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はちみつひと吹き

ゆり子

 

 コホン、コホン。
 保育園も仕事もお休みの土曜日の朝、5歳の息子、悠太はお気に入りのテレビ番組を見ながら、思い出したように咳をしていた。
 アレルギーかな。風邪かな。それとも……。
 悠太は少しアレルギーがあって、ちょっとした刺激で小一時間くらい咳が出ることがある。
 彼の風邪の引き始めもまたいつも咳だ。
 いったん熱が出ると解熱までに3日、安心して1日中保育園に預けられるようになるにはさらに2日、計1週間かかることもしばしばだ。
 来週の予定は、と。
 私は頭の中で忙しく手帳をめくる。
 月曜に資料の準備、火曜にプレゼン。ちょっと休めない。
 去年まで、どうしも仕事を休めないときは、実家のばあばに預けるというカードを切ることができた。
 でも、この1年で状況は一変した。
 コロナウィルス流行下、高齢のばあばに風邪症状のある孫を預けることには、大きなリスクがつきまとう。
 シッターさんに預けるにも同じ懸念があるし、風邪症状のある子が集う小児科の受診にも躊躇する。
 コホン。
 私は彼の咳に慎重に耳を傾けた。
 痰が絡んだりはしてなさそうだ。
 「ねえ、ちょっとお咳出てるけど喉痛くない?」
 悠太に聞いてみる。すると彼は、ニヤリとして、
 「大丈夫。でもはちみつシュッシュ!」
 といって口を開けた。
 はちみつが、咳や喉の不調に効くと聞いてから、我が家には、はちみつ、マヌカはちみつ入りののど飴、はちみつのどスプレーが常備されている。
 中でも、最近の悠太と私のお気に入りははちみつスプレー。
 のどの調子が気になったとき、口をあけてシュッとすると、はちみつの優しい甘みが口の中に広がる。
 一瞬ではちみつの恩恵を受けられる優れものだ。
 私は悠太の喉めがけてはちみつスプレーをシュッとする。
 このはちみつのひと吹きが、咳も、ウィルスも、心配事も、きっと、シュッと消し去ってくれると願って。

 

(完)

 

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