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蜂蜜エッセイ応募作品

トルコのアンゼル蜂蜜(三)

渡辺 碧水

 

 【トルコのアンゼル蜂蜜(二)から続く】
 熊が来そうな夜、セデフさんは暗闇の中で何やら準備を始めた。
 テーブルに並べた器に、栗の花から取った栗蜂蜜、蜂蜜の中で最も一般的な百花蜜、サクランボのジャム、そして彼が生産した最高級のアンゼル蜂蜜を入れ、さらにリンゴも置き、熊が現れるのを待つことにした。
 暗闇でも撮影ができる監視カメラで一晩中熊の様子を録画する準備も整えた。
 最初は、アンゼルの巣箱から熊の注意を逸らし、他の餌でおびき寄せたいと考え、効果的な好みの餌や蜂蜜の種類を試すことにあった。
 そして、もしかすると「熊が何度も来るのは、わが家の蜂蜜の虜になっているからではないか」との思いもあって、熊の試食味覚実験(テイスティング)を思い立ったのだった。
 数時間後、熊が現れた。すると、他の器には感心を示さず、熊はアンゼル蜂蜜を選び食べた。自ら生産した蜂蜜の味に、セデフさんは自信を持った。
 別の日には、器の置き場所を変え、蜂蜜の順番を入れ替え、蜂蜜の種類も変えて、同じ実験を行った。その日も熊は、セデフさんの蜂蜜を嗅ぎ分け、それだけを食べた。
 繰り返し行われた実験で、ハイイログマは食べ物を選り好みすることがわかった。
 半ばやけくそ気味だったとも伝えられているが、我が意を得たりとばかりに、彼はこの実験の動画をSNSにアップした。
 すると、この動画は瞬く間にトルコ中で話題となり、テレビのニュース番組でも紹介された。 さらに、新聞の全国紙にも掲載され、インターネットを通して世界中に拡散された。
 セデフさんのSNSには、「この蜂蜜はどこで買えるの?」「アンゼル蜂蜜は世界一」などと、世界中から反響が殺到した。
 このことによって、地元での販売がほとんどだったアンゼル蜂蜜が世界中に知れ渡るようになり、海外から高値の取引依頼も押し寄せた。
 結果的に、蜂蜜好き熊による試食場面を公開したことが、アンゼル蜂蜜の美味を証明する絶大な宣伝効果となったわけである。
 【トルコのアンゼル蜂蜜(四)へ続く】

 

(完)

 

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