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蜂蜜エッセイ応募作品

蜜蜂集団の驚きの神秘性(二)

渡辺 碧水

 

 【同タイトル(一)から続く】
 第二の驚きは、呼び名のイメージから、女王蜂が支配者として君臨する階層階級の命令系統に基づく、あるいは、女王蜂の指揮下や指導に基づく集団だと、蜂群は思われがちであるが、実は支配者も指導者も存在しないということ。
 そのため、蜜蜂集団は「リーダーなき秩序社会」と表現されることが多い。
 中村純氏の説明によると、蜂群は「自分たちの社会を維持する」という統一目標のもと、見事な役割分担がなされており、かつ、それらを柔軟に運営することで、高い環境適応能力を発揮しているのだそうだ。
 大多数を占める働き蜂と一匹の女王蜂はいずれも雌。つまり、雌によって運営されている集団であることは間違いない。そして、それぞれはその集団の一員にすぎない。
 産卵の役割を担う一匹の雌蜂は、たまたま偶然に王台に産み落とされ、孵化し、羽化し、交尾して産卵を担当するために、餌として特別食のローヤルゼリーだけを与えられ続けられて大きく育つ。
 羽化後、女王の呼称で区別されるが、働き蜂に導かれるままにひたすら卵を産み続けるだけで、高い地位も権力も威厳もない存在である。
 同一の受精卵から孵化したのに、大量にローヤルゼリーを与えられ続けるか否かで、女王蜂になるか、働き蜂になるかが決まる。神秘的な仕組みとしか言いようがない。
 孵化して三~四日目以降、蜂蜜と花粉を与え続けられた幼虫は、女王蜂より少し遅れて成虫になり、働き蜂として羽化する。
 働き蜂は、羽化してすぐ巣の清掃係を務め、以降は、女王蜂の世話や産卵介助や子育て→巣作り→貯蔵(蜂蜜造り)→門番→花蜜集め(外勤)と職務を変え、働き詰めで一か月ほどの生涯を終える。
 この間、働き蜂の体の生理機能は、各役割に適切に働くように変化し続ける。
 一方、女王蜂は、生まれた子供たちが短い寿命のため、一年に数十万個の卵を産まないと巣を維持していけない。毎日毎日、二千個ほどの重量の卵を産まなければならない。これまた重労働でしかない。
 三~五年の生涯、若さを保って産卵し続け、一生におよそ百万個の受精卵を産む。
 役割が産卵に特化するために、生殖器官以外の体の機能はすべて退化してしまう。
 働き蜂から口移しで与えられるローヤルゼリーだけをひたすら食べて、他の仕事は一切せず、産卵に専念する。
 【同タイトル(三)へ続く】

 

(完)

 

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