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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

歩き遍路

ひつじぐさ

 

 歩きの四国遍路に出かけたのは宗教的な発心からではなく、山歩きの好きな友人と、歩くの大好きと常 々言う私との、いたって俗っぽい遍路旅だった。半年に一度くらい四国にでかけぼちぼちと遍路路を歩いた。
 それは何回目かの事だった。1400キロの長い遍路路の中に、長く険しい山坂を越えて行く「遍路転がし」と呼ぶ難所が何カ所かある。その一つを行った時、私は小さなビン詰めの蜂蜜を持参していた。
 途中、人気のない山道でその蜂蜜をパンにつけて舐めた。古い例えである事を承知で例えるのだが、幼い頃見ていたポパイのアニメで、ポパイがほうれん草の缶詰を開けて食べるとファンファーレがなって元気もりもりになる、あれが大袈裟でなく感じられた。蜂蜜が五臓六腑にしみわたって、細胞の一つ一つが元気になるようだった。あの時ほど、蜂蜜の力を感じたことはなかった。やっとやっと次の宿までたどり着いた時には、万歩計は4万歩近かった。
 遍路宿の女将さんが言っていた。宿に着いた時の疲れ具合で、その人が人生で背負っているものの大きさや重たさがわかる、と。あなたたちなんかたいしたもの背負ってないよ、と言われてしまった。その意見を断固否定する積りもないのだが、人生で背負っているものを少しでも軽くする力が、蜂蜜にはあるのかもしれないとチラッと思った。

 

(完)

 

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