渡辺 碧水
「蜂蜜エッセイ」第四回(二〇二〇年度)応募作品の中に「ナッツのはちみつ漬け」が掲載された。
スーパーで買った時、「珍しい色をした蜂蜜だな」と思ったそうだが、すくおうとしても固くてスプーンが入らない、固さのあまりポキッとナッツが欠けてしまった、せっかく買ったのに食べられないのかもしれない、……。
こう始まった筆名「マカダミアナッツも好き」さんの寄稿は「みんなにも幸せをおすそ分けしてあげたいために、このエッセイを記した」とあった。
寄稿者の至福の「おすそ分け」を、私もいただこうと思った。
諺「雨降って地固まる」に当てはまるかどうか怪しいが、寄稿者が最初に遭遇し「心の中で雨が降った」という事態は、蜂蜜の結晶化だった。
蜂蜜を食べるとき、しばしば遭遇するのが「結晶化」の問題。私は「おすそ分け」として、蜂蜜の結晶化の現象を再確認する課題をいただくことにした。
「蜂蜜の結晶化」は、愛食者には「常識中の常識」であるが、原因などは案外わかっていない面がある。恥ずかしながら、まさしく私自身のことである。
この際、蜂蜜に関する学術誌や研究所、農水産省などによる解説を情報源とし、「蜂蜜の結晶化の様相」について、蜂蜜にあやかってねっとりと調べてみたい。
ここで採り上げる「蜂蜜」(純粋天然蜂蜜)とは、「植物の花蜜や甘露から蜜蜂がつくりだす天然の甘味物質であり、蜜蜂が集め、蜜蜂が持つ特殊な物質による化合で変化させ、貯蔵し、脱水し、巣の中で熟成のために貯めて置かれたもの」をいう。
花蜜や甘露の主成分はショ糖であるが、蜜蜂が分泌する唾液中の酵素によって、熟成された蜂蜜中では、ショ糖のほとんどがブドウ糖と果糖に分解されている。
粘りの強い液体状の蜂蜜は一般的に、おおよそ二割弱の水分と約八割の糖分(ほぼ等量のブドウ糖と果糖、少量のショ糖)と微量の栄養素など(無機質、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、有機酸、酵素、色素、香気物質)の成分で構成される。
【本物の蜂蜜は結晶化する(二)へ続く】
(完)
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