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蜂蜜エッセイ応募作品

蜂蜜のテロワールを楽しむ

山﨑朗

 

 「血糖値が高いですね。糖分を控えてください。」。人間ドックの数値が悪いため、業医に呼び出され、甘いコーヒー大好きな私に対して、ブラックコーヒーにするように勧告された。
 65歳となり、高齢者の仲間入りし、寿命の先行きもおぼろげに見えてきたのに、好きなものを我慢する必要はあるのだろうか。その時、産業医がふと、「蜂蜜の方が砂糖よりもいいかな」といった一言を思い出した。砂糖の使用をやめて蜂蜜を使おう、そう決心したのだ。
 初めは、スーパーで売っている家庭用のお手頃な蜂蜜。瓶の後ろの表示をみてみると中国製と書いてある。べとべとせず、さらっとして使いやすいのだが、蜂蜜感が感じられない。そんな話を家内にすると、家内から「ふるさと納税で各地の蜂蜜が返礼品でもらえるらしいわよ。」とのアドバイスが。
 ではでは、まずは以前住んでいた福岡県新宮町の蜂蜜を、ふるさと納税の返礼品としてお願いしてみた。これがうまい、うまいという表現が適切なのかわからないが、蜂蜜感があるのだ。気温が低くなると白く固まるのも蜂蜜感を感じられる。昨年初めて注文したが、今年も注文し、昨日届いたばかりで、しばらくしたら楽しめそうだ。
 しばらくしたらというのは、実は今、沖縄県の宮古島で手に入れた島の蜂蜜をお土産で買ったので、その蜂蜜を楽しんでいるからだ。この島の蜂蜜、不思議な香りがする。黒糖の香りがするのだ(黒糖は入っていないのだが)。この蜂蜜がなくなり次第、新宮町の蜂蜜に切り替えることになる。
 そして、来週、北海道の東川町に行くのだが、以前旭川空港で買った東川町のお土産の蜂蜜は、北海道の花の香りが感じられた。以前買った一瓶はすぐになくなった。今度は自宅用お土産で2瓶買うつもりだ。
 砂糖を蜂蜜に切り替える、これは糖分の切り替えという意味だけではなく、多様な地域の個性的なテロワールを、蜂蜜を通じて味わうということなのだ。銀座の蜂蜜も、ふるさと納税で手に入れたことがある。小さな小さな瓶に入っていたが、最後の最後まで東京を、銀差を感じながら楽しめた。
 蜂蜜は単なる食材ではない。砂糖の代用品でもない。ワインと同じように地域の個性を楽しむことのできるものなのだ。老後の楽しみの一つに、各地の蜂蜜の収集と享受が加わった。

 

(完)

 

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