渡辺 碧水
【マヌカハニーの効力(二)から続く】
二〇二〇年三月の時点で、世界で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策では、ことあるごとに「エビデンス(根拠)」の言葉が飛び交っている。
三月十日の消費者庁発表の文書も、前例のない新型であるが故に、具体的に踏み込んだ予防効果の表示に対しては、根拠のない「不当表示」だとして注意喚起となったのであろう。国自体も試行錯誤の無策に近い状態であることをさらけ出している。
ところで、テレビ番組「林修の今でしょ!講座」で、講師の平柳要氏によって、その科学的根拠とされた「長崎大学の研究結果」とはどんなものなのだろうか。
平柳氏が「蜂蜜にはインフルエンザウイルスの増殖を抑える働きがある」と例示した報告を探してみた。
相当する研究は長崎大学大学院医歯薬学総合研究科の渡辺健助教らの研究グループによってなされたもので、この成果は、英字の医学系研究論文誌『AMR』(略称)の四十五巻(五号)、三百五十九~三百六十五頁、二〇一四年七月、及び同誌の四十六巻(一号)、八~十六頁、二〇一五年一月で報告された。
この研究は、二〇一一年度の「山田養蜂場/みつばち研究助成基金」を受けてなされたもので、同養蜂場のホームページに「助成研究成果の紹介」として、要旨が掲載された。表題と紹介年月は次のとおりである。
(一)「インフルエンザの予防に蜂蜜が役立つ可能性」二〇一四年十二月。
(二)「インフルエンザの予防に蜂蜜が役立つ可能性②―マヌカ蜂蜜成分の優れた抗ウイルス活性―」二〇一五年十一月。
この研究成果は「アジアJAPANマヌカ協会」の「マヌカハニーの効果 ・効能」のインフルエンザ予防欄に紹介されている唯一の科学的検証例である。
デマ的引用だとする人は、このマヌカハニー研究は実験室レベルのものであり、人の臨床的インフルエンザ予防効果を示したものではない、と指摘する。だが、わが国における貴重な研究だからこそ、紹介に値するのであろう。
この研究の要旨で述べられた方向と課題は次回に紹介する。
【マヌカハニーの効力(四)へ続く】
(完)
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