渡辺 碧水
【本物の蜂蜜は結晶化する(一)から続く】
ともすれば、蜂蜜の結晶は、砂糖の混入やカビの発生、品質の劣化や腐敗などと勘違いされることがある。結晶化した蜂蜜は、しばしば扱いに手間取り、溶かして食べやすくするのが厄介な面もある。
端的には、「結晶化とは、液体状の蜂蜜の中に、粒状の結晶(固体状化したもの)ができ、白く固まる現象(性質)」をいい、蜂蜜の結晶とは「ブドウ糖が規則正しく並んだ固体」や「目の粗いブドウ糖」などとも表現される。
「本物(純粋天然)の蜂蜜は、放置すれば、必ず結晶化する」、逆の表現として「結晶化しない蜂蜜は偽物である」と言われる。目で見て判断できる妥当な判別法である。
「結晶蜂蜜なんて見た(結晶蜂蜜を溶かした)ことがない」という人がいたら、その人は熱烈な愛食者と言えよう。いつも結晶化する前に食べ尽くしてしまうから、そんな体験がないのだろう。
ナッツ蜂蜜漬け大好きの寄稿者は、スーパーで確実に本物を手にしたわけである。もっとも、溶かす手間を要したが…。
アカシアの蜂蜜は、なかなか結晶化しない筆頭格だとされる。この蜂蜜も、保管法を工夫しても、長期に保存すれば結晶が生ずる。
次回以降に述べるように、蜜源花の種類や、保管温度の高低、保存状態の条件、花粉等の含有量などによって異なるが、本物の蜂蜜は遅かれ早かれ必ず結晶化する。
蜂蜜が結晶化するのは、ブドウ糖(グルコース)を含むからで、固体状化の現象はブドウ糖の性質によるもので、「ブドウ糖の結晶化=蜂蜜の結晶化」ともいえる。ブドウ糖を多く含むほど結晶化は早く、相対的に果糖(フルクトース)を多く含むほど結晶化は遅い。
また、花粉等の混ざり物を除いた精製蜂蜜についても調べた「ハチミツの結晶化による液状部分と固体部分の成分比較」の研究によると、花蜜由来の微量元素も結晶化に関係があるとされる。(吉垣茂ほか『日本健康医学会雑誌』二十二巻四号、二〇一四年)
【本物の蜂蜜は結晶化する(三)へ続く】
(完)
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