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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

私と蜂蜜

めり

 

 蜂蜜という存在を知ったのは、いつの日だっただろう。今と違って、昔は蜂蜜が、必ず瓶に入っていた。水飴より、弱冠柔らかいその蜂蜜の表面に、柄の長いスプーンをそっと入れる。そして、蜜がこぼれない様に上手に掬って、沸かしたての白湯の中にゆっくり混ぜると、琥珀色の宝石が、魔法の様に輝きながら、次第に湯と一体になって溶けて行く。
 そんな映像が、セピア色の思い出になって浮かんで来た。そこに、輪切りのレモンを一切れ、お砂糖も一匙加えてみる。
 今は、プラスチックの入れ物の先が、丁度蜂蜜を注ぐのに適した型に、進化している。
 この容器で、熱 々の紅茶の中に、蜂蜜をたっぷり入れてから、緑のガラス瓶に、黄色のラベルが貼ってある、果汁100%のレモン汁を加えて、カラカラとかき混ぜる。
 お気に入りの、白いボーンチャイナのマグカップの中で、見事なマリアージュの出来上がり!
 家族の寝静まった後、ほっとするひと時。主婦の私の、密かで、ささやかな楽しみ。
 健康で美声な私の、愛すべきパートナー。
 それが、蜂蜜。

 

(完)

 

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