渡辺 碧水
物には、その優れた特長や水準を表す言葉として讃称がある。「○○の王(王様)」「○○の女王(女王様)」という言い方も、その一つであろう。
蜂蜜についても、この讃称が贈られている。例えば、当エッセイ第四回、二〇一九年五月掲載「蜂蜜の王と女王」でも紹介された。
一般的に、日本では、「女王」には「アカシア蜂蜜」が、「王様」には「レンゲ蜂蜜」が、世界的では、「女王」には「アカシア蜂蜜」が、「王様」には「マヌカ蜂蜜」が挙げられた。
ところが、テレビ東京系列の「Beeワールド」という番組の、二〇二〇年一月二十三日放送によると、ギリシアの「タイム蜂蜜」は、古代ローマ時代から「蜂蜜の王様」と言われ、世界一美味しい蜂蜜と称えられてきたのだそうだ。
確かに、世界的に「マヌカ蜂蜜」が絶賛されるようになったのは近年のことで、栄養食品を超える壮健 ・薬効食品として注目され、人気を呼ぶ存在になってからである。
古代ローマ時代というから、二千年を優に超える歴史を刻む「蜂蜜の王様」。何も知らなかった私には、どんな蜂蜜か、興味津津で調べた。
蜜源植物の「タイム」は、シソ科イブキジャコウソウ属の植物の総称。一部の種類は日本の山野にも自生する。高さ二十五〜五十センチほどの灌木は、ピンクや白い花を咲かせ、ハーブ(薬草)の一種として知られる。
代表的な場所の一つはギリシアのクレタ島。地中海に浮かぶ島。同島の高地に自然に生息している野生のタイムの花から採取された天然蜂蜜が「タイム蜂蜜」。
昔から、同島の蜜蜂は強い香りと抗酸化力を持つタイムの花を好む習性を持ち、摂れるきれいな琥珀色の蜂蜜は強い抗菌、坑ウイルス、強壮作用などと栄養の豊富さから、希少価値が大変高く、健康や医療、美容で貴重な存在だった。
特に、ビーポーレン(花粉ダンゴ)の豊富さと、マヌカ蜂蜜以上とも言われる抗酸化作用が特長とされる。
これらのことから、「蜂蜜の王様」とされ、「抗老化(抗加齢)蜂蜜」と呼ばれるようになったそうだ。
(完)
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