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蜂蜜エッセイ応募作品

「女王蜂」という呼称(一)

渡辺 碧水

 

 蜜蜂群の構成は「女王蜂、働き蜂、雄蜂」の三種からなるとされる。したがって、「王蜂」は存在しない。
 ところが偶然、「王蜂」という表現に出合った。それも、学術誌の中である。最初は「女王蜂」の「女」が欠落した誤記かと思ったのだが、何度も出てくるので決して間違えたのではないと思い直した。
 具体的に挙げてみる。それは日本畜産学会の会報『日本畜産学会報』の記事だった。一九五四年の第二十五巻掲載の論文で、八戸芳夫 ・大西靖彦著「蜜蜂における王蜂の卵管数に関する研究」だった。
 題名中の「卵管数」や、本文中の「処女王蜂」「産卵力」などの表現から、「王蜂」は「女王蜂」のことだと気づいた。
 考えてみれば、実際にオスの王蜂は存在しないし、メスだから「女」を付けなければならない理由もないから、簡明な「王蜂」の名称でも不都合はない。(ちなみに、中国語では、語順は逆だが、女王蜂を「蜂王」と表記する)
 ただし、一般的には使われない表現なので、違和感があり、すんなりとは受け入れがたいだろう。それでも用語だから、使っているうちに馴染んでいくとは思える。
 専門的にそう呼ぶのが正式かと思い、意識して他にも当たってみると、実際はそうではなかった。専門書の中でも「女王蜂」と表記するものがほとんどで、最近の記述では、「王蜂」の表記を探し出すのは困難だった。
 偶然に出合った論文は六十五年以上も前のものだから、それは昔のことで、今はやはり「女王蜂」の呼び方が定着したのだと、また私は考えを変えた。
 それなのに、狩猟を意味する最近の雑誌『HUNT』(ハント)の第十二巻(二〇一六年五月二十七日発売号)の記事に、「養蜂家は、女王蜂のことを王蜂と呼ぶ」とあった。
 多才な自然派作家 ・田渕義雄氏の連載エッセイの第十一回目の「養蜂論序説」に明記されていたのである。
 こうして、「女王蜂」か「王蜂」かと、呼称に戸惑いを感じているところに、また新しい(違った)情報が飛び込んできた。
 【「女王蜂」という呼称(二)へ続く】

 

(完)

 

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