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蜂蜜エッセイ応募作品

つながる「はちみつ大根」

こばやしまりえ

 

 小さいころから、風邪はノドからひくタイプだった。
 最初は寝起きの「チクッ」から始まり、夕方になると熱が出るというのが定番の風邪パターン。
 そんな私が「ノドが痛い」と言うと、決まって母が作ってくれたのが、「はちみつ大根」だった。
 サイの目に切った大根をガラス製のビンに入れ、ヒタヒタになるまではちみつを注いだ、特製のはちみつ大根。数時間寝かせたそれをお湯に溶かして飲むと、ノドの痛みが和らいで体があたたまり、「これで、大丈夫!」という母の合言葉も相まって、エネルギーが湧いたものだった。
 大人になってできた彼氏もまた、ノドから風邪をひくタイプだった。人前でしゃべる仕事をしているのに、「なんだかノドが痛い」と言いだすことがしばしば。そんな時、ビンに入れたはちみつ大根を届けに行っては、「これで大丈夫!」と言う自分の口調が母に似ていて、なんだか面白く感じたものだ。
 その彼氏が夫になり、そろそろ1年が経つ。
 先週の休日の朝、起きるとノドが「チクッ」と痛んだ。これは大変。私は今、妊娠中で薬を飲むことができないのだ。「とにかく休もう」と布団にくるまっていると、夫がキッチンに立ち、何かを切りはじめた。ぼんやりとした頭で、トントンという音を聞いていると、ドアから顔を出した夫がひとこと、「はちみつ大根作ったから、大丈夫!」。
 その晩飲んだはちみつ大根は、小さなころ母が作ってくれたのと同じ味がした。
 家族ってこうやって、小さなところからつながっていくんだな。はちみつ大根の温かさが、体だけでなく心まであっためてくれた気がした。
 おなかの子供もまた、私たち両親に似て、きっとノドから風邪をひくタイプに違いない。
 「ノドが痛い」と言いだしたら、はちみつ大根を作ってあげよう。はちみつをヒタヒタにして、「これで、大丈夫!」の合言葉とともに。

 

(完)

 

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