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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

隣のおばさん

大阪のアン

 

 「夕方になったら、家の周りは掃き清めておくんだよ」
 隣のおばさんのアドバイスだ。
 訊くと、夜中に毒蛇がやってくると跡が残るので、追跡しやすいのだそうだ。なるほど、 それで家の周りは芝生ではなく、砂地になっている。
 ここは東アフリカタンザニア。ボランティアとして派遣されて一週間前にやって来た。
 引っ越ししたその日に、おばさんは我が家に顔を出した
 「日本から来たんだってね。分からないことがあったら、なんでも訊いてね」
 「分からないことばかりです。いろいろとご指導ください」
 頭を下げると、おばさんもつられて頭を下げた。
 2か月経ったころ、高熱が出て、悪寒に見舞われた。
 「それって、マラリアの典型的な症状だよ。早く病院に行きなさい」
 おばさんはタクシーを呼んでくれた。
 「即入院です。着替えは誰かに持ってきてもらいなさい」
 医者は看護師を呼んで、入院手続きをするように指示を出した。
 おばさんに電話すると、快く引き受けてくれた。
 1時間ほどして、着替えを持って駆け付けてくれた。
 「ほら、これ蜂蜜よ。毎日舐めてね」
 おばさんの差し入れだ。
 これを毎朝舐めていると、同じ大部屋の病室の子供たちがじっと私を見詰めている。
 「蜂蜜舐めたいの?」
 「ハ~イ!」
 全員が一斉に返事をする。
 みんなに小匙と蜜の入った瓶を回す。何とも嬉しそうな顔。お陰で、子供たちとは大の仲良しになった。

 

(完)

 

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