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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

ミツバチとネオニコチノイド

宮田与右衛門

 

 六十歳から家庭菜園を始め十年が過ぎた。健康面と環境面を考え無農薬栽培をしているがたびたび問題が起こる。小さな青虫がつき、出てきたばかりの柔らかい葉っぱが食べられてしまう。虫も虫で生きてゆくのは大変だろうが、黙って見過ごすわけにはいかない。葉っぱをよく観察し、手作業で虫退治をする。これが大きな畑だったらと思うとゾッとする。自分で農業をやってみて、専業農家が利益をあげるためには農薬を使わざるを得ないという現実がよくわかった。
 農薬について調べてみると、最近は『ネオニコチノイド』という成分の、虫の神経系を狂わせる農薬が一番市場に出回っているようだ。少量でよく効き、即効性があり、効果が持続する。しかし、人間の脳や神経系にも悪い影響を及ぼすとして、EUやアメリカでは禁止されている危険なものだ。
 ネオニコチノイドの害が思わぬところにも広がっているらしい。ネオニコチノイドが一般的に使われるようになってから、ミツバチが大量に失踪してしまうという事件が世界各国で起こるようになった。直接ミツバチに農薬をかけなくても、大気や水に溶けた僅かな成分でミツバチの帰巣本能が狂わされ、巣に帰れなくなってしまうようだ。
 ミツバチは人間の生活にとってなくてはならない大切な虫。世界の食料の九割を占める百種類の作物種のうち、七割がハチの受粉を媒介するといわれている。もしミツバチが絶滅してしまったら人類は飢餓に陥るだろう。
 そんな危険な農薬だが、日本は逆にネオニコチノイドの残留基準の緩和政策をとった。それによりアメリカで在庫になっている大量のネオニコチノイドが日本に輸入され、『安く安全』の名の下で身近に売られている。
 これでいいのだろうかと心配になる。しかし一個人の私は大きな政治の力に対しどうすることもできない。小さな抵抗にすぎないが、私は農薬は絶対に使わず、無農薬に徹していきたい。『大地、空気、水』は決して人間だけのものではないということを、常に心に留めておきたい。

 

(完)

 

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