渡辺 碧水
【非加熱蜂蜜の表示(五)から続く】
養蜂現場の実際はどうなんだろう?
現状を実感できるような事例の公表がないか、ネット上で情報を求め探してみた。
これなら、素人の私にもわかり共感できるものが、北海道幕別町にあるナルセ養蜂場サイトの「はちみつQ&A」の中にあった。詳しく丁寧に綴られていた。文字数の関係で抜粋し、要点を私の言葉で以下に紹介する。
「蜂蜜は非加熱ですか」という質問への答えである。
いわゆる生蜂蜜を生産。蜂蜜の糖度を上げるために水分を飛ばす加熱は一切していないが、完全に非加熱ではなく、瓶詰めの際、四十~五十℃に温めることがある。
蜂蜜は採蜜現場で一斗缶に詰め、その状態で地下倉庫(盛夏でも二十℃以下)に保存している。随時、常温の状態で瓶詰めをして販売している。
通常の瓶詰めの際は、採蜜時に入ってしまった巣の欠片などを取り除くために、目の細かいメッシュを使い濾過する。粘性が高すぎて、常温ではなかなか濾過することがでない場合は、四十℃まで加熱して濾過する。
冬など保存時に結晶してしまった場合にも、溶かし液体に戻すため加熱する。湯煎時、一様に温度が伝わるよう、お湯の温度は六十℃以下(蜂蜜自体の温度は五十℃以下)に保ち、ゆっくり低温で加熱する。
「非加熱」と表示する「完全非加熱蜂蜜」は、問い合わせの増加に伴い、二〇一六年夏から商品として販売を始めた。夏の間しか瓶詰めができないので、数に限りがある。
濾過時に、目の細かいメッシュで丸一日放置しても網目をまったく通過しない場合は、普段よりも目の粗いものに変更する。この結果、稀に黒い粒のようなものが入ることがある。蜜蜂や巣に由来するものなので、そのまま食べていただきたい。
当店では、通常の蜂蜜も良い品質の国産蜂蜜であると、自信をもって提供しているが、完全非加熱蜂蜜はどちらかと言えば、健康食品としての側面が強いと考える。これを前提として、蜂蜜を選んでいただきたい。
以上で終わりだが、気負いもなく、要を得てわかりやすい説明と感心した。
【非加熱蜂蜜の表示(七)へ続く】
(完)
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