渡辺 碧水
【本物の蜂蜜は結晶化する(三)から続く】
蜂蜜の結晶化は複数の条件が重なって起こる。その一つは、蜜蜂が集めてくる蜜源(花蜜や樹液)によって異なる。蜜源の種類によって、ブドウ糖と果糖の含有量に差異があるからである。
「ブドウ糖の含有比率が高い(果糖の含有比率が低い)蜂蜜ほど、結晶化しやすい(固まりやすい)傾向にある」と言われる。
よく採蜜源の花名を挙げて、その違いが示される。三つ例を挙げてみる。
たまたま手元にあった雑誌『日経ヘルス』の二〇一四年四月号の記事では、蜜源の花名が「固まり(結晶化し)やすい→固まり(結晶化し)にくい」順で並べられていた。
「固まりやすさの違い」
(固まりやすい)レンゲ→ミカン→百花→マヌカ→ソバ→桜→アカシア(固まりにくい)
また、ブドウ糖を一とした場合の、果糖の含有量の違いを「蜜源花の種類」で示すと、次のようになる。(出典:平宏和総監修、芦澤正和ほか監修『食品図鑑』女子栄養大学出版部、二〇〇六年発行)
「ブドウ糖に対する果糖の割合」
〇 ・七~〇 ・九……ナタネ、ウド
一 ・一~一 ・二……レンゲ、ミカン、トチノキ、クローバー
一 ・四~一 ・六……ニセアカシヤ、リンゴ
このことから、蜂蜜の種類はブドウ糖よりも果糖の割合が高いものが多いように思われる。果糖が多い方がより甘い傾向にあり、果糖の甘味はブドウ糖の一 ・七倍とも言われている。
さらに、あちこちのネット検索サイトには、次のような一覧表が示されている。(原典は不明)
「蜂蜜の種類による結晶化」
結晶化しやすい:ナタネ、ウド、ヒマワリ
結晶化がふつう:クローバー、トチ、ミカン、マヌカハニー
結晶化しにくい:アカシア、リンゴ、レンゲ、ラズベリー
蜂蜜の結晶化は、保存状態の条件などによって実際はかなり異なってくるので、目安としては最後のような大ざっぱな分け方が適切であろう。
「アカシア蜜」が消費者の人気を広く得ているのは、味わいもさることながら、溶かす手間の少ない、結晶化のしにくさにもあるようだ。
(完)
蜂蜜エッセイ一覧 =>
蜂蜜エッセイ
応募要項 =>
Copyright (C) 2011-2025 Suzuki Bee Keeping All Rights Reserved.