渡辺 碧水
【非加熱蜂蜜の表示(六)から続く】
ネット上で情報を検索していて、偶然、販売業者のサイトで「蜂蜜を選ぶ時のポイント」という消費者への助言を読んだ。告発的な個性的発信例として紹介しておきたい。
二〇一九年二月時点で、日本での加熱処理の現状を主に述べたものである。
まず、蜜蜂が集めた花蜜はずなのに、砂糖水を蜜蜂に与えて蜂蜜を生産している業者もいる、と指摘する。
そして、蜂蜜の栄養成分は熱に弱く、加熱によって三十五℃あたりから破壊され、六十℃を超えるとほぼ壊滅するが、流通している蜂蜜のほとんどが加熱されたものだという。
加熱理由は、商品化の過程で効率化を図るために、完熟に至らない「水っぽい蜂蜜」を採集しているからだが、未完熟は、①水分を含む方が重いため、高値で出荷できる、②蓋がされていないため、絞りやすい、⓷流れやすいため、瓶詰めしやすい、④時間に関係なく採集できる、という利点がある。
加熱して水分を飛ばし出荷する理由は、糖分からなる蜂蜜は水分量が多いと瓶の中で発酵し、売り物にならないから。
また、国内流通蜂蜜のうち輸入量は約九十四%を占めるが、原材料としての「蜂蜜」は、残留農薬と抗生物質の除去のため、輸入される際に必ず八十℃以上に加熱される。
輸入される過程でも、コンテナで赤道を越える場合、加熱と同等の高温状態の輸送になることもある。
その上で、関税がかかった後でも国産より安く売られる蜂蜜は、一体全体どんな方法で生産されるのだろうか、と強い疑問を投げかける。
国産だからと言って、信頼できるものばかりではない。「純正」「公正取引」といったネーミングやパッケージも、加熱や輸入原料を禁止しているわけではない。
売り場に並べば、本物かどうかの判別は難しい。やたら安いものに手を出さず、味わった時に、焦げ臭い味がしない、花の風味がする商品を選ぶこと。
結局、情報発信している生産者の製品を選ぶのが賢明、「わが社は『天然完熟生蜂蜜』にこだわっています」と落ちが付く。
(完)
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