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蜂蜜エッセイ応募作品

ヨーロッパ最後の自然養蜂家(前)

渡辺 碧水

 

 ギリシアの北に位置する北マケドニアで撮影、制作されたドキュメンタリー映画『ハニーランド/永遠の谷』が、二〇二〇年六月下旬、新型コロナウィルス騒動の真っ最中、日本で初公開された。
 作品は数 々の映画賞受賞に輝く、評価の高い秀作。内容は、北マケドニアの首都スコピエから二十キロほど離れた土地で営まれる自然養蜂、実に胸に迫る物語。
 不便な小さな村で、目の見えない老いた母親の世話をしながら慎ましやかに生活を送る五十代の女性を丹念に追う作品。主人公はヨーロッパ最後と言われる自然養蜂家。
 自然養蜂とはどんなものなのか。ヨーロッパ最後などと形容されると、ほそぼそと営まれる前近代的な養蜂が想像されるに違いない。確かに、そんな一面はある。
 この物語が展開する舞台を見事に描写した映画ライター池谷律代氏の表現を引用する。
 「…(主人公の女性)ハティツェは草原を抜け、足場の怪しい岩場を登り、野生の蜂の巣にたどり着く。そして、素手で巣をいくつか取り出すと、丁寧に袋にしまい、それを背負って谷間の家へと帰る。その巣を家の近くの石壁に設けた場所に移し、収穫の時が来るまで待つ。収穫した蜂蜜は、瓶詰めしてスコピエの市場で売り、彼女はそれで生計を立てている。電気も水道もない村に暮らすのは、彼女と母親の2人だけ。…」(婦人公論)
 自然とは野生に限りなく近い環境をいう。巣箱を使わず、管理や操作をせず、蜜蜂の生態を重んじながら行うのが自然養蜂。
 父から受け継いだ伝統的な手法で養蜂を行う主人公の信条は「半分はわたしに、半分はあなたに」であり、多くを求めず、蜜蜂から大切な食糧の半分をおすそ分けしてもらうという考え方に徹する。
 それは、人間と蜜蜂が共存共生していく姿であり、厳しい生存環境の中で生き、持続可能な生活と生態を共に維持するバランスを重んじる。
 しかし、母娘の平和な生活は、突如、トレーラーに乗って、子供たちと牛を引き連れて隣に移ってきた一家によって激変する。
【ヨーロッパ最後の自然養蜂家(後)へ続く】

 

(完)

 

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