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蜂蜜エッセイ応募作品

蜜蜂の感染症(前)

渡辺 碧水

 

 世は新型コロナウイルス感染症の世界的拡大で、終息の決め手である治療薬や感染予防ワクチンの開発を急ぎ、英知を集めた研究が進められている。
 そんな中、五月二十日は「世界蜜蜂の日(ワールド ・ビー ・デー)」だった。この記念日は、スロベニア出身の近代養蜂の先駆者、アントン ・ヤンシャ(一七三四~一七七三年)の誕生日に由来する。
 偉大なパイオニアとも「養蜂家の父」とも言われている、この養蜂家ヤンシャの足跡を調べていると、思わぬ記述に出合った。
 彼は、優れた理論家であり実践家であったが、三十九歳の若さで逝去している。遺された彼の二冊の指導書(養蜂の手引き、日本語訳はない)は、ハプスブルク帝国内の養蜂の公式教科書に指定されたが、当時、一般には想像もできない卓抜した考えがいくつも述べられているそうだ。
 その一つに、「重度の腐岨病にかかった巣板は他の群へ蜂を払い落とし、数日間飢えさせることで治癒し得る」とあり、一般に細菌の知識などはほとんどなかった時代に、今もなお養蜂技術として通用する方法を推奨していた。(シビック「スロヴェニアの養蜂」ミツバチ科学、二十三巻三号、二〇〇二年)
 この記述を読んでも、素人の私には、どのような方法で感染症を治癒したのか、具体的イメージを描けない。
 「腐蛆病(ふそびょう)」は、細菌感染によって起こる蜜蜂の世界的な伝染病。死んだ幼虫やさなぎが腐るという症状から腐蛆病と呼ばれている。蜜蜂が感染する病気の中で最も恐ろしいもので、腐蛆病菌に孵化後間もない幼虫が感染すると、次 々と死亡し伝染し蔓延する。日本では、家畜伝染病予防法における法定伝染病に指定されている。
 この厄介な病菌が、ヤンシャの生存期に既に流行し問題視されていたという事実の一端を垣間見た記事だった。
 思い知ったのは、この伝染病は結局、何百年もの間根絶されないままに延 々と今もなお世界的に発症を繰り返していることである。だが、人への感染はしない。
 【蜜蜂の感染症(後)へ続く】

 

(完)

 

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