ミツバチと共に90年――

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はちぶんのブログ ※鈴木養蜂場で言う『蜂蜜』とはいわゆる『本物の蜂蜜』です。

蜂蜜酒(ミード)という名を持つ女神クイーン・メイヴ 2020/08/13(木)

“メイヴ”という名の女神を知っていますか?

彼女はケルト神話に登場するアイルランド島西部コノート地方の女王で、その名は原始ケルト語の『medu(メーデュ(ミード))』または『medua(酔わせる)』という言葉に由来しているといいます。
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▲クイーン・メイヴ『Wikipediaより』

なぜそのような名前が付けられたのでしょう?
実はハチミツやミツバチと深く関係しています。

ケルトの伝承ではミツバチは太陽と魂の世界から来たとされており、死すべき人への神からの贈り物として蜂蜜酒(ミード)が与えられます。
ですのでミードは神聖な飲み物として、古代から中世のアイルランドでは、ミードを飲むことで王権が継承されておりました。

メイヴは、アイルランド上王だった父エオフ・フェズレフからコノート国を統治するよう言われ、コノートの女王になります。

ところが彼女の統治のやり方というのがえげつない!
持ち前の美貌をもって、軍人として最も勇敢で最も適した男だけを選んでミードを飲ませて酩酊させ、毎日のように、一晩で32人もの男をベッドに連れ込んだというから驚きです(笑)

彼女を自分だけの恋人と思い込んだ男たちは軍人となり、それは彼女に忠実な最強の軍隊となって国を守ったのでした。(女王バチのもとで統制を保つミツバチの世界みたいでしょ?)
彼女が『主権の女神』とか、性や欲望の象徴として伝えられるようになったのもそのためでしょうね。

やがてメイヴはアリルという男と結婚しますが、ベッドの中で二人が交わしたのは財産の話でした。

ケルトの文化では、男性女性の性に関係なく、財産の多い方が世帯主になるのだそうです。
二人はそれぞれ同等の財産を持っていましたが、アリルにはメイヴが持っていないものが一つだけありました。
それはフィンヴェナハという立派な雄牛でした。
ケルト人にとって優秀な牛は、とても大事な財宝なのです。

メイブはフィンヴェナハ以上の牛を探し求め、アイルランド島北部のアルスター国にそれと匹敵するドン・クアルンゲという褐色の牛を見つけました。
そしてドン・クアルンゲを手に入れようと交渉しますが失敗し、コノート国とアルスター国との間で『クーリーの牛争い』という戦争を引き起こします。

ここでは彼女は戦士の女王に変貌します。

ここからは妙な神話的ストーリー展開になるので飛ばしますが、最終的にメイヴはドン・クアルンゲを手に入れてコノートに連れ帰りました。

その後、アリルのフィンヴェナハとメイブのドン・クアルンゲが戦います。
結果、フィンヴェナハは死に、ドン・クアルンゲも深い傷を追って、アイルランド中を彷徨した末に力尽きて故郷アルスターに戻って死んでしまいます。。。

日本各地に日本神話にまつわる地名や史跡が残っているように、アイルランドでもこの神話にまつわる地名が多く残っているそうです。


メイブの話が急に牛の話になってしまいましたね。。。(笑)

さてこの女神クイーン・メイブですが、シェークスピアの『ロミオとジュリエット』の中では悪い妖精として登場人物の会話の中で少しだけ登場します。

それは第一幕第四場、ロミオがジュリエットと会う前の場面、仮面舞踏会に忍び込もうと仮装したロミオとマーキューシオーら友人たちとの取るに足らない下ネタ話の中でです。
夢を見たというロミオにマーキューシオーはこう言います。

「おゝ、それならば、君は昨夜はマブ姫(クイーン・メイヴ)と寝たのか!
あいつは妄想を産む産婆じゃ、町役人の指輪に光る瑪瑙(めのう)よりも小さい姿で、芥子粒(けしつぶ)の一群に車を引かせ、眠っている人間の鼻柱を横切る。
その車の輻(や)は手長グモの脛(すね)、天蓋(てんがい)はイナゴの羽根、鞅(むながい)はヒメグモの糸、首輪は水のような月の光線、鞭(むち)はコオロギの骨、その革紐は豆の薄皮、御者は無精な婢(はしため)の指先から掘じり出すかのマルムシというやつの半分もないいネズミ裝束の小さい羽虫、車体はハシバミの実の殼、それを太古から妖精の車工と定っているリスと地虫とが造ったものだ。
さて、このよう行装で、きゃつが毎夜々々、恋人共の頭の中を馳け回ると、それがすなわち種々の夢となるってわけだ。
廷臣の膝を走れば平身低頭の夢となり、代言人の指を走ればすなわち謝金の夢となり、美人の唇を走ればすなわち接吻の夢となる。
……その唇を、時とすると、マブめ、腹を立って水膨れにただれさせる、息が香い菓子で臭いからじゃ。
あるひはまた廷臣の鼻の上を走る、と叙任を嗅ぎ出す夢を見る、あるいは納め豚の尻尾の毛で牧師の鼻をこそぐと、坊主め、寺領が増えたと見る。
あるいは兵卒の首筋元を駈け回る、すると敵の首を取る夢やら、攻略やら、伏兵やら、イスパニアの名剣やら、底抜けの祝盃やら、途端に耳元で陣太鼓、飛び上る、目を覚ます、おびえ驚いて、一言二言祈えいをする、また寝入る。
ないしは真夜中に馬のたてがみを紛糾(こぐらか)らせ、または懶惰(らんだ)女の頭髮を滅茶滅茶にもつれさせて、解けたら不幸の前兆じゃ、なぞと気を揉まするもマブが悪戯。
あるひは娘共が仰向に寝ている時分に、上から無上に押さえつけて、つい我慢する癖をつけ、難なく強者にしてのけるもきゃつの仕業……」

はちぶんは英語が苦手なので坪内逍遙が訳した「ロミオとヂュリエット」を引用して読みやすくしましたが、メイブもさんざんな言われようですね(笑)

アイルランドのコノート地方スライゴ州にある「Knocknareaの丘」の頂きには、4500年前の彼女のお墓だと伝承される石の塚が残っているということです。
ファイル 929-2.jpg
▲Knocknarea の丘『Wikipediaより』


チャンスがあったら行ってみたいなあ。

 

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