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蜂蜜エッセイ応募作品

アフガニスタンでの養蜂(三)

渡辺 碧水

 

 【アフガニスタンでの養蜂(二)から続く】
 その用水路は、中村氏のアイディアで、電気などの動力を必要としない灌漑設備「山田堰(やまだぜき)」をモデルにして建設された。
 この堰は、九州一の大河 ・筑後川の中流(福岡県朝倉市)にあり、二百三十年以上も前の江戸時代に築造されたもので、大掛かりな機材がなくても造れることから、アフガニスタンでも導入が可能だった。
 PMSが建造した堰と用水路は、七年後の二〇一〇年に完成した。「マルワリード」(真珠)と名付けられ、「死の谷」と呼ばれるガンベリ砂漠の一角を潤している。
 潤う土地は福岡市の面積の約半分(約一万六千五百ヘクタール)。六十五万人が暮らせる農地を回復させた。整備された農場では、野菜や果物が栽培されている。
 中村氏はかつて、「周辺範となり、近い将来の自活の道となる農業」と述べていたそうだ。
 その地で二〇一九年四月、養蜂も始められた。同年六月には、ユーカリの花から採れた三百キロの蜂蜜を収穫し、現地の市場でも販売された。
 蜂蜜の収穫について、皆が色めき立ち、「ガンベリ(砂漠)はハニー ・ラッシュ」と喜び、毎日、ナン(パン)に塗って食べたという。
 同年九月には、PMSのスタッフが福岡県朝倉市の養蜂場で研修も受けている。
 現地で作られた蜂蜜の品質を検査した養蜂場は、「おいしさの裏付けとなる風味が良く、日本でも好評を受けるのでは」と評価した、と新聞は伝えている。
 二〇二〇年の春以降は、主な蜜源はビエラ、オレンジ、ユーカリなどとし、柑橘類などの蜂蜜も採れる見通しとなり、今後は生産量の拡大と、既に現地で設立している別会社の事業として日本への輸出を目指すとも伝えられている。
 事件後、PMS総院長に就任した同会の村上優会長を筆頭に、両国のスタッフは連携して故中村氏の遺志を継ごうと誓っている。「蜂蜜の輸出には課題も残っているが、日本の人たちに水路の恵みを肌で感じてもらうためにも、ぜひ実現したい」と。

 

(完)

 

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