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 食が食の範囲を超えた思い出となることは誰しもが経験したことがあるだろう。分かりやすい例をあげると初デートでイタリアンへ行った為、イタリアンレストランを見ると昔の彼氏を思い出す。あるいは、豆乳鍋を食べている際に面接を受けた企業から内定をもらったので豆乳鍋をつついている時はいい事が起こりそうな気がする。そういったエピソードは大なり小なり誰にでもあることだろう。
 要はただ単に「美味しい不味い」を超えて食べ物を見て過去を思い出すと言う力が食にはある。
 私にももちろんそう言う話はいくつもある。しかしその中でもとりわけ顕著な思い出は「田舎で食べたハチミツトースト」だ。
 小さい時分私は茨城県に住んでいて、祖父母は鳥取県に住んでいた。毎年お盆時期に祖父母宅へ帰省していた。(両親の実家であり私の実家ではない為、正確には帰省とは言わないかもしれないが)ある年を境にジュニアパイロットとして私と兄だけ先に帰省し、その数日後に両親が追ってくると言う帰省方法を取るようになった。
 つまり私と兄は両親の厳しい目を離れ、祖父母宅で「殿様暮らし」をしたような気分になったものだ。何をしたかという事に関してはほとんど忘れてしまったが、忘れないのは朝食だ。
 カリカリのトーストにバターを塗りハチミツをかける。親の目が届かない且つ甘い祖父母しかいなかったので普段の食べ方とは違った。本来の食べ方は最初にハチミツをかけ薄く広く伸ばす。だが殿様はハチミツがかかった部分をかじりまたハチミツをたっぷりかける。使うハチミツの多さは想像するに容易いだろう。
 そんなお盆が何度続いたのかはよく覚えていないが(2~3回程度だったとは思う)、ハチミツを見る度に田舎で過ごした甘い思い出が蘇る。祖父母はもう他界してしまったがハチミツのおかげで私は彼らを身近に感じることができるのだ。

 

(完)

 

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