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蜂蜜エッセイ応募作品

マヌカハニーの効力(一)

渡辺 碧水

 

 二〇二〇年三月十日、消費者庁は「新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする商品(「ウイルス予防商品」と略)の表示に関する改善要請等及び一般消費者への注意喚起について」という文書を発表した。
 消費者庁が、同年二月二十五日~三月六日の期間、インターネット広告のウイルス予防商品について緊急監視を実施した結果、同商品を販売している三十事業者による四十六商品の表示において不当表示の文言等があった。
 これを受けて、新型コロナウイルス感染症の世界的規模の拡大に乗じるインターネット広告の「ウイルス予防商品」に対し、緊急的に景品表示法(優良誤認表示)及び健康増進法(食品の虚偽 ・誇大表示)の観点から、販売業者には表示の改善を要請し、一般消費者にはSNS等を通じて注意を喚起したものである。
 「いわゆる健康食品」という商品区分で「表示されていた効果等」として示された二十三事業者四十商品には、蜂蜜商品の次の文言が含まれている。
 一、「マヌカハニーサプリ、新型コロナウイルス対策」
 二、「『天然の抗生物質』と呼ばれる他のハチミツにはない特別なパワーを持っているマヌカハニーで、コロナウイルス対策」
 消費者庁の見解によれば、新型コロナウイルスについては、その性状や特性が必ずしも明らかではなく、かつ、民間施設における試験等の実施も不可能な現状にある。
 このことから、ウイルス予防商品については、現段階においては客観性及び合理性を欠くものであるとされた。
 マヌカハニーについての前記の表現は、一般消費者の商品選択に著しく誤認を与えるものとして、優良誤認表示及び食品の誇大表示の規定に該当するおそれが高いものと判断されたわけである。
 新型コロナウイルスの実態や対応がよくわからないし、予防や抑止や治療に関する試験等が不可能な現状にあるから、新型コロナウイルスへの効力は判断できない。
 わかっていないから、業者は標ぼうしてはならないし、消費者は信用や期待もしてはいけないという残念な現状を、われわれは冷静に受け止める必要があろう。
【マヌカハニーの効力(二)へ続く】

 

(完)

 

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