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蜂蜜エッセイ応募作品

お下がりの蜂蜜

川又 康平

 

 私の住む寮はキッチンを4人で共有している。ステンレス製の大きな調理台を囲うようにしてガスコンロ、オーブン、流し等 々が壁際に並ぶ。調理台から離れた一角には、一つのテーブルが置かれており、そこで各 々が作った料理を食べるわけだ。4人全員が揃ってしまうとやや窮屈に感じるくらいだ。テーブルを囲うように壁際に設置されているのが、私たち一人一人に割り当てられた食品棚だ。私の棚は誰よりもものが多い。他の3人の棚を全て覗いて確認したわけではないが、自分の棚の賑やかさを見れば、自信を持ってそう言える。初めて一人暮らしをするようになって料理に凝り出した私が買い集めた調味料、そして3号室を後にした人が残していってくれた調味料。これらを合わせると棚の引き戸を閉める時に慎重に動かさないと一番手前にあるみりんの瓶を挟みそうになる。前の住人が残してくれたものの一つが、蜂蜜だ。黄色のプラスチックでできたバケツ型の入れ物には、近くの大型スーパーのロゴが付いている。決して高級な蜂蜜ではない。中身もほとんど入っていない。容器と蓋の境目に爪を入れて、ペリッと剥がすと、底にわずかに残った蜂蜜が見えた。色の薄い黄色っぽい部分と褐色の部分の二層に分かれている。色が違うと味が違うのだろうか、などと考えながら私はテーブルナイフで黄色の方を掬って朝食のフレンチトーストに落とした。褐色の方も味を確かめたかったが、すでに十分の量を取ってしまっていた。次回のお楽しみだ。

 

(完)

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