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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

叔父さんの蜂蜜

竹園 レイラ

 

 突撃、叔父さんから瓶に入った“蜂蜜”が送られて来た。叔母さんを亡くして数年経った今、愛犬のシェパードと暮らしている。自宅の裏庭で養蜂を始めたと言う。「えっ、蜂蜜なんて出来るの?」と半信半疑でそれを手にしてみると、透き通った薄い飴色をしていてとてもきれいだった。スプーンで掬い一口舐めてみる。自然な甘さが口いっぱいに広がり、とても美味しい。それまであまり蜂蜜を食べたことがなかったが、それからと言うものは、ヨーグルトにかけたり、レモンと一緒にお湯で割ってのんだり、時には料理に使ったりと、叔父さんからもらった蜂蜜はすぐになくなってしまった。“蜂蜜”は私を穏やかな幸せな気分にさせてくれる。
 ふと、遠い日の記憶が蘇えった。幼い頃、子供の居なかった叔父夫婦は、私を娘のようにさ可愛がってくれた。動物が好きだった私をよく近くの動物園に連れて行ってくれた。その帰りにはFレストランに立ち寄り、ハンバーグやホットケーキを食べさせてもらった。私はそれがとても楽しみだった。蜂蜜の甘さが幼き日の私の記憶を鮮明に思い起こしてくたのだ。叔父さんは、きっと今もあの時の優しい笑顔のまま、蜂蜜を造り、毎日忙しく犬とミツバチの世話をしていることだろう。“蜂蜜、美味しかった。また、送ってね”

 

(完)

 

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