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ミツバチと共に90年――

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記憶

岡田あずさ

 

 蜂蜜はご馳走だと思っていた。今は少し違う。
 私の大好きなちょっとしたアイテム。私の生活の幸せをプラスしてくれるアイテム。
 私を癒してくれる大事なもの。
 
 うんと小さい頃、グレープフルーツにかけて食べた。甘い蜂蜜のかかった部分だけ先に食べていた。残った部分は酸っぱいまま。
 小さい頃、漫画で知ったマーガリントーストに蜂蜜をかけるレシピ。感動した。飽きるほど食べたトーストが、実際飽きていたトーストがこんなにも美味しい食べ物になるなんて。
 成長して飲み物にも入れることを覚えた。コーヒーの芳醇な香りにも負けない蜂蜜の香りが大好きになった。
 
 大人になって、好きに食も選べるようになった。
 いつでも好きなだけ好きなものに追加することができるようになった。
 
 そして、とうとう小さい頃からの夢を叶えた。
 某黄色いくまさんが食べていたように、漫画に出てくるようにミツバチの巣をそのまま食べること。
 
 そう、巣蜜だ。
 
 手に入れたとき、開けたとき、お皿に出したとき。
 すべてが私をわくわくさせてくれた。憧れが手に入った大事な瞬間だった。
 感想は…ぜひ実際試してほしいので、秘密だ。
 秘すれば花なり。

 

(完)

 

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