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蜂蜜エッセイ応募作品

甘い失敗

フォグラック

 

 失敗はしょっぱく辛いものだけでは無い。甘い失敗もあるのだと、蜂蜜は私に味で伝えて来た。
 いかに美味しくお米を炊けるか。それさえ美味しければだいたい美味しい。ひとり暮らしを始めてから、私の自炊の目標は、ご飯を美味しく炊けるようになりましょう。
 ある日、ひとり暮らしハンドブックを手に入れた。
 自炊のページに、「蜂蜜を混ぜてお米を炊くと高級米のように仕上がる」と書いてあった。蜂蜜をスーパーへ買いに行き、分量通りの蜂蜜を混ぜて炊飯ボタンを押した。
 炊飯器から蒸気と一緒に、甘いような美味しいような、食欲が増す香りが私に届く。その香りから、ふっくらと甘みが増した高級米が想像出来た。噛むと甘く、けれどしつこくは無い、自然の生んだ甘みのイメージだった。
 炊飯器の炊けましたコールは、私とヨダレを呼ぶ音だった。
 炊飯器の蓋を開けると、甘さの混じった蒸気が顔にかかった。蜂蜜パックをしてるみたいだ。したことないけどこんな感じなのかな。ヨダレとワクワクは増すばかり。
 高級米(のようになった安いお米)デビューに心躍らせ、ご飯を見た。そこにはべちゃべちゃのご飯が待っていた。
 「これが高級米...」
 蜂蜜は分量通り、お水は少し控えたぐらい、なのに、なぜ。
 スプーンで掬って1口食べた。べちゃべちゃご飯は正直美味しかった。べちゃつきながらも甘みがあり、これだけで進む進む。おやつにもなる味。なのに甘すぎない。これは甘い失敗だ。
 それから私は、蜂蜜をなめて生きていきたいと思うようになった。失敗も甘ければいいのにと。バイトでのしょっぱく辛い失敗を、今日もまた、上手に炊けない蜂蜜ご飯で甘くしている。

 

(完)

 

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