渡辺 碧水
財務省「貿易統計(輸入)」の最近の資料によると、二〇一九年の日本の輸入蜂蜜で、安価で注目されるのはベトナム産の蜂蜜である。別稿でふれたように、日本からの輸出価格との差にも驚かされる。
日本は世界四十七か国から輸入しているが、第九位の輸入国ベトナムからの、一kg当たりの輸入単価は最低の百五十六円。
ちなみに、日本からベトナムへの輸出単価は、最高の一万六千九百四十三円だから、同じ一kgなのに百九分の一の安値。
輸入単価の安さの理由を解き明かしたいと、ベトナムの国情から探ってみた。
ベトナムの最新時事ニュースを配信するベトナム総合情報サイト「VIETJO」を検索してみると、二〇一八年八月二十二日のニュース「ベトナム産蜂蜜の輸出、量多くも価格は世界最低」が見つかった。
疑問解明に好資料と思われるので、このニュースを抜粋して紹介したい。
ベトナム産蜂蜜の輸出量は多いものの、このところ輸出単価は低迷している。
養蜂研究所のグエン ・タイン ・ソン所長によると、二〇一八年現在、ベトナムでは百二十万群の蜜蜂が飼育されており、養蜂家は約三万人(うち専業は六千人)という。
年間生産量は、蜂蜜が約五万五千t、蜜蝋が約千t。八十五~九十%を主に欧米と日本に輸出している。三年間ほど前から、様 々な原因で輸出が減少し、二〇一七年には輸出量三万九千t、輸出額七千万USD(約七十七億円)にまで落ち込んだ。
養蜂協会のディン ・クエット ・タム博士によると、二〇一七年のベトナムの蜂蜜の一kg当たりの輸出単価は一 ・二二EURO(約百五十五円)と世界最低ランクだという。二〇一九年の日本での輸入単価が世界最低価格だったのは、こうした事情がまだ続いていることを意味する。
タム博士は、アカシア交雑種の植林面積の増加がベトナム蜂蜜の単価低迷の原因の一つだと指摘する。この樹種から採れる蜂蜜は品質が低いとされているため。
また、ベトナムの蜂蜜ブランドが確立されていないことも低迷の原因だとしている。
【ベトナム産蜂蜜は低価格(後)へ続く】
(完)
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