由宇
私がまだ子どもだった頃、父がよく衝撃的なものを買ってきて、家族を驚かせたり、喜ばせたりしていました。
ずっと記憶に残っているもののひとつに、巣蜜があります。
箱の中でキラキラ輝く不思議なもの。
姉と同時に「何これ?」と叫んだような気がします。
「蜂蜜よね?美味しそうだけど、これは完成品?」
「蜂の巣のようなものから蜂蜜を吸い出すの?」
私も姉も質問が止まりませんでした。
父は「巣蜜と言って、完熟した蜜を巣から切り出したものだよ!身体に良いから食べてごらん。」と教えてくれました。
蜂の巣なんて、特別な人しか口にできない食べ物のような気がして、胸がドキドキ。
蜂蜜部分の味はだいたい想像できました。
食べることができるという、巣?の部分、白いウエハースみたいな部分に期待が高まります。
父はスプーンでざっくりすくって、母が焼いたトースターの上に乗せてくれました。
とても濃厚で身体中の細胞が目覚めるような衝撃でした。
ホットミルクに入れて、パンケーキに乗せて、ヨーグルトにも合うかな…
少しの量で充分満足できたので、長い間、家族で巣蜜を楽しみました。
巣蜜レシピで盛り上がった日 々を思い出し、懐かしくなります。
大人になってからも蜂蜜が好きで、たくさんの種類の蜂蜜を試してきましたが、あれほど自然の力強さを感じる蜂蜜には出会えていません。
私が蜂蜜愛好家になり、いろんな蜂蜜の味を知ることができているのは、父のおかげです。
何より健康な身体でいること、蜂蜜と父に感謝しています。
巣蜜を買う勇気が出たら、今度はわが子たちを驚かせたいな、と密かに思っています。
(完)
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