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蜂蜜エッセイ応募作品

蜜蜂が生涯に集める蜂蜜(一)

渡辺 碧水

 

 「一匹の蜜蜂が生涯に(一生かけて)集める蜂蜜の量は小匙一杯分」
 これと同趣意の文言によく出合う。当「蜂蜜エッセイ」の応募作品にも時折登場する慣用句の代表的なものの一つ。つい最近(二〇二一年一月下旬)掲載作品の「もっと気軽に」や「ひと匙no」にも引用された。
 小匙(こさじ)一杯分の少量の蜂蜜は、実はとても貴重なので、粗末にせず、丁寧に扱い、じっくり感謝して味わおう、という教訓のような、標語のような言葉である。
 誤解を生みやすい一語を含むので、注意して使いたい。小匙(ティースプーン)一杯分なのは「蜂蜜」なのだが、「花蜜」と書く人が少なくない。
 言葉の「集める」に合わせて「花蜜」としたいところだが、花蜜の水分を飛ばし、濃縮熟成された「蜂蜜」がわずか小匙一杯分との意味なので、「花蜜」はやはり誤記になる。花蜜としたいのなら「小匙二~三杯分」と書かなければならないだろう。
 「花蜜」と「蜂蜜」は意識して区別する必要がある。
 さて、この文言には、意味する事実は本当か、ちょっと確かめたい気持ちになる。
 一生涯かけて苦労して集めた花蜜から造り得た蜂蜜は小匙一杯の分量になる、という過程はどんなもので、実際に調べた科学的研究があるのか、どんな理論的計算で導かれたのか、などを知りたいと思うのである。
 学術的論文として成果が発表されたものは、素人が故なのだろうが、私には、その一端や痕跡すらも探し出せなかった。
 実際の説明では、ずいぶん、部分的にいろいろと計算された結果が記されている。やはり、発信元は養蜂家が多い。実践経験の根拠に基づき、具体的な算出がなされている。
 静岡県伊東市の養蜂家、田中章雄氏のブログの記事「ミツバチが集めてくる『小さじ一杯のハチミツ』」(二〇二〇年十一月二十日発信)が、最新で具体的で詳しい。
 どうやら、データは、ドイツの行動科学者で蜜蜂の生態に詳しい専門家が書いた翻訳書『ミツバチの世界―個を超えた驚きの行動を解く―』(ユルゲン ・タウツ著、丸野内棣訳、二〇一〇年七月、丸善発行)を参考にしているとのことだった。
 【同タイトル(二)へ続く】

 

(完)

 

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