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蜂蜜エッセイ応募作品

嫁さんは蜂蜜姫

宮尾美明

 

息子の嫁さんに初めて会ったときはびっくりした。お人形さんかお姫さんかと思うくらいかわいかった。
「お母さんより大事な人が出来た」
ヌケヌケとそういった日を忘れない。子供(私には男の孫)が出来ると、
「こいつのためなら何でもする。世界中で一番かわいい」
嫁さんは、
「こんなに子煩悩な人だとは思わなかった」むちゃくちゃかわいがっている。もう成人してまでも、
「世界中で一番かわいい」
が、止まらないんだからあほちゃうか?そう言いたくなる。
「お母さん!お母さん!」
嫁さんはそう言ってどこへでも、
「一緒に行きましょう」
と、私と夫を誘ってよく出かけた。孫が小さいときはもちろんであるが、大きくなって手が離れても、
「一緒に」
そう言って誘ってくれる。その嫁さんはどこに行っても
「蜂蜜のあるお店に」
が口癖である。どこで調べるのか、何十種類の蜂蜜をどれでも好きなだけつけて食べるというお店に行った。たくさんの花の名前の蜂蜜が大きな倉庫みたいな場所に揃っていた。二人で食べた食べた。もちろんお土産も買った買った。見たこともない花や木の名前の蜂蜜や何からとったのかわからない蜂蜜が揃っていた。満腹した私を尻目に
「こんなのもある、こんなのも」
嫁さんの興奮は治まらない。結局すべての蜂蜜を堪能して店を出た。私は腹一杯だったのに、小柄でほっそりとした嫁さんはあれやこれやお土産の蜂蜜を選んでいた。まるで花の間をひらひら舞う蝶か蜂のようだった。蜂蜜姫や、私はそう思った。

 

(完)

 

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