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蜂蜜エッセイ応募作品

特別な日のハニートースト

こまちの母

 

 ♪ハーニー ハーニー みつばちハーニー♪
 音楽に合わせて、かわいいみつばちの衣装を着た幼児たちが踊る。びよよーんと動く触覚の冠をかぶり、黒と黄色のしましまのかぼちゃパンツを履いてお尻をぷりぷり振って踊る子供たち、これが可愛くないはずがない。
 長女が保育園ではじめての発表会の思い出である。可愛く踊れたみつばちさんと、家に帰ってから蜂蜜がたっぷりかかったホットケーキを食べて「頑張ったね」と褒めまくった。
 我が家の蜂蜜は、そこまで高級というわけではないのだが、特別な時にしか出てこないご褒美として位置づけられている。子供たちが勝手に取り出せない場所にしまってあり、許可がないと食べられない。トーストも普段はバターしか塗らない。ハニートーストにできるのは、なにか特別な事がある時だけなのだ。そもそもなんでそんなルールになったのかを考えてみると、二歳差で三人の娘を育てるなかで、一歳未満児は蜂蜜が食べられない事を私が懸念したからだ。頻繁にハニートーストを食卓に出すと、食べられない下の子が羨ましがったり間違えて上の子が与えたりするかもしれない、そういう事を心配したからだと思う。いつの間にか、蜂蜜は特別な時にだけ食べられる特別なものになっていった。
 誕生日の朝や、行事をとても頑張った日、良い行動をして褒められた日の翌朝、などにしか登場しないご褒美の蜂蜜なのだ。
 今朝はその特別の朝である。触覚をびよんびよんさせてジャンプしていたあの頃の長女は、いまや年長さん。今日は保育園最後の発表会だ。二人の妹たちに慕われる頼もしいお姉さんに成長した長女に、蜂蜜をたっぷり塗ったトーストを出した。ふおーい!と嬉しそうな奇声をあげてハニートーストにかぶりつき、口のまわりの蜂蜜をぺろりと舐めて長女はにっと笑った。舞台での晴れ姿はこれからなのに、早くも目頭が熱くなり、私も蜂蜜を思いっきり舐めた。

 

(完)

 

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