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おばあちゃんの蜂蜜

K ・S

 

 今から10年ほど前、おばあちゃんの家に行くと、よくおおきな瓶に入ったはちみつをもらった。スーパーなどではなかなかお目にかかれない大きさで、小さかった僕には、それがどんなお宝よりも輝いて見えた。大きな瓶に入ったはちみつを、ヨーグルトや、トースト、時にはグレープフルーツなど、いろんなものにつけて食べた。はちみつは、どんなものでも優しい甘さで包んでくれた。
 それから約7年後、僕は学校の先生に勧められ、中学受験をすることにした。最初に塾の体験授業を受けたとき、僕はついていけないと思った。みんながひたすらに机にかじりついて勉強する姿は、正直少し、怖かった。本格的に塾通いを始めても、なかなか思うように成績が伸びず、すごく辛かった。
 そうこうしているうちに、時は過ぎて、あっという間に小6の、お正月になった。
 お正月は家族でおばあちゃんの家に帰省した。お正月といえども、勉強は必要なので、おばあちゃんの家で塾のテキストを広げていると、祖母が、「おやつだよ~」と言った。「もうこんな時間か」と思い、リビングに行くと、そのおやつは、ただヨーグルトにはちみつをかけただけの、はちみつヨーグルトだった。「なんだか、ありきたりだなぁ」と思って食べてみると、僕は衝撃を受けた。砂糖とはまた違う優しい甘さに、僕は何とも言えない安心感を覚えた。僕は思わず、「これ、おいしいね。」と、口に出していた。それを見ていた祖母は、「甘いものを食べると、頭もよく働くんだよ。」と、うれしそうに笑っていた。
 それからというもの、僕はまた、頻繁にはちみつを食べるようになった。テストの結果が悪かったときも、はちみつを食べると、「また頑張ろう」と、思えた。そして、いよいよ第一志望の、入試の日になった。入試会場へむかう車の中で、父が「もし合格したらなんか買ってあげようか。今なんかほしいものある?」と聞いてきた。そのとき僕は、迷わず「はちみつ!」と答えた。それを聞いた父は、少し不思議そうな表情を浮かべながら「はちみつ?」と聞き返していた。
 それからまた数日後、結果発表の日、ドキドキしながら結果を見た。結果は合格だった。僕はすぐにおばあちゃんに電話した。その日の夜に、家族みんなで食べたはちみつの味は、きっと一生忘れない。

 

(完)

 

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