渡辺 碧水
今日、二〇二〇年十月七日、八十三歳の誕生日を迎えた。少し寒さを感じるも、秋晴れの下、十五階ベランダからの眺望は、遠方の山脈でも眼下の並木でも紅葉が進んでいる。
いつものように朝食のトーストに蜂蜜を垂らしていたときに、ふとひらめいた。
「八十三歳は蜂蜜の年(寿)」と。
語呂合わせで、八月三日は「はちみつの日」。三月八日の「ミツバチの日」と同様、一九八五年、記念日に制定されて久しい。
年齢については「年祝い」がある。一般的によく知られているものに、例えば、七十七歳の「喜寿」、八十歳の「傘寿」、八十八歳の「米寿」、九十歳の「卒寿」などがある。
このように、高齢なほど、特定の年齢の長寿を祝う風習がけっこう細かくある。
「八十三歳を表す言葉は?」と調べてみた。どうも見当たらない。八十歳と八十八歳との間には、やっと見つかったのが八十一歳の「半寿」(国語辞典『大辞泉』)。
他と同様に、適当に字画から考えられたものだが、八十一を組み合わせると「半」になる。一説によると、将棋盤の目が八十一あることから「盤寿」ともいわれるそうだ。
「年祝い」の言葉は、かなり強引な字画合わせであることがわかった。
ならば、八十三歳を「蜂蜜寿」とする新制定も有りではないか、と想像を膨らませた。八と三の語呂合わせで「はちみつの年(齢)」。あやかりの祝い品は、当然、天然蜂蜜。
意義は深い。蜂蜜の糖度に由来し、八十三度の糖度は究極の完熟を意味する。この天然熟成蜂蜜の味覚と効能は言うまでもない。まさに人の健康寿命の達成値と一致する。
さて、以心伝心とはこのことか。誕生祝いの恒例の絵画が先程、メールで届いた。贈り主は、九州の大学薬学部二年生の孫。まだ、コロナ対応でオンライン授業中だそうだ。
今年は、覚えたパワーポイントを使い、パソコンで作品づくりに挑戦してみたという。
彼女は漢方薬と薬膳料理に関心が高い。蜂蜜エッセイに熱心な「おじじ」の様子を画題に選び、また一年、絶妙の「甘さ」への期待も込めて描いたようだ。
(完)
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