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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

蜂の贈り物

宗正樹

 

 蜂は大嫌いである。可愛くも無いし、刺されるといつまでも痛い。母が洗濯してくれた着替えの下着の中に蜂がいて風呂上りに着た瞬間刺されたり、山に入って遊んでいるとき突然刺されたり、良い思いが無い。子供の知恵では、蜂に刺されたらおしっこを掛けることになっていた。野球帽、ランニングシャツ、パンツにサンダルくらいで山に入るものだから、しょっちゅう刺される。刺されたら蜂を潰して、残っている針を引き抜き、「早よ小便してくれ」と頼む。今はアンモニア水を掛けるから、理屈にはあっているのかもしれない。クマンバチは家の軒下や庭木の枝にぶら下がって球のような巣をつくる。これは子供の手に負えない。大人がネットのついた帽子、厚手の服、厚皮の手袋、ゴム長の完全防護で対応する。煙で燻して蜂が弱ったころビニール袋をすっぽりとかぶせ、付け根からもぎ取る。ちょっと危ないが、大きな巣になるまでじっと我慢できれば立派な巣が手に入り、床の間に飾ることが出来る。
 蜂に良い思い出は無いが蜂蜜は旨い。ちょっと申し訳ない気もするが何万匹か分からない蜂が集めてきた花の蜜を人間が頂く。毎朝パンに塗って食べ、ヨーグルトに垂らして食べる。ホーットケーキに掛けるのも良い。

 

(完)

 

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