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蜂蜜エッセイ応募作品

蜂蜜とローヤルゼリー

渡辺 碧水

 

 二〇二二年十月七日は八十五歳の誕生日。
 変わり映えしない一日が七時の起床とともに始まった。何はさておき、空きっ腹では何もする気が起こらない。いつものように、まずは朝食である。野菜サラダ、パンと牛乳、バナナ、ヨーグルト。いつも同じものを同じ順序で食べる。
 ほとんどの日のように、今日の主食も五枚切り食パン一枚である。こんがり茶色に焼いたトーストに、先の細いボトルから蜂蜜を垂らす。何十年も相変わらずで、お気に入りのアカシア蜂蜜である。結晶しづらいことと癖のない味とが私の性に合っている。他の花の蜂蜜もいくつかの容器も試したが、結局、これに落ち着いた。
 蜂蜜を垂らすときには儀式がある。パンを皿の上に四角に見えるように置き、算用数字の8を書くのだが、8は横倒しだ。8は寝かせて書けば無限大の記号(∞)に似たものになる。何事と特定するわけではなく、すべてが無限の彼方にずっと続いてほしいとの願いを込める。
 屁理屈に過ぎないが、私の場合、蜂蜜で8を書くことが暗示になる。蜜蜂は太古から8の字ダンスの情報伝達法によって、無限に進化し生存し続けてきた。過大な言い方かもしれないが、蜂蜜の効能も豊富で無限大である。人生も八十代ともなると、一年ごとに心身の衰退に大きな変化が生じるようだ。
 朝食の後は、多くの高齢者と同様に、降圧薬と胃薬を飲む。私の場合は、もう一つ加わる。こちらは、妻のお気に入りのローヤルゼリーである。少量入りスティク(顆粒)を一袋渡される。以前にもこの欄のエッセイに書いたのだが、今年八十歳になった妻はローヤルゼリーに出合ったおかげで「医者いらず」を貫いてくることができた。
 妻は、もう何十年も前から、健康の不安を漏らす人に出会ったら、手持ちのローヤルゼリー・スティクを数袋プレゼントし、体験談を語る癖が続いている。妻の説得力ある暗示もあってか、感謝されることが多い。ますます妻の信念は強まる結果となる。
 妻が忘れないように手に持っていて「はい、これも」と渡される。誕生日も、朝の儀式はこうして終了した。
 夕食後も同様で「継続は健康力なり」である。ローヤルゼリーを飲むのを見届けると、妻は私が明日も元気で起きてくると信じてやまない。暗示の掛け合いで一日が過ぎた。明日も同様に過ごせるだろう。
 孫娘から絵のプレゼントが届いた。私のおじじはサウスポー。

 

(完)

 

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