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蜂蜜エッセイ応募作品

憧れの蜂蜜

緑猫 純子

 

 薄暗く湿っぽいガス台の下。蜂蜜は瓶の中で白く固まっていた。絵本やアニメに出てくる、滑らかな金色の蜂蜜とは全く別の代物だった。少しざらりとした舌触り、クセの強い甘さ。第一印象は良くなかった。それからも、何度か、見た目が美味しそうな蜂蜜に挑戦したが、また食べたいと思えるものには出会えなかった。しかし、蜂蜜は全て同じ味ではないということを学んでいった。いつか、理想の味に出会えるはずと信じていた。
 二十一歳のとき、雑貨店に就職した。主に輸入雑貨、食器などを扱い紅茶と蜂蜜も置いていた。カタログを見てみると、あるある‥小さな小瓶に入ったもの、動物の形の容器に入ったもの、蜂蜜の種類も豊富である。しかも一種類当たりの発注単位が少ない。これは最大のチャンスだ!私は自分の理想の味を求めるべく、蜂蜜を注文しては社員割引で購入した。もちろん仕事に生かすことも忘れちゃいない。接客の際の説明にも役立ったが、好評だったのは、食器と紅茶と蜂蜜をカゴに盛ってラッピングする通称、カゴ盛り。決して抱き合わせ販売ではない。これはすぐに売りきれた。しかし、理想の蜂密と出会うことなく時は流れ、私は店をやめた。結婚したのだ。悪く言えば蜂蜜より男をとったことになる。
 結婚後は、地元を離れ仙台の雑貨店で働いた。息子が生まれ、帰省したある夏のこと、ついにそのときがやってきた。何気なく立ち寄った実家近くの道の駅で、ついに理想の蜂蜜と出会うことができたのだ。そのアカシアの蜂蜜は、色、香り、味、全てが、幼い頃に憧れていた蜂蜜そのものだった。「こんなにもそばにいたのに‥」と平成の歌謡曲が流れてきそうな、甘く切ない出会いだった。この出会い、相手が蜂蜜だから良かった。間違いを起こすことは無さそうだ。これからは私のパートナーとして、長く付き合って欲しいと思う。

 

(完)

 

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