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注目のハニカム構造

カツメハナ

 

 一年延期された二〇二一年七月開催予定の東京五輪 ・パラリンピックのメイン会場、新国立競技場のトラック(競走路)が格別に好評であると、新聞の記事で知った。
 完成後、初の本格的陸上競技大会が今年八月に行われ、走った選手たちから注目を集めたのが最新の「高速トラック」。接地の衝撃を和らげ、かつ反発力を生み出す走路。
 男子百十メートル障害で優勝した金井大旺選手は、新トラックの感触を振り返って、「しっかり反発があってすごく走りやすかった」と述べたそうだ。他種目のトップクラスの選手も好印象を語っている。(二〇二〇年九月二十一日「北海道新聞」朝刊)
 高い反発力でスピードが出る高速トラックの利点は素材のゴムにあり、ゴムの弾力性は生体力学に基づいた衝撃吸収と反発性能を併せ持つという。
 トラックの裏面が注視点で、ハニカム構造になっている。
 「ハニカム構造」とは、正六角形または正六角柱を隙間なく並べた構造である。ハニカムとは英語で「蜜蜂の巣(ハチの巣状のもの)」という意味であり、蜜蜂の巣がこのような形をしていることから名付けられた。
 一般に、板状の素材に孔を開ければ、強度をあまり損なわずに必要な材料を減らすことができ、孔の大きさや数をどんどん増やせば、どんな形の構造にもできる。
 そこで、強度や材料量などを総合してみて最も適切な形状は何形か。学界で構造学的にあらゆる観点から研究された結果、正六角形だと判明した。
 自然界を見てみると、太古から既にこの形になっているものに、蜂の巣、昆虫の複眼、亀の甲羅などがあるが、象徴的な蜂の巣にちなみ「ハニカム構造」と命名された。
 蜜蜂は生息拠点の巣房を六角形に造る優れた能力の持ち主で、材料を最小限に抑え、可能な限り広く強度な空間を確保しようと進化もさせてきた。
 最初に戻って競技場のトラックに目を向けると、ハニカム構造は、まず、前後、左右、斜めからの衝撃を吸収し、選手の接地時の足腰への衝撃を和らげる。一方、変形したゴムは、元の形に戻る際に反発力を生み出すため、選手の足を前に押す推進力になる。
 あとは新型コロナの感染収束を待つばかり。オリンピックの開催実現を祈りたい。

 

(完)

 

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