました。
「さあ、お食べ!でもひと箱食べたら、もうひと箱は冬のためにとっておくのだよ」
クマはそう言うと、巣箱の一つを屋根裏に隠してしまいました。

蜂蜜をあっという間に食べ終えたキツネは、まだまだ食べたくて仕方がありません。
しかし屋根裏に忍び込むには、うまくクマを騙さなければなりません。
キツネはクマに気付かれないように、尻尾で壁をトントントンと叩きました。
「だれだろう?戸を叩いているのは?」
クマが言いました。
「そういえばお隣さんの家に坊やが生まれたそうですわ。きっとお祝いに私を招いてくれたのよ」
「そうかい、それはめでたい!行っておいで。わしは昼寝でもしていよう」
キツネは外に出て行く振りをして、まんまと屋根裏に忍び込み、たっぷりと蜂蜜をなめました。
そして半分ほど残して、知らん顔で帰ってきました。
「赤ん坊の名は、何て付けたんだね?」
クマが聞くと、
「『タベハジメ』というそうよ」
「おかしな名前だねえ」
「そうかしら?いい名前じゃありませんか!」
と、キツネはそう答えました。

あくる日、キツネはまたしっぽで壁を叩きました。
「また誰かが来たよ?」
「別のお隣さんだわ。女の子が生まれたお祝いに、私をお客に呼んでくれたんですよ」
「そうかい、では行っておいで。わしは昼寝でもしているから」
キツネはまた屋根裏へ入り込んで蜂蜜をなめました。
もう巣箱の中には、少しの蜂蜜が残っているだけです。
キツネが帰ると、クマは聞きました。
「女の子にはどんな名前が付いたのかい?」
「『タベテルトチュウ』というの」
「おかしな名前だねえ」
「おかしくなんかありませんよ。とてもいい名前ですよ」

その次の日も、キツネはまたまた尻尾で壁を叩きました。
「おい、また戸を叩いているぞ?」
「また別のお隣さんがお客に呼んでくれたんですよ。坊やが生まれたお祝いにね」
「このところ毎日毎日、お客に呼ばれてばかりだね?」
「近所の人達に私が好かれている証拠ですわ」
「そうか。まあ行っておいで。わしは昼寝をするとしよう」
そうしてまたまた屋根裏へ忍び込んだキツネは、残りの蜂蜜を全部食べてしまい、更に箱をひっくり返して隅々まできれいになめてました。
キツネが帰ってくると、クマは聞きました。
「今度の赤ん坊の名前は何ていうんだい?」
「『ヒックリカエシテ、ナメチャッタ』ですよ」
「なんだって?そんな名前があってたまるものか!」
「ありますとも!」
キツネは白を切り通しました。

それから何日かして、クマは急に蜂蜜が欲しくなりました。
ところが屋根裏へ行ってみるとどうでしょう?
冬の備えに残しておいた巣箱の蜂蜜はすっかりからっぽ。
「女ギツネめ!蜂蜜をなめたのはお前だな!もうかんべんならん!喰い殺してやる!」
クマはカンカンに怒って追いかけましたが、キツネはサッサと逃げてしまいましたとさ。

(出典元:福娘童話集)

物欲に目がくらんで結婚しても、うまくいかないということでしょうかね?(笑)
寝てばかりいるクマもクマですが、キツネも言葉の節々にボロが出て、やがて破局を迎えるということを戒めた大人の童話だと思いましたヨ。

でもミツバチ自体は家族円満の象徴ですので、来年も良い年になりますようお祈り申し上げます!

 

ミツバチと鬼太郎のちゃんちゃんこ 2015/12/02(水)

先日(11/30)、マンガ家の水木しげる氏死去の訃報が報道されました。
はちぶんも大好きな作家さんでしたので、驚きとともに悔やまれて仕方がありません。

水木しげるといえばなんといっても「ゲゲゲの鬼太郎」ですね!
NHKの朝ドラ「ゲゲゲの女房」も欠かさず見てました!

彼の作品を見て一貫しているのは「目には見えないけれどある」――ということ。
妖怪もお化けも目には見えないけれども存在しているのだという、サン・テグジュペリの「星の王子様」にも似た深いテーマ性をずっと感じておりました。

ところでなぜこの話題を出したかといえば、あの鬼太郎のシンボルでもある黄色と黒の縞模様のちゃんちゃんこ、はちぶんにはミツバチをモチーフにしたのではないかと思えて仕方がなかったからです。

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出典:tezukaosamu.net

調べてみるとあのちゃんちゃんこは「霊毛ちゃんちゃんこ」というらしく、人?が死ぬ時にわずか1本だけ残す「霊毛」と呼ばれる一人一人のそれを編んで作られたものらしい。

ということは外人(金髪)と日本人(黒髪)の死人の髪の毛ということ!?(笑)

その特徴は、大きさや形が変幻自在で、燃やされたり切り刻まれても元に戻り、あるときは武器になり、またあるときは防御具になったり、目玉のおやじを乗せて空を飛ぶこともできるのだ!

はちぶんもひとつ欲しいっ!!

この黄色と黒の組合せ、色彩心理学的には黄色は「進出色」、黒は「後退色」と言うそうです。
進出色とは前に飛び出て見える色で、後退色とは逆に後ろに引っ込んで見える色のこと。
この2色を交互に置くことにより、非常に目立つコントラストとなって注意や警戒を強調させることができるというわけです。
なるほど工事現場のガードフェンスや踏切の遮断機なども黄色と黒の組合せというのもうなずけます!

これは動物の世界でもいえることで、スズメバチやトラなども黄色と黒で、自分が危険な動物であることを知らせているとかいないとか???

ともあれ鬼太郎のちゃんちゃんこがなぜ黄色と黒なのかはわかりませんが、どうもミツバチとはあまり関係なさそうですね。
もしかしたら水木しげる氏がまだ売れない頃、よく腐りかけのバナナを安価で買ってきて奥様と食べたというエピソードを思うとき、あの黄色と黒はそのときの傷んだバナナの色だったのかも知れませんネ!(笑)

水木しげるさんの訃報に際し、謹んでご冥福をお祈りいたします。

 

教草・第24「蜂蜜一覧」で紹介されている和蜂の養蜂(4) 2015/03/20(金)

そのようにして採れた蜂蜜の特徴です。

「また山間に養うものは、村里のものにこれをば量重くして、色もまた濃く、冬月は凝固す。」

野生のものと比較していますね。
やはり昔も野生のものの方が珍重されていたようですね。
また冬は凝固とは結晶する性質があると言っています。
本物の蜂蜜は昔も今も結晶しやすいのですね。

「さてその渣滓(さし)は、布の袋に入れて図の如く搾木す。

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搾るときは、再び蜜を得るといえども、その蜜には蜂子や蜂巣等が混ざれば下品とて、これを「シボリミツ」という。
夏月に至りて酸味を生ず。」

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蜜を搾った後の残りかすから、更に蜜を搾ろうというのです。
しかしそこには蜂の子や蜜ろうが混じってしまうので品質は低いと言っていますね。

しかし実際は、蜂の子の栄養素やローヤルゼリーやブロポリスも混じっていると考えられ、栄養素的にはかなり高いのではないでしょうか?
でも、夏になると酸味を生じるって?それって腐っているということやん!(笑)

搾りカスからなお搾り採った「シボリミツ」。
商品化できるかしらん?(笑)

まだまだ終わりません。
ここからが蜜ろうを作る作業になります。

「全く蜜を搾り取るころ、渣滓(さし)は再び布の袋に入れ、枠に繋ぎ、釜中に沈ませば湯の沸騰に従い、蝋分溶解して浮かぶを汲み取り、別の樽に冷定して後、鍋に入れて煮て溶解し、型に入れ凝固せしむ。
これを黄蝋という。」

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やり方はおよそ当場と同じで、巣のカスをお湯で溶かして蜜ろうを採ります。
当場ではここまでしかやりませんが、実は更に白蝋というのがあって、その作り方まで書いてあることに驚きました!

「また、これを白蝋となすには、釜に入れ適宜の水を加え煮て溶解せしめ、板にて汲み出し竹箸にて撹擾しつつ、水桶の中に淋瀝(りんれき)、その時は片々小さな塊となる。
これを筵の上に移し日光にさらし、乾かし、転廻両三度なせば白蝋となるなり。
もし日光甚だ強ければ、時々水を吹きかけ、その溶解するを防ぐなり。
また雲州にては、石灰百匆を藁にて焚き、この灰を共に水7合を混ぜて布袋にてろ過して、この灰汁は黄蝋5斤を晒すべし。
この割をもって黄蝋と共に釜に入れ、湯を加え煮て溶解せしめ、桶に移し、暫し沈静せししこの後、水桶中に瀝し、箸にて撹擾をせば凝固す。
これを晒し箱に広げ、日光に乾を斬るの如く3、4度晒すなきは、清潔なる白蝋を得るなり。」

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なるほど、なるほど、、、
今度時間があったらやってみよう!(笑)

そしていよいよ最後のまとめ部分になります。

「蜂蜜は安芸、周防、長門、日向、薩摩、筑前、石見、出雲、伊勢、紀伊、信濃、佐渡等、その他多し西南諸州より産出す。」

信濃も入っています。。。(V)

「その蜂を蓄養するの法に至っては、大抵相同じく、ただ踪蜜あるもの今出雲国吉村耨一郎、紀伊国菊池喜太郎の記すによりて、諸書に論説するものを参考してその概容を誌す。」

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これで終わりです。
「教草 第24 蜂蜜一覧」、意外と面白かったです!(笑)

追記
原文は変体仮名および古い言い回しにて書かれているため、読み下せなかった部分は我流にて読んでいますので、間違いがあったらゴメンナサイ!

 

教草・第24「蜂蜜一覧」で紹介されている和蜂の養蜂(3) 2015/03/13(金)

さて、ここからは蜜蜂の活動の様子が描かれます。

「この蜂、春の彼岸より10月中旬までの間、樹脂と蝋分あるものを多く採り来たり。」

春の彼岸ですから3月20日ころから10月中旬、太陽暦では11月中旬までの間ですね。
樹脂というのはひょっとしてプロポリスのことですかね?
そして蝋分ですから巣の材料になる蜜ろうを多く集めると言っていますね。

「淡黄色の蜜蜂は、その形が黄蜂に似て小さく、長さようやく3、4分、全身微黄色毛茸ありて背の淡黒羽の灰白色なり。」

1分をおよそ3ミリとすると、3、4分といえば11ミリくらいの大きさです。

「この蜂、人はイモムシといえども刺すことは少なく、もし刺したときは針がぬけて死んでしまう。」

よく分かりませんが働き蜂のことでしょうか?

「蜜蜂には野生と園生とありて、その野生の者は黄褐色にしてやや透明な房を作る。その形は扁平が少なく、両面に多くの蜜房がある。これを側面に立ち連ね、互いに軸をもって繋ぎ、あるいはその一隅を堂に接して作り、」

野生のミツバチは黄色で、巣も透明感があると言っているようです。
確かに和蜂の駆除に行って見た野生のミツバチの巣は、白くて透明感があり、形もダイナミックできれいだったような気がします!

「小窠ごとに卵を着け、花の蜜を採り来たりて蜂子に食餌をやり、上に白膜を覆い、また冬月の糧にするために別の巣に多くの蜜を貯える。」

ここは小窠の様子ですね。
小窠とはひとつひとつの小さな穴、つまり蜜房のことですね。
空いている蜜房には卵が産み付けられ、成長中の子には花粉や蜂蜜が与えられます。そしてその他の蜜房には蜂蜜が貯えられていき、冬期の食糧になります。
白膜というのはおそらく蜜蓋のことで、そこに溜まっている蜂蜜こそ、完熟蜂蜜なのでしょう!

食べた~い!!(笑)

そして巣箱の観察が始まります。

「蜜堂に出入り口の外に4、5匹看守する蜂ありて、出入りを検査し、他のものの入るを禁ずる。かつ空手にし、帰る蜂は敢て中に入るを許さず。その怠りを責るに似てり。」

巣箱の入り口に門番がいるというのです!
しかも出入りするミツバチをくまなく監視し、もし蜜も花粉も持ち帰ってこない者を見つけたら、
「なにをしておる!もう一度行って来い!」
と怠りを見逃さないといいますからスゴすぎだっ!!

次は越冬についての話になります。

「10月の末より翌2月頃まで、堂中に蟄して彼の蜜を食う。
故に蜜を切り取ること多きに過ぎるときは、動とありせば飢えに及ぶことあり。」

冬の間蜜蜂たちは、それまで蓄積していた蜂蜜を食べて過ごします。
人も同じで、今はそんなことはしませんが、昔は冬場でも蜜を切って食べていたのでしょう。
ところが切り取りすぎるとミツバチが飢え死にしてしまうと言っています。

「この時は、皿に蜜を盛って堂に入れて、その不足を補う。」

そんな時はお皿に蜂蜜を盛って不足を補ってください、という注意書きですね。(笑)

「かつ寒気も恐しきものなれば、ムシロにて堂を包みて暖所に置くなり。」

そして寒さ対策、ミツバチの巣箱は筵でくるんで温かい場所に置いてくださいという補足ですネ。

さていよいよ採蜜作業の説明に入ります。

「蜜を採るには大抵夏至の6月下旬の後、房の3分の2を切り取ってその一部は残し置くなり。」

まずは時期ですが、夏至の6月下旬以降で、採る分量は房の2/3。
全部採ってしまうと滅びてしまいますね。
そしてここには書いてありませんが、その際女王蜂を残しておかないとまずいですヨ!

「防州にては、秋の彼岸前後を適度にこれを切り、蜜堂の後面の戸を叩けば蜂みな全面に去る。
これにおいて戸を開き、小刀にて随意に切り取り箱を前に向け直し置かば、元の如く房を作る。」

防州で行われているコツが記されていますね。

「しかしながら一時に前後左右を切らぬよう注意すべし。
もし前後より一時に切り採りをば、蜂来て人の面を刺すことあり。」

欲張っていちどきに採ると蜂に刺されますよ!(笑)

「これを防ぐは図の如し。
粗布にて作りたる面をおおいその業をなすなり。」

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おおっ!養蜂具が出てきましたね!
いわゆる綿布です。

「又、手の及ばぬところは器械にて掻きだすなり。
切り採りたる房は布を敷くに、竹カゴあるいは篩(ふるい)の中に入れ、これを瓶の上におくと、日温のところに置けば蜜自ら流出して、その色黄褐にして飴の如し。」

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遠心分離機など使いません。
いわゆる古式養蜂における採蜜方法ですね。
これは当場でも行っています。

「このようにして採るものを「タレミツ」という窠上品なり。」

「窠」という漢字は現在ほとんど使われていませんが、蜂の巣を表わすもののようです。
なんとも美味しそうですね~!

 

教草・第24「蜂蜜一覧」で紹介されている和蜂の養蜂(2) 2015/03/11(水)

「一種横條すこぶる黒くして、蜜蜂とりはやや大なるものがあって、堂中に蟄居して蜜を喰らう。大抵八十八夜前より六月の末に至り、一堂に8、90もいる。これすなわち雄蜂にしてこれを「クロバチ」という。」

ここで雄蜂が出てきましたネ。
働き蜂より一回り大きくて黒いので、黒蜂と呼ばれていたようです。
「蟄居して蜜を喰らう」ですから、和蜂のオスもセイヨウミツバチのオスと同じで働きません。

「八十八夜前よりこの蜂衆蜂子まじりて箱より出入りする時期は、早近きうち分封ありと知るなり。」

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ここで分封の話が出てきました。
分封とはいわゆるミツバチの引っ越しです。
面白いのはその時期を「八十八夜前より六月の末」と言っているところです。
もちろんこれは旧暦ですので、現在の太陽暦にすれば5月の頭から7月の末にあたり、なるほどその時期はセイヨウミツバチも分封します。

続いて、

「また「アカバチ」という強そうで大きな蜂あり。しばしばやって来て蜜蜂に害を与える。注意して取り除くべし。
また褐色な淡黒斑ある蛾あり。7、8月の頃蜜の香を知って箱の中に入り蜜を食う。かつ羽を振るゆえ蜂を乱すことなり。これまた注意して取り除くべし。」

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ミツバチの天敵が出てきました。
ひとつはアカバチ、すなわちスズメバチの登場です。
「注意して取り除くべし」と言っていますが、どうやって取り除いていたのでしょう?

もう一つが「褐色な淡黒斑ある蛾」です。
図の色や形からスズメガの仲間だと思いますが、蛾も蜜を狙う天敵なのですね!

ここからいよいよ女王蜂が出てきます。

「蜜蜂の中に将軍と唱える肥大なる一匹の雌蜂あり。」

おお!女王蜂を将軍と称しましたか!女将軍だね!

「これは房の中心にいて、あえて外には出ない。ただ群蜂を指揮して巣と蜜を作る要務を指令している。」

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実際は指揮などしないで卵を産み続けているわけですが。。。(笑)

「この蜂は、大抵一房中3、4個を生み、分封するとき衆蜂3分の1はこれに従い去るゆえに、旧房の蜜は自ら減らず。
よって生長せざる前にこれを知るには、堂内に蜂の塊をなしたる半ばより、下へ霧を吹き入れ、数ばくの蜂が上面に登る時に、彼の房の下部に乳頭の如き形の巣(王台)があり、これ将軍と成るべき蜂子の住むところなれば、1個を残してその余りは切り去るべし。
もし多く分封を欲するものはあえて切り去るに及ばず。」

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なんだかすっごく詳しく書いてありますね!
なにらや王台を取り除く作業のようですが、霧を吹きかけて作業を行うなんて、昔の人はよく考えたものです!(笑)

そしていよいよ分封ですね!

「この切り残したる巣より生まれた新将軍は、大抵八十八夜の後、天気晴朗の日を選んで昼前に巣箱から出る。衆蜂はこれに従って出るが、これを分封という。」

現代の太陽暦では5月2日以降の晴天の日の昼前に分封がはじまると言っていますが、ホントかなあ?
まあ、時期的には合っていますが。

「このとき、遠くへ行ってしまわないように水をまき、蜂の羽を潤わせば、人家の軒下あるいは庭木に来て集まり、」

これはスゴイ!!
こんな知恵が江戸時代にあったんですネ!!

「ほとんど鞠(まり)の形を為すは、これにおいて新しい巣箱を持っていき、箒にて掃い落とし養えば、この中に房を作って蜜を醸して、一個の蜜堂となるなり。このようにして年々箱数を増やし養う。」

日本ミツバチは飼育がとても難しいはずなのに、いとも容易く巣箱を増やしてしまうとはっ!
恐るべし江戸人!!(笑)

 

教草・第24「蜂蜜一覧」で紹介されている和蜂の養蜂(1) 2015/03/07(土)

『教草(おしえぐさ)』ってご存知ですか?

これは彩色木版で、明治初頭に博物局から発行された書物です。
博物局というのは現在の東京国立博物館のことですね。

そこには江戸時代の日本の代表的な産物や産業を取り上げ、その製造過程を図解しています。
もともとは初等教育用の教材だったようですが、明治6年に開催されたオーストリア・ウィーン万国博覧会に出品するにあたり、全国から収集した伝統的な産業技術について、絵図資料として編集されたのでした。

中を見ますと、「稲米一覧」にはじまり「養蚕一覧」、「製茶」や「畳」、「こんにゃく」「豆腐」など、日本が世界に誇る30種の産物が取り上げられています。

その中で、24番目に紹介されているのが「蜂蜜一覧」なのです!

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そこに描かれる江戸時代の養蜂に、温故知新ではありませんが、学ぶことも沢山あります。

もっともまだ西洋式の養蜂はありませんでしたので和蜂の養蜂ですが、今日からシリーズで「教草・蜂蜜一覧」に書かれている内容をご紹介していこうと思います。

第1回は「教草・第24・蜂蜜一覧」冒頭部分です。

「深山大木の朽ち穴、または岩石の間に巣営し、獲る者稀に、その蜜を得るをあり。これも山蜜という。至って上品なりといえども、取買するに足らず。」

やはり蜂蜜は、当時から貴重な物だったのですね。

「園養のものはその初め、野生のものを捕ってきて家で養い、これより集めたるを家蜜という。通常の蜂蜜はこれなり。」

家で採取された蜂蜜を「家蜜」っていったんですね!

そして次に書かれているのは養蜂する際の巣箱についてです。

「石州では、はじめ山中の大樹に巣を営しても「ラッポ」といって、藁など丸く編んだ物に砂糖など入れ、その処に釣り置けば役蜂この中に集まり、持ち帰って家の外に養う。」

石州とは島根県のあたりでしょうか?
「働きバチ」を「役蜂」とはなかなかの言い回しですね。
それにしても砂糖でミツバチをおびき寄せたのですね!(笑)

「紀州にて養う箱は図の如し。杉の四方板のその外部は削って、内部は挽きさいたままのものにて製し、その前後を揚戸にて戸の下に蜂の出入する小穴を穿ち、底板は前後1寸ほど縁を出し、蜂の棲み止まるる便を。」

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紀州は和歌山県のあたりでしょうか。
丁寧に巣箱の作り方まで書いています。

「雲州にては同大の箱をいくつも作っておき、蜂の巣(房)のかさにも従い、これを重ね置き、これを継箱という。また風雨の内に入るを防ぐために前は低く後ろは高い4柱の台を作り、その上に箱を据え置く。あるいはまた台を用いて人家の軒下や樹陰などに釣って養う。」

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雲州は出雲の別称ですので島根県でしょう。山陰地方は養蜂が盛んだったんですね!
西洋式養蜂でも巣箱を重ねますが、このときすでに「継箱」というのがあったんですね!

「野州にては樽をムシロにて巻き軒下へ横につり、その内に養う。」

野州は下野のことですから栃木県のあたりでしょう。
日本の地方地方によって、いろいろな養蜂の仕方があったのですね!

な、なんか知らないことばかりで感動で~す!!

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「蜂の種類に至っては、各地同じではない。今、その1、2を挙げる。信州木曽の産は全身灰黄色なり。これを「ヘボ」という。また黄斑紋の物あり、「トラバチ」という。」

信州が出てきました!木曽ですが。。。
蜂の子をヘボと呼ぶのはここから来ているのですね!

「薩摩の産は性質が至って温和。同州日置郡の産は茶褐色にして大きさ3、4分なり。」

今度は薩摩です。九州鹿児島のミツバチは温和なんですね!
地域によってミツバチの性格も違うなんて。。。

「雲州の産は形状は薩摩産のものと同じで性質は温和にして人に親しむ。これを「キンバチ」という。また雲州には「ヤマミツバチ」「クマミツバチ」の二種あり。性質は鋭にして養い難し。」

また雲州が出てきましたね。
金蜂なんてどんなミツバチかしらん?
それに山ミツバチに熊ミツバチと、みな聞き慣れない名前ですが、「鋭にして養い難し」ですからアシナガバチとかクマバチの類ではないでしょうか?

 

ドラえもんの秘密道具「縁むすビー」 2014/12/19(金)

今日ご紹介するのはドラえもんに登場したひみつ道具の一つ。。。
その名も、、、

「縁むすビー」(←ドラえもんの声で)

「ビー(bee)」と付くからにはミツバチと関係ありそうです!

この道具は蜂の巣の形をした小さな容器で、ボタンを押すとつがいのミツバチロボットが出てくるらしい。
この2匹のミツバチロボットの針は赤い糸でつながっており、刺された二人は引き寄せられるという代物です。(笑)
しかもレベルが3段階あり、最少レベルの場合は短時間で効き目が消えるのですが、最大レベルに設定すると、王冠をかぶった女王バチロボットが出現し、離れたくても離れられない関係になるという強力な効果を発揮するのだそうな(笑)

「○○をする縁むすビー」
あるいは、
「○○になる縁むすビー」
と唱えて、縁を結びたい2人の名を言うと、ミツバチロボットがその2名の頬を刺します。
すると二人は結ばれる。

さて、しずかちゃんと一緒になりたいのび太君。
「しずかちゃん」と言おうとしたところが、ちょうどかかってきた電話に出てしまい、思わず、
「ジャイ子ちゃん」
と言ってしまうというオチ。。。

最近の車のコマーシャルで、前田敦子ちゃん演じるジャイ子と妻夫木聡さん演じるのび太の因縁は、もしかしたらこの時に結ばれていたのかもしれませんね!(笑)

もし「縁むすビー」が本当にあったら、みなさんは誰と結ばれたいですか?

 

松本零士のデビュー作は「蜜蜂の冒険」! 2014/12/18(木)

松本零士氏といえば「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」などの不朽の名作を生み出したマンガ界の巨匠ですネ!
筆者も青春時代は氏の描く世界にロマンを抱き、ゴダイゴの歌などもよく口ずさんだものです。(笑)

その氏のデビュー作といえば何かご存知ですか?
実はそのタイトル、「蜜蜂の冒険」というんです!

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零士サイト 株式会社アートスペースの社長ブログより
http://blog.livedoor.jp/leiji_site/

松本零士氏のデビューは1954年、高校1年生の時。
「蜜蜂の冒険」が『漫画少年』に掲載され、第一回長編漫画新人王に選ばれたのでした。

その後氏は、『毎日小学生新聞』という機関紙に昆虫を主人公にしたマンガを連載し、その原稿料で授業料や服や教科書を買っていたといいますから働きながら学ぶ苦学生だったんですねぇ~!

内容は、蜜蜂の子ハニイーが蜜を採りに行って帰るまでの物語。
カブトムシやクモやクマンバチに遭遇する冒険物のようですが、残念ながら筆者は読んだことがありません。

「蜜蜂の冒険」読みたい!!

と。。。そこではちぶんは考えました。
「デビュー作でミツバチを題材に扱っているのなら、きっと他の作品の中にもミツバチが出てくるに違いない!」

すると、、、

ありました!!
「銀河鉄道999」の中で「聖女王の反乱星」という惑星に「999号」が停車しているではありませんか!

停車時間18時間4分5秒(笑)。。。
この星に住むのは蜂が進化した人間達で、蜂社会の秩序と習性がそのまま保たれている社会なのです。
現在勢力を二分しているのはミツバチ族とスズメバチ族。
鉄郎とメーテルが下車しのは、まさにその2つの種族に紛争が勃発しようとする時でした。

物語に花を添えるのはミツバチ族のマーヤとジガバチ族のダムとの愛。
ダムは悲惨な星の歴史をフィルムに残そうとする戦争カメラマンです。

おせっかいな鉄郎は単身ミツバチ族宮殿に乗り込み、戦争を中止するよう女王に頼みますが、蜂社会の掟は誰にも止められません。
やがて戦闘が始まり、マーヤは一戦闘員となってスズメバチ族と戦います。
そしてその様子を涙をこらえながらフィルムにおさめるダム。
しかしついにマーヤは撃たれて倒れてしまいます。

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「カメラを止めないで!撮るのよ!このむなしい戦いの真実を!」

恋人の最後の言葉を受け止めたものの、ダムも流れ弾に当たって死んでしまいます。
倒れ込み、互いにつかみ合おうとした手はあと数センチのところで触れ合うことはありませんでした。

地面に落とされ動いたままのカメラが、二人の最後を映しているシーンがとても印象的でした。

それにしても最近はロマンとか、ホント少なくなりましたねえ。。。

 

「ハチのムサシは死んだのさ」 2014/12/18(木)

こんな曲を見つけました。



どこかで聞いたことがある有名な曲ですね。

これは『ハチのムサシは死んだのさ』という1972(昭和47年)のヒット曲で、その年のレコード大賞編曲賞を受賞した上にNHK紅白歌合戦にも出場したそうです。(作詞:内田良平/作曲:平田隆夫)

歌っているのは平田隆夫とセルスターズ。
このグループのことはよく知りませんが、それより歌詞が意味していることがよく分からないことに大きな興味をそそります。

「ハチのムサシは死んだのさ
畑の日だまり土の上
遠い山奥麦の穂が
キラキラゆれてる午後でした」

ハチといえば誰もが昆虫の蜂を連想するでしょう。
だから「ハチのムサシ」といえばムサシという名前のミツバチではないかと、たいていの人は思うに違いありません。

続いて、

「ハチのムサシは向こう見ず
真赤に燃えてるお日様に
試合をいどんで負けたのさ
焼かれて落ちて死んだのさ」

このハチは、無謀にも太陽に戦いを挑み、負けたと歌っています。
なぜそんな無茶な戦いをしたかは分かりませんが、太陽が相手では勝てるわけがありません!(笑)

「ハチのムサシは死んだのさ
お日様仰いで死んだのさ
高い青空麦畑
いつもと変わらぬ午後でした」

ここでハチのムサシが死んだことを強調し、その死に様は、挑んだ相手(太陽)を「仰いで」と言っていますから、死んでも前進しようとする勇ましさを謳っているのでしょうか?
そして麦畑は、青空と同様、広い草原をイメージさせようとしているのでしょう。
ところがそれは、いつもと変わらぬ午後と言っていますから、ハチが死んだことはとても小さな出来事だったことを表現していますね。

2番に入り、

「ハチのムサシは死んだのさ
夢を見ながら死んだのさ
遠い昔の恋の夢
ひとりぼっちで死んだのさ」

ここで実はムサシは昔、恋をしていたことが明かされます。
そして、一抹の未練を残して一人で死んでいったのでした。。。

続く歌詞は、

「ハチのムサシは向こう見ず
お日様めがけて剣を抜き
たたかいやぶれて死んだのさ
焼かれて落ちて死んだのさ」

ここは1番と同じ繰り返しですが、ムサシは剣を使って戦ったことが分かります。
ハチですから蜂女(前回のブログで扱った)と同じフェンシングでしょうか?(笑)

「ハチのムサシは死んだのさ
たしかにムサシは死んだのさ
やがて日は落ち夕暮れに
真赤な夕日が燃えていた」

青空が夕焼けに変わる時間の経過を表現しているのでしょう。
しかし、「たしかに死んだ」と、死んだことを強調していることにより、もしかしたらハチのムサシは死んでいないかもしれないというニュアンスを引き出していますね。

しかし全体を通して結局なにを言おうとしているのかよく分かりませんヨ~(笑)

Wikipediaによれば、1960年代の学生運動を示唆したものだともありますが、ある人は「ハチのムサシ」とは「八八艦隊」の「戦艦武蔵」のことだと言う人もいるようです。
いずれにせよ真意はよく分かりませんね。

ちなみにはちぶんは「ハチのムサシ」とははちぶんと同じミツバチだと思っています。
きっと遠いむかし日照りが続き、干ばつで愛する彼女を太陽に焼き殺されたのでしょう。
時を経て、同じ太陽の日差しを見たとき、ムサシはメラメラと当時のことを想い出し、太陽に復讐しようと一人で勝てるはずのない太陽に戦いを挑んだのだと思いました。
その背景には、ミツバチという小さな自然と、太陽という大きな自然の間に通う、大自然の厳しさと摂理を感じますネ!

当時はアニメ『みなしごハッチ』の人気も高かったようだし、作詞者はきっとその人気にあやかって冗談半分で作った曲が、たまたま大ヒットを記録したのではないかと思っています。(ファンの方がいたらゴメンナサイ!)

でも曲調も含めた全体として、なんだかとても不可思議な魅力が漂う曲ではありませんか?

 

仮面ライダーに出て来る怪人「蜂女」 2014/12/18(木)

久し振りに「蜂の出て来る話」をご紹介します。
今回は『仮面ライダー』に出て来る怪人です。
その名も「蜂女」!(笑)

『仮面ライダー』といえば1971年(昭和46年)から放送された子供向けのヒーロー番組ですが、主人公の本郷猛が変身して悪の秘密結社ショッカーを倒す物語に毎週胸をワクワクさせて見たものです。(←年がバレてしまう!)

今回ご紹介する「蜂女」は、第8話「怪異!蜂女」に登場する仮面ライダー史上初の女怪人ということで、胸の黄色と黒の波紋模様が印象的ですネ。(笑)

ファイル 662-1.jpg

物語のカギになるのがメガネ。
ショッカーの手先のメガネ屋さんで買ったメガネをかけると、蜂女の羽から発せられる超音波でマインドコントロールされショッカーに操られてしまうのダ!
メガネで操られた人々はショッカーの毒ガス製造工場に集められ強制労働を強いられる。

そのたくらみを知った本郷猛は、仮面ライダーに変身し蜂女と戦うことにっ!!
ちなみに仮面ライダーのモデルになったのがバッタというから、ハチとバッタの戦いだぁ!

この蜂女、得意技がフェンシング。
剣先には麻酔薬や毒薬を仕込んでいるらしい。
蜂は毒針で刺すという非常に分かりやすい設定ではないかっ!(笑)

しかし最後は羽を切られ、結局ライダーキックでやられてしまう。
蜂女は黄色い液体になって消滅するが、あれはもしかしてハチミツか?

しかしよく見るとこの蜂女、けっこうカワイイかも。。。?

ファイル 662-2.jpg

それにしても現在なお続く仮面ライダーシリーズは、もはや日本人のDNAになっているのかもしれませんね!

 

「赤毛のアン」のアンの想像の中に出て来る蜂 2014/05/22(木)

いまNHKの朝ドラで取り上げられている「赤毛のアン」。
村岡花子訳の「赤毛のアン」を読んでいたらこんなセリフが出てきました。

アンは孤児院からもらわれてきた、想像することが大好きでとてもおしゃべりな女の子です。
見るもの聞くことを題材に、そこから自分の妄想の世界に入り込んで周囲を明るくしてくれます。
その中にこんなセリフがありました。

「あら、ごらんなさい。大きな蜂がりんごの花からころがり落ちたわ。なんてすてきな住み家でしょうね――りんごの花って。風にゆすぶられながら、その中で眠るなんてどうでしょう。もしあたしが人間の女の子でなかったら、蜂になって花の中に住みたいわ」

アンのように絶えずベラベラしゃべる子が身近にいたらうるさくて仕方がないでしょうが(笑)、アンのようにいろいろ想像できたらこの世の中は本当に楽しいでしょうネ!

はちぶんもアンを見習おう!

そうそう話は変わりますが、今晩から社長に同行して中国に行くことになりました!
当場で扱っている中国のはちみつを採取する養蜂家さんの視察です。
いわゆる中国産の安い濃縮はちみつとは違う、中国産の本物のはちみつの採蜜現場をこの目で見てきますネ!

時間があったら随時ブログをアップしていきますよ~!
興味のある方は当ブログをチェックしてください。

 

仏教説話に出てくる蜂蜜「王舎城の悲劇」 2014/03/03(月)

今回は久しぶりに「はちみつが出てくる話」で、仏教の『観無量寿経』という経典に出てくる物語をご紹介したいと思います。

タイトルは「王舎城の悲劇」。

王舎城とは昔インドにあったマガダ国という国の首都の名。
そしてこの物語は、お釈迦様がいた当時、王宮内で起こった親子の争いもとにした実話らしいです。

「王舎城に頻婆沙羅(ビンビサーラ)という王がおりました。
王とお釈迦様は親しく、王は釈尊に竹林精舎を寄進したほどでした。

その王子に阿闍世(あじゃせ)がいます。
彼は王妃の韋提希(いだいけ)夫人との間にできた子でした。

あるとき阿闍世は、あの悪名高き提婆達多(だいばだった)にそそのかされて、王位につこうと父を幽閉してしまいます。

王は水も食料も与えられず獄死しそうになりますが、そこに妻の韋提希が現れます。

蜂蜜が登場するのはこの場面―――
韋提希夫人は夫を助けるために体中に蜂蜜を塗り、衣服にブドウジュースを隠してひそかに王のところへ届けたのでした。
なんかちょっとエッチな感じもしますが(笑)、妻は夫を助けるために必死だったのでしょう。

しかし、ついに韋提希も見つかってしまい、王と同様に幽閉されてしまいます。

なすすべもなく、すっかり疲れ果てた韋提希は、近くの町に逗留していたお釈迦様を思って礼拝します。
すると、その心を察したお釈迦様は、神通力を使って弟子の目連と阿難を引き連れて彼女の前に現れたのでした。

韋提希夫人は、
「私は過去世にどのような罪があって、あのような親不孝な子供を産んだのでしょう?」
と問います。

すると、お釈迦様の眉間から光が放たれ、十方の仏国土を照らして彼女に見せたのでした。
「世尊よ、私もこんな国に生まれたい。どうかあそこへ行くための修行の方法をお説き下さい」
と韋提希は、牢獄の中にあって大きな安らぎを感じたのでした―――」

という物語です。

現実逃避の話であまり好きではありませんが(笑)、蜂蜜って西洋ばかりでなく、東洋にもずっと昔からあったのですネ!

 

師走は忙しいっ! 2013/12/20(金)

日本では師が走るほど忙しいということで、12月は「師走」といいますね。
別に師でなくとも年の瀬はなにかと忙しいですが。。。(笑)

で、、、

欧米ではこの「すごく忙しい」ことを、次のような表現をすることがあるそうです。

As busy as a bee

beeが出てくるということは、何やら蜂が関係しているようです。

直訳すると「ミツバチのように忙しい」。。。
つまり忙しさの代名詞にミツバチが使われているってわけ。

欧米ではミツバチは忙しい生き物とされているんですね!

なるほど彼らの動きを見ていると、片時も休まず働いています。
おまけにぶんぶんと音をたてているから、なおさら忙しく見えるのかもしれません。

今は当場のミツバチたちも春まで休養ですが、私たちもミツバチを見習ってガンバリましょう!(笑)

 

島崎藤村の「家」に出てくる蜂の子 2013/12/10(火)

島崎藤村といえば日本を代表する作家ですが、今日は彼が書いた「家」という作品の中に出てくる蜂の子を紹介したいと思います。

この「家」という作品は、木曾にある小泉家と橋本家という二つの旧家の衰亡を描いた小説ですが、蜂の子が登場するのは上巻の最初の方で、小泉家から橋本家に嫁いだお種のところに、弟の三吉が東京から来て、仕事を終えて帰る時にちょっとだけ出てきます。

『三吉と姉も名残を惜むという風で、
「お前さんに食べさせてもやりたいし、持たせてもやりたいと思って、今三人掛りで、この蜂の子を抜くところだ。見よや、これが巣だ。えらい大きな巣を作ったもんじゃないか」
五層ばかりある地蜂の巣は、漆の柱を取離して、そこに置いてあった。
お種はお仙やお春と一緒に、子は子、親に成りかけた蜂は蜂で、一々巣の穴から抜取っていた。
この地蜂は、蜜蜂などに比べるとずっと小さく、土地の者の珍重する食料である。
三吉も少年の時代には、よく人について、この巣を探しに歩いたものである。
「母親さん、写真屋が来ましたから、着物を着更えて下さい」
こう正太がそこへ来て呼んだ。
「写真屋が来た?それは大多忙しだ。お仙――蜂の子はこうして置いて、ちゃっと着更えまいかや。お春、お前も仕度するがよい」
とお種は言った。』

木曽の馬籠込で生まれた藤村は、幼少の頃から蜂の子をとびっきりのご馳走として食べていたのでしょう。

蜂の子を巣から抜き取る作業って、けっこう手間もかかるし根気もいるんですよね。(笑)

彼の小説には、こんなふうにしばしば蜂の子が登場しますヨ。
時間のある方は、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか?

 

島崎藤村の「ふるさと」に出てくる蜂 2013/06/18(火)

島崎藤村を読んでいると、ときたま蜂が出てきます。

中でも彼の幼少期を題材に書かれた「ふるさと」という作品には、木曽で過ごした日常生活が生き生きと描かれ、蜂もしばしば登場します。
特に第44項のタイトルが「蜂の子」。
蜂の子が生活の中にごく自然にあったことが知れます。

『地蜂という蜂は、よくよく土のにおいが好きと見えまして、地べたの中へ巣をかけます。土手の側のようなところへ巣の入口の穴をつくっておきます。蜜蜂、赤蜂、土蜂、熊ン蜂、地蜂――木曽のような山の中にはいろいろな蜂が巣をかけますが、その中でも大きな巣をつくるのは熊ン蜂と地蜂です。』

そして蜂の子を佃煮にして食べるんだという話が出てきます。

『父さんの田舍の方ではあの蜂の子を佃煮のようにして大層賞美すると聞いたら、お前達は驚くでしょうか。一口に蜂の子と言いましても、木曽で賞美するのは地蜂の巣から取った子だけです。蜂の親は食べませんが、どうかするとあの巣の中からは親になりかけたのが出て来ます。それを食べます。(中略)もしお前達が木曽でいう『蜂の子』を食べ慣れて、あたたかいご飯の上にのせて食べる時の味を覚えたら、
「父さん、こんなにおいしものですか。」
と言うようになるでしょう。』

まさに当場で扱っている「ハチの宴」という蜂の子商品のことですネ!(笑)
面白いのは、その後、蜂の子の見つけ方が書かれているところです。

『ある日、友おじさんは裏の木小屋の近くにある古い池でカエルをつかまえました。土地のものが地蜂の巣を見つけるには、まずカエルの肉を餌にします。それを友おじさんはよく知っていましたから、細い竿の先にカエルの肉をさし、飛んで来る蜂の眼につきそうな場所に立てて、別に餌にする小さな肉には紙の片をしばりつけて出しておきました。ちょうど釣りをするものが魚を待っているように、友おじさんは蜂の来るのを待っていました。カエルの肉を食べに来た蜂は餌をくわえて巣の方へ飛んで行きますが、その小さなカエルの肉についた紙の片で巣の行方を見定めるのです。』

なるほど、スズメバチの駆除の際、巣を見つける時に使う手法と同じです。
地蜂というのはクロスズメバチのことですから肉食なんですね!

『こうして友おじさんは近所の子供達と一緒に、ある地蜂の巣を見みつけたことがありました。地蜂の巣を取りに行くものは、巣の出入口へ火薬を打ち込んで、たくさんな親蜂が眼を回している間に獲物を手に入れるのだと聞きました。そして巣を持って逃げ帰るのだと聞きました。どうかすると生き返った蜂に追われて刺されたという人の話も聞きました。』

そして藤村は、

『そうなると鉄砲をかついで獸を打ちに行くも同じようなものです。』

と、この項をまとめます。
つまり蜂の子を取りに行くのも命がけだと。

それにつけても近年この地蜂が少なくなってしまい、いまや蜂の子は超高級食材になってしまいました。
でも一度は食べてみたいと思いませんか?(笑)

 

日本のファーブルと呼ばれたハチの研究者たち 2013/04/26(金)

“ハチ学”とはあまり聞かない言葉ですが、日本のそれは世界の中でもトップレベルだといいます。
その背景には優れた先覚者がおり、今日は“日本のファーブル”と呼ばれる3人の学者を紹介したいと思います。

まず1人目は、岩田久二雄博士(1906~1994年)です。

大阪で生まれた氏は、京都大学で理学博士の学位を取得し、昆虫学者・生態学者として活躍した昆虫行動研究の草分けです。
特にハチ類の習性研究に没頭し、高校生の時から蜂の習性研究を行っていたといいます。
氏の業績のひとつとして、繁殖習性を5つに分類し、普遍的に比較できる方法を提示したことなどが挙げられます。
著書に「ハチの生活(岩波書店)」、「自然観察者の手記(朝日新聞社)」などがあります。

2人目は常木勝次博士(1908~1994年)です。

埼玉県出身の氏は岩田博士と並び称される昆虫学者で、北海道大学や福井大学の教授を経て、退官後も精力的に約500編もの論文や出版物を著わしました。
中でもハチ類の動物心理学的研究で世界トップレベルといわれる多くの論文を残しています。
著書に「ハナダカバチ研究記(札幌講談社)」、「アリの生活(札幌講談社)」などあります。

3人目は坂上昭一博士(1927~1996年)です。

千葉県で生まれ北海道大学農学部を卒業し、同大学院理学研究科博士課程を修了して昆虫社会学者になりました。
そのときの論文が「ミツバチに於ける視覚学習の知覚心理学的研究」。
その後、北海道大学の講師、助教授、教授を経、特にハナバチ類の研究をし、いくつもの賞を受賞しています。
著書に「ミツバチのたどったみち(思索社)」、「ハチとフィールドと(思索社)」などがあります。

実は彼らには共通点があります。

それは、彼らがハチ研究をするようになったきっかけが、いずれも子供の頃に読んだ「ファーブル昆虫記」だったというのです。

3人の博士の研究もさることながら、彼らに大きな影響を与えたファーブルという人物は、やはり偉大ですネ!

 

葛飾北斎の描いた蜂~第2弾 2013/03/07(木)

以前も一回、北斎漫画にある葛飾北斎が描いた蜂を紹介しましたが、浮世絵にもみつけましたので、今日はそれを紹介したいと思います。

タイトルは「菊と蜂」。

ファイル 434-1.jpg

鮮やかな何種類もの大小の菊の花を、その花びらの裏まで描いて花の重厚感を持たせながら、左上に一匹の蜂を描くことで絵に動きを加え、また、見る者の心をなごます工夫を凝らしたサスガ北斎という作品ですね。

菊は秋の花で、日本という国を象徴するばかりか、「高貴」とか「高尚」といった花言葉の意味もあります。
時季的に蜂は飛んでいたのだろうか?と首を傾げてしまう要素もありますが、まあそこは気にせず鑑賞しましょう。(笑)

これは北斎が描いた花鳥画のひとつで、他に「桔梗と蜻蛉」や「アヤメにキリギリス」などがあります。

実はこの絵、調べていくと、別にもうひとつのタイトルがあるようです。
それは「菊に虻(あぶ)」というのです。

この飛んでいる虫は蜂だろうか?虻だろうか?

どちらでもいいではないかと思うかも知れませんが、はちみつ家のブログとしてはそういうわけにはいきません。(笑)

……と、少し色も画質も違うのですが、北斎の同じ構図の同じ絵を見つけました。
タイトルは「菊に虻(あぶ)」……。
しかも親切に飛んでいる虫の部分を拡大してくれています。

ファイル 434-2.jpg

むむ……っ!?
羽根が4枚あるではないか!

先日のブログのおさらいで、アブには羽根は2枚しかないはずです。
よって、ここに描かれている虫は、紛れもない「蜂」であると断定できました。

あ~、スッキリした!(笑)

 

カナダの芸術家アグネッタ・ダイクさんの作品 2013/03/06(水)

今日はちょっと変わった芸術作品を紹介したいと思います。

ファイル 433-1.jpg

これはカナダで養蜂をしながら、ミツバチの巣の造形美をそのまま取り込むといった技法で作られた、カナダのアグネッタ・ダイクさんという女性芸術家の作品です。
ちょっとステキだと思いませんか?(笑)

どのようにして作るかというと至ってカンタン?←怒られちゃうかな?(笑)

ミツバチの巣箱に、お部屋に飾るような造形物を置いておくだけ?
するとミツバチはその周囲を少しずつ巣で覆っていくのだそうです。

なんだか当場でもできそう!(笑)

でも彼女は長年、ミツバチの羽音やダンス、さらには人間との関係など、フランスやオランダやイギリスなど、いくつかの町を訪問しながらミツバチの研究を重ねてきたそうです。
そうして生み出した技法を真似するなんてちょっとズルイですね。(笑)

それにしても作品の魅惑的な美しさは、どこか神秘的なものすら感じられます。
きっとミツバチを愛し、尊ぶ心から生まれた美しさなのかもしれません。

人間とミツバチとの共同作業で作られた素敵な芸術ですネ!

参考:http://inspiration-of-the-nation.com/2012/03/apisculpture-by-aganetha-dyck.html

 

牛の第二胃のことを“ハチノス”という? 2013/02/21(木)

牛には4つの胃があることはよく知られていますね。
なぜ牛の話をするかというと、それは次でわかります。(笑)

牛は第1から第4の胃を持ち、食べた物を反芻しながら消化していきますが、そのうちの第2胃のことを“ハチノス”というんです!

なぜ「蜂の巣」なのかといえば、内面の絨毛が六角形が並んだ蜂の巣のようになっているためだそうで、一度食べたエサを食道まで押し戻す役割を持っているのだそうです。

ちなみに4つの胃の中で、人間の胃と同じような役割をしているのは第4胃で、これを「ギアラ」というそうです。
さらに、第1胃は植物の繊維を分解する役割があり、「ミノ」といってこれは焼肉屋でもよく見かけますね。
そして第3胃は「センマイ」、入るものの量を調整する役割があるのだそうです。

でも、牛の胃袋にも蜂に関係する言葉が使われているなんて、蜂の歴史は古い!
古すぎるせいか、“ハチ”の語源っていまだにハッキリしていないんですヨネ~。

 

HONEYというタイトルの曲 2013/01/29(火)

訳もなく「HONEY」というタイトルの曲を探してみました。(笑)

今回探したのは「** HONEY」とか「HONEY **」という複合語ではなく、単語一つで「HONEY」という曲です。
するとありました、ありました。

まず、L'Arc~en~Cielの「HONEY」。
http://www.youtube.com/watch?v=mYHMdxaJSAo

次に、大橋トリオの「HONEY」。
http://www.youtube.com/watch?v=9E8pcmWavdQ

そして、Karaの「Honey」。
http://www.youtube.com/watch?v=QZZPW4dWnkA

海外に目をむければ、マライア・キャリーの「Honey」。
http://www.youtube.com/watch?v=9SUy0GrvXCA

最後は、まきちゃんぐの「ハニー」。
http://www.youtube.com/watch?v=FTWraGxrgRs

他に知っている「HONEY」って曲、ありますか?(笑)

 

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