ミツバチと共に90年――

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教草・第24「蜂蜜一覧」で紹介されている和蜂の養蜂(2)

「一種横條すこぶる黒くして、蜜蜂とりはやや大なるものがあって、堂中に蟄居して蜜を喰らう。大抵八十八夜前より六月の末に至り、一堂に8、90もいる。これすなわち雄蜂にしてこれを「クロバチ」という。」

ここで雄蜂が出てきましたネ。
働き蜂より一回り大きくて黒いので、黒蜂と呼ばれていたようです。
「蟄居して蜜を喰らう」ですから、和蜂のオスもセイヨウミツバチのオスと同じで働きません。

「八十八夜前よりこの蜂衆蜂子まじりて箱より出入りする時期は、早近きうち分封ありと知るなり。」

ファイル 692-1.jpg

ここで分封の話が出てきました。
分封とはいわゆるミツバチの引っ越しです。
面白いのはその時期を「八十八夜前より六月の末」と言っているところです。
もちろんこれは旧暦ですので、現在の太陽暦にすれば5月の頭から7月の末にあたり、なるほどその時期はセイヨウミツバチも分封します。

続いて、

「また「アカバチ」という強そうで大きな蜂あり。しばしばやって来て蜜蜂に害を与える。注意して取り除くべし。
また褐色な淡黒斑ある蛾あり。7、8月の頃蜜の香を知って箱の中に入り蜜を食う。かつ羽を振るゆえ蜂を乱すことなり。これまた注意して取り除くべし。」

ファイル 692-2.jpg

ミツバチの天敵が出てきました。
ひとつはアカバチ、すなわちスズメバチの登場です。
「注意して取り除くべし」と言っていますが、どうやって取り除いていたのでしょう?

もう一つが「褐色な淡黒斑ある蛾」です。
図の色や形からスズメガの仲間だと思いますが、蛾も蜜を狙う天敵なのですね!

ここからいよいよ女王蜂が出てきます。

「蜜蜂の中に将軍と唱える肥大なる一匹の雌蜂あり。」

おお!女王蜂を将軍と称しましたか!女将軍だね!

「これは房の中心にいて、あえて外には出ない。ただ群蜂を指揮して巣と蜜を作る要務を指令している。」

ファイル 692-3.jpg

実際は指揮などしないで卵を産み続けているわけですが。。。(笑)

「この蜂は、大抵一房中3、4個を生み、分封するとき衆蜂3分の1はこれに従い去るゆえに、旧房の蜜は自ら減らず。
よって生長せざる前にこれを知るには、堂内に蜂の塊をなしたる半ばより、下へ霧を吹き入れ、数ばくの蜂が上面に登る時に、彼の房の下部に乳頭の如き形の巣(王台)があり、これ将軍と成るべき蜂子の住むところなれば、1個を残してその余りは切り去るべし。
もし多く分封を欲するものはあえて切り去るに及ばず。」

ファイル 692-4.jpg

なんだかすっごく詳しく書いてありますね!
なにらや王台を取り除く作業のようですが、霧を吹きかけて作業を行うなんて、昔の人はよく考えたものです!(笑)

そしていよいよ分封ですね!

「この切り残したる巣より生まれた新将軍は、大抵八十八夜の後、天気晴朗の日を選んで昼前に巣箱から出る。衆蜂はこれに従って出るが、これを分封という。」

現代の太陽暦では5月2日以降の晴天の日の昼前に分封がはじまると言っていますが、ホントかなあ?
まあ、時期的には合っていますが。

「このとき、遠くへ行ってしまわないように水をまき、蜂の羽を潤わせば、人家の軒下あるいは庭木に来て集まり、」

これはスゴイ!!
こんな知恵が江戸時代にあったんですネ!!

「ほとんど鞠(まり)の形を為すは、これにおいて新しい巣箱を持っていき、箒にて掃い落とし養えば、この中に房を作って蜜を醸して、一個の蜜堂となるなり。このようにして年々箱数を増やし養う。」

日本ミツバチは飼育がとても難しいはずなのに、いとも容易く巣箱を増やしてしまうとはっ!
恐るべし江戸人!!(笑)

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