渡辺 碧水
面白いもので、調べごとをしていると、思いがけない記述に出合う。今回また、その一つを体験した。以前の投稿に追加して深めたい。
当エッセイ、第四回の二〇二〇年二月、「蜜蜂に赤色はどう見える?」の題名で三回にわたり、蜜蜂の視覚、色覚や見え方が人間とどう違うかについて、専門家の見解を紹介した。
その(二)で採り上げた「鈴木養蜂場はちみつ家のブログ」(二〇一二年六月二十七日)について学生が書いたレポートに、偶然、出合ったのである。
字数制約の関係で、先に、学生のレポート全文を紹介する。(わかりやすくするために、文献を移動し、改行を入れた)
「多くの被子植物の花が目立つのは受粉を効率よく行う為だと学んだ。また、花の色は多種多様であり人間と犬の色認識が違うように色認識は昆虫の種によって異なるはずである。本当に花は色によって目立つのかについて考えた。
花粉を運ぶミツバチを例に考えた。調べてみたところミツバチは『黄色、青緑、青、紫、紫外線そして黄色と紫外線の混合色の六つで、…中略… 赤い花は黒に見える』(参考文献:鈴木袈裟美、鈴木養蜂場はちみつ家のブログ、参照二〇一七 ・六 ・二〇)ということが現在わかっている。
とすればミツバチにとって赤い色の花は黒い花であり、茶や黒は木の幹や土の色と同じであり色によって花を見分けるとすれば花粉を運んでほしい植物に赤い花はあり得ないはずである。しかし日本に広く栽培されているツツジには赤色の花が多く存在し、ミツバチも共存している。このことから花を目立たせるには色以外の要因があると考えた。
まずは蜜の匂いである。しかし蜜の香りは様 々な植物が存在する中、際立って目立つとは考えにくい。
次に考えたのは花の形だ。花が大きかったり、小さい花が集まって咲くことで目立つことができる。しかも花の形は視覚、つまり色認識も視覚によるものなので認識可能範囲は色による判別と同じことになる。
したがって私は花が目立つ為に植物はまず形を変化させその後色による多様性を獲得したのだと考える。」
【蜜蜂に赤色はどう見える?(五)へ続く】
(完)
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