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ミツバチと共に90年――

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いただきます。

糖質無制限

 

 正直、ハチへの印象は良くない。
 学校には、校庭や校舎の周りに大抵、学校所有の樹木が多く植えられている。当時、その樹木を管理していた私は、ハチの巣がないかを良く見て回ったものだ。なぜなら、もし巣ができている場合、駆除しなければハチが生徒を刺すなどの危害を加える可能性があるからだ。樹木が生い茂り、日陰になっていて風通しがほどよいところは、ハチにとっては「閑静な住宅街」なのだ。
 樹木は成長しすぎると、落ち葉が増えたり、時には近隣に迷惑をかけるなど、何かと弊害が出るため、年に数回業者さんにお願いして剪定をしてもらう。そんな樹木剪定の業者さんと話していると、
 「木にハチの巣があったら教えてください。」
 「剪定中にハチに数か所刺されましたよ。」
 「小さい巣だったので、燃やしておきました。」
 「それは助かります。ありがとうございます。」
 などという会話が当然のように交わされていた。また、自分で巣を見つけた時、対応できる場合には、市販の殺虫剤で対処していた。これが、この時の「私の正義」だ。学校にハチの巣があってはいけない、ハチがいてはいけない。管理する立場として、生徒に何かあってはいけない、生徒のことを第一に考えなければいけない。でも、ハチにとってはそんな私の事情などどうでもよくて、ハチにしてみれば、ただ住みやすい環境に、生きるために巣を作っただけの話なのだ。それが自然界の掟のようなものとは言え、いい迷惑だ。
 そんな私は、蜂蜜を当たり前のように食べている。むしろ大好きな食べ物のひとつだ。あの時、自分の正義を貫いたことは正しいと考えている。きっと、今後も同じような状況になったらそうしなければいけない。
 それでも、ハチに、ミツバチに感謝せずにはいられない。感謝しなければいけない。きみたちが命をかけて作った蜂蜜を、私はいただいている。そんなことをふと考えて、この蜂蜜を食べる前に、必ず口にする。
 「いただきます。」

 

(完)

 

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