渡辺 碧水
数えるほどしか海外旅行に行っていないのに、イスラエルの聖地訪問旅行には、二回も参加している。
こう書くと、熱心なクリスチャンに思われるかもしれないが、私は妻の同伴者として参加させてもらったのである。
訪問地の予習 ・復習も大切だし、旅行中は、ガイドのうんちくに耳を集中させたいものだ。
二回のイスラエル旅行の現地ガイド人は別人だったが、バスの中で同じ説明を聴いた。ユダヤ教の信者は非常に熱心で、その子どもは物心ついたころから始め、聖書全部を覚えてしまう話である。あの膨大な量の聖書を丸暗記しすらすらと言えるのだそうだ。
ただただ驚きなが感心して聴いていた。私の頭の中は、その暗記法(つまり記憶術)はどんなテクニックによるのだろうか、との思いに及んだ。ユダヤ人社会には、永年受け継がれた効果的な特有の暗記法があるのだろう、と。
この時にはそれで終わり、関心事として頭の片隅に残されたままであった。
最近、「蜂蜜エッセー、第一回」掲載の「ユダヤ人の蜂蜜」を読んで、頭に残されていた関心事が思い起こされた。紹介された話の一端は、赤子に聖書を読み聞かせた後に、甘い蜂蜜をなめさせて頭脳に刷り込みを行う、というユダヤ人家庭の話。詳しくは、含蓄に富む「ひよこ」さんのエッセーを読んでいただきたい。
蜂蜜の登場で、わたしは懸案の謎を解いた。甘いものの効果を使う話だが、甘いものなら何でもよいのではなく、蜂蜜でなければならない理由があると思うのである。
聖書に繰り返し登場する理想郷「約束の地」は「乳と蜜の流れる地」、蜂蜜を指す蜜は「美味で口に甘い。魂にとって知恵は美味だと知れ、それを見出すなら確かに未来がある」などとある。
聖書暗記の理由も熱意も方法も努力も、原点は聖書にあると言えよう。信じることは見事な練達をも生み出す。
練達の具体的な方法は、音読し、暗唱すること。このユダヤ人の習慣は最強の頭脳を作るトレーニングになっている。
(完)
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