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蜂蜜エッセイ応募作品

あまのじゃくのススメ

井上

 

 素直じゃない人のことを、ときにあまのじゃくとよぶ。イマドキのことばで表すなら、「ツンデレ」や「小悪魔」ともいうべきかもしれない。漢字では“天邪鬼”なんて、恐ろしい響きだけれども、その実態は実にあいらしい。「天邪鬼」ならぬ、「甘の寂」とでも漢字を当ててあげたいくらいに。
 
 仕事おわりの夜八時、スマートフォンがブルブルと私を呼ぶ。青く光る液晶に映し出されたのは「よしこ」の名。よしことは、私の義理の祖母である。九十歳を過ぎたとは思えないほど、パワフルで元気なおばあちゃんだ。
 
 「帰ったの? そろそろ無くなったんじゃないかなと思って、電話したのよ」
 
 「先月もらったばかりだよ、まだあるよ」
 
 「もう無くなるだろうから、取りにおいでなさい。明日ね、いつでもいいからね」
 
 
 ガチャッと一方的に切れた電話。明日はおばあちゃんのお家へいこう、妻と約束して眠りにつく。
 
 
 翌朝、ササッと支度をして車へ乗り込みおばあちゃんのお家へ。
 「あら、来たのねえ。ほら、これ無くなったでしょう? どんな薬よりよく効くんだから。疲れたらスプーンひとくち。万能万能」
 私たちが到着するとすぐに、両手いっぱいマヌカハニーの瓶とたくさんの小袋を重ねていく。
 
 
 「まだあるっていったのにぃ」
 自然と笑みが溢れる私たち。
 
 
 「またすぐに取りに来なさいなあ」
 こちらのことなど、お構いなしのおばあちゃん。
 なんだかとても嬉しそうな顔をしている。
 
 
 そして帰り際、靴を履く私たちの後ろでおばあちゃんは小さな声でこういった。
 
 「はちみつを取りに来てもらったら、その度に会えるでしょ。おばあちゃん、たっくさん来てほしいのよ。なんせ、はちみつを毎月買っているんだから」
 
 素直に「遊びに来て」といえばいいのにと、あまのじゃくなおばあちゃんの一言にまた笑みが溢れる。なんて、あいらしい人なののだろう。
 
 
 あまのじゃくなおばあちゃんのススメ。
 「健康にも、孫に会うにも、はちみつがいちばん」

 

(完)

 

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