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蜂蜜エッセイ応募作品

甘くてちょっぴり苦い思い出

黄色いハチ

 

 幼い頃、誕生日には必ずホットケーキを母が焼いてくれた。そのホットケーキには、バターもハチミツものせられていない。なぜなら、そのどちらも高級品で、我が家にはなかったからだ。
 ある日友人宅へ遊びに行った時、友人のお母さんがホットケーキを焼いてくれた。誕生日でもないのに、どうしてホットケーキが出てくるのか、とても不思議に思ったのを覚えている。
 ホットケーキには、バターと黄金色のドロッとしたものがかけられていた。バターは、給食で食べたことがあったので知っている。しかしこの光る液体は何なのか?なぜホットケーキの上にたっぷりとかかっているのか?私は理解に苦しんだ。
 しかし友人は気にすることなく、フォークとナイフを使って上手に食べ始める。私も真似してナイフを使ってみたが、どうも上手く使うことはできなかった。(恥ずかしい話、今でもあまりナイフの使い方は上手くない。)
 フォークで乱暴に突き刺し、ホットケーキにかぶりつく私。一口目でわかった。いつも母が焼いてくれるホットケーキとは全く違うこと。まず、生地がフワフワだった。そして鼻に抜けるいい香り。初めて食べる、やさしい甘さと濃厚なバターのハーモニー。幸せの味だった。
 家に帰った私は、母にハチミツとバターをのせて食べると、よりホットケーキが美味しくなることを伝えた。母は「よかったね」とだけ答えた。その年の誕生日、ホットケーキに変化はなく、バターもハチミツもないいつものホットケーキでお祝いした。
 今でも、私にとってハチミツは高級品。気軽に購入できるものではない。しかし、「世の中にはこんなにおいしいものがあるんだ。だから頑張って働いて、母に食べさせてあげたい!」と、モチベーションを上げてくれる食べ物となっている。甘くてちょっぴり苦い思い出のあるハチミツをこれからも大切に味わいたい私だ。

 

(完)

 

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