ミツバチと共に90年――

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ハチミツの好きなキツネ

年末で気ぜわしいですが、蜂蜜が出て来る昔話を見つけましたのでご紹介します。
これはウクライナの話らしいのですが、現代人にも通用する戒めが描かれていますネ!

「蜂蜜が好きなキツネ」

むかーし昔、あるところに蜂蜜が大好きな女のキツネがおりました。
ところがなかなか蜂蜜にありつけず、ほとほと困っておりました。

そこでキツネは蜂蜜のありそうな場所を考えました。
「そうだわ!ミツバチの巣箱をのぞきに行ってみましょう。そこなら蜂蜜をたっぷり食べられそうだから!」
さっそく村へ出かけたキツネは、農家が飼っているミツバチの巣箱に忍び寄りました。
そして、そろりそろりと手をのばしかけた時、ミツバチたちに見つかり、さあたいへん!
怒ったミツバチたちは、羽音をブンブンさせながらキツネめがけて飛びかかり、キツネは命からがら逃げだしました。

キツネはどうしても蜂蜜のことが忘れられません。
「そうだわ!いいことを思いついたわ!」
それはクマと一緒に暮らすことでした。
クマも蜂蜜が大好きなので、きっと山ほど蜂蜜を持っているに違いないと考えたのです。
さっそくキツネは、クマの家をたずねて言いました。
「クマさん、クマさん。私と一緒に暮らしましょう。きっと、いい奥さんになりますから!」
「ああ、いいとも」
そうしてキツネとクマは一緒に暮らしはじめることになったのですが、あてにしていた蜂蜜はどこにもありませんでした。

クマは毎日森へ狩りに行き、おいしいご馳走をキツネに運んで来ましたが、それでもキツネはやっぱり蜂蜜のことが頭からはなれません。

ある日、キツネはクマにおねだりしました。
「蜂蜜が食べたいわ。なんだか無性に甘いものが食べたいの」
するとクマは村へ行き、大きな巣箱を二つもかついで帰ってきました。
「さあ、お食べ!でもひと箱食べたら、もうひと箱は冬のためにとっておくのだよ」
クマはそう言うと、巣箱の一つを屋根裏に隠してしまいました。

蜂蜜をあっという間に食べ終えたキツネは、まだまだ食べたくて仕方がありません。
しかし屋根裏に忍び込むには、うまくクマを騙さなければなりません。
キツネはクマに気付かれないように、尻尾で壁をトントントンと叩きました。
「だれだろう?戸を叩いているのは?」
クマが言いました。
「そういえばお隣さんの家に坊やが生まれたそうですわ。きっとお祝いに私を招いてくれたのよ」
「そうかい、それはめでたい!行っておいで。わしは昼寝でもしていよう」
キツネは外に出て行く振りをして、まんまと屋根裏に忍び込み、たっぷりと蜂蜜をなめました。
そして半分ほど残して、知らん顔で帰ってきました。
「赤ん坊の名は、何て付けたんだね?」
クマが聞くと、
「『タベハジメ』というそうよ」
「おかしな名前だねえ」
「そうかしら?いい名前じゃありませんか!」
と、キツネはそう答えました。

あくる日、キツネはまたしっぽで壁を叩きました。
「また誰かが来たよ?」
「別のお隣さんだわ。女の子が生まれたお祝いに、私をお客に呼んでくれたんですよ」
「そうかい、では行っておいで。わしは昼寝でもしているから」
キツネはまた屋根裏へ入り込んで蜂蜜をなめました。
もう巣箱の中には、少しの蜂蜜が残っているだけです。
キツネが帰ると、クマは聞きました。
「女の子にはどんな名前が付いたのかい?」
「『タベテルトチュウ』というの」
「おかしな名前だねえ」
「おかしくなんかありませんよ。とてもいい名前ですよ」

その次の日も、キツネはまたまた尻尾で壁を叩きました。
「おい、また戸を叩いているぞ?」
「また別のお隣さんがお客に呼んでくれたんですよ。坊やが生まれたお祝いにね」
「このところ毎日毎日、お客に呼ばれてばかりだね?」
「近所の人達に私が好かれている証拠ですわ」
「そうか。まあ行っておいで。わしは昼寝をするとしよう」
そうしてまたまた屋根裏へ忍び込んだキツネは、残りの蜂蜜を全部食べてしまい、更に箱をひっくり返して隅々まできれいになめてました。
キツネが帰ってくると、クマは聞きました。
「今度の赤ん坊の名前は何ていうんだい?」
「『ヒックリカエシテ、ナメチャッタ』ですよ」
「なんだって?そんな名前があってたまるものか!」
「ありますとも!」
キツネは白を切り通しました。

それから何日かして、クマは急に蜂蜜が欲しくなりました。
ところが屋根裏へ行ってみるとどうでしょう?
冬の備えに残しておいた巣箱の蜂蜜はすっかりからっぽ。
「女ギツネめ!蜂蜜をなめたのはお前だな!もうかんべんならん!喰い殺してやる!」
クマはカンカンに怒って追いかけましたが、キツネはサッサと逃げてしまいましたとさ。

(出典元:福娘童話集)

物欲に目がくらんで結婚しても、うまくいかないということでしょうかね?(笑)
寝てばかりいるクマもクマですが、キツネも言葉の節々にボロが出て、やがて破局を迎えるということを戒めた大人の童話だと思いましたヨ。

でもミツバチ自体は家族円満の象徴ですので、来年も良い年になりますようお祈り申し上げます!

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