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ハチミツ回想録

さとみ

 

 ここしばらく、我が家はにわかにハチミツづいている。温かい飲み物に溶かしたり、カレーの隠し味に入れたり、ちょっと唇が荒れると塗ってみたり。目につくところにハチミツがあるものだから、これまでさほど口にしなかった子どもたちまでも「おかあさん、はちみちゅ、ぬって」と、朝のトーストにつけたがり、結果として、我が家のハチミツ消費量はうなぎ上りとなっているのである。
 特に、ここ数年で覚えたのが、喉風邪の予兆を感じたらハチミツを摂取する、という技だ。妊婦時代、薬が飲めないときに覚えたもので、「なんだか喉がいがらっぽい」と思ったらすぐ、ハチミツを舐めるか、飲み物に多めに入れるかして、喉にハチミツを届かせる。時 々は殺菌作用が強いという高級な「マヌカハニー」なんか買ってこっそり隠しておき、いざというとき、家族には内緒で舐めることもある。ハチミツといえば、甘くて美味しい食べ物なだけかと思っていたのに、こんな健康面での効果があったなんて、昔は全然知らなかった。
 そして、ふと、父のことを思いだす。70歳に手が届かないうちに亡くなってしまった父は、お酒もたばこも大好きで、娘の私から見ても「健康なんて気にしない!」という日常を送っていたように思うのだけれど、私が幼いころの一時期、よく「プロポリス」やら「ローヤルゼリー」やら買ってきては、「ハチミツの仲間でな。体にいいんだ。」と嬉しそうに食べていた。当時は「変わったもの食べるなぁ」程度の認識だったが、今になってみれば、父なりの健康への気遣いだったに違いない。子どもを3人も抱えて、そうそう不健康でもいられない、と思っていたのかもしれない。
 父の隠れた家族愛を、ハチミツが教えてくれたような気がする。

 

(完)

 

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