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蜂蜜エッセイ応募作品

蜂蜜は処方箋

脇田 守

 

 蜂蜜はうっかり低温で保存すると、分離してしまうことがある。キャップ付きチューブタイプだと幾ら押しても中身を出す事が出来ずお手上げなる‥。ホットケーキの朝食、コーヒーとはベストマッチだ。ホットケーキにバターと蜂蜜はよく合う。
 「蜂蜜ある‥?」夫が言った。「ごめんなさい。中身が固まっちゃって‥。」妻がそう答えた。「そんなに大きいの買うからだよ!」「ごめんなさいね ・ ・。」妻がまた誤った。夕方帰宅して電気を付ける。月末は妻の会社は忙しいらしい…。椅子に座り何気にごみ箱を見ると、蜂蜜が捨ててある。ふと、容器を取り上げてみる。まだ半分以上入っている。容器を両手で温めてみる。何となく白い部分が元に戻ったような気がる。しばらく両手で温めていると妻が帰って来た。「何してるの?」妻が不思議そうに云った。「手で温めると元に戻るんだって‥。ネットに書いてあったんだ。」「へぇ~‥。」妻が少し笑った。「貴方食事は?」「まただけど、大丈夫。」「ねぇ。わたしにもやらせて ・ ・。」妻が少しおどけて言った。妻に蜂蜜の容器を手渡した。「温かい。」妻が言った。「一生懸命温めたからね。雄鶏が卵を温める気持ちでね。」「雄鶏が卵を温めるの?」妻が笑った。「中 々蜂蜜にならないわ。私の手が冷たいせいかしら‥。」上から妻の手を覆ってみる。「温かい。」妻が言った。「蜂蜜が出来てきたみたい。」妻が指先の隙間を目で指してそう言った。「そんなに早く元には戻らないよ。」思わず笑ってしまった。妻も笑った。「赤ちゃんもこんなふう温かいのかなぁ。「妻が言った。」「そうだろうね。きっと‥。」

 

(完)

 

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